『70歳以上の負担上限見直し、賛否分かれる』

70歳以上の負担上限見直し、賛否分かれる、医療保険部会
2016年末までに結論、保険料の特例廃止も検討

厚生労働省は、9月29日の社会保障審議会医療保険部会(部会長:遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)に70歳以上の高齢者の高額療養費制度や保険料軽減特例を見直す方向性を提案、保険者の立場の委員を中心に賛成が多かった一方、日本医師会をはじめ、医療者の委員は反対、賛否は分かれた(資料は、厚労省のホームページ)。同省は、次回以降の同部会で詳細な制度変更案を提示、議論を深める方針。現役世代については、2015年1月から高額療養費制度を見直したことから、今回は見直しは行わない予定。
これらの制度改革は、保険財政の厳しさが増す中、世代間の公平性の担保や負担能力に応じた負担の観点から、高齢者にも一定の負担を求めるのが狙い。経済財政諮問会議が2015年12月に決定した「経済・財政再生計画改革工程表」では、「2016年末までに結論を得る」とされている。

高額療養費制度の見直しについては、保険者だけでなく、患者の立場からも、医療保険制度を維持する視点から、低所得者への配慮などを前提に、支持する声が上がった。健康保険組合連合会副会長の白川修二氏は、約3年前に70歳未満の高額療養費制度の見直しを議論した際、「70歳以上についても議論し、所得に応じた負担をしてもらうという意見が大勢を占めた」と述べ、次回会議で具体案を基に議論を進めるべきと提案。
NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長の樋口恵子氏も、見直しを支持。ただし、「国民が、『公平な制度』と思う改正」とすることが必要だとした。
一方、見直しに反対したのが、日本医師会副会長の松原謙二氏。「弱い立場にある高齢者にあまり負担をかけるのは反対。丁寧な議論が必要」と述べ、高額療養費制度は日本の医療を支える制度であり、現行制度の維持を求めた。
保険料軽減特例についても、2008年の制度開始から8年が経過し、激変緩和措置を講じ、かつ十分な周知の基に見直すべきとの意見の一方、反対意見が出て、結論は出なかった。

「世代間の公平性」から見直し検討
9月29日の社保審医療保険部会の主たる議題は三つ。
第一は、70歳以上の高額療養費制度の見直しで、前回会議でも議論された(『高額療養費の見直し、「現役世代の納得」の視点必要』を参照)。
同制度は現在、現役並み所得者、一般所得者、低所得者の3区分で設定されている。70歳以上にも一定の負担を求めるため、
(1)今は「単一の区分」になっている現役並み所得者について、現役世代と同様に、所得区分を細分化するか、
(2)一般所得者については、今の上限額(4万4400円)を、現役世代(5万7600円)の負担を踏まえ、引き上げるか、
(3)低所得者については、所得に応じて細分化しているが、単一の区分(3万5400円)となっている現役世代を踏まえ見直すか――が今度の論点になる見通し。
さらに70歳以上については、2002年10月から窓口負担を1回当たりの定額負担から定率負担に制度改正した際、外来受診頻度が多い高齢者の特性を配慮して、「外来上限特例」が導入された。この「外来上限特例」の存廃のほか、システム改修等も鑑みた施行時期なども論点になる。

第二は、後期高齢者医療制度の保険料軽減特例の見直し。
同制度において、被保険者が支払う保険料は、「均等割」と「所得割」から成り、2008年の制度開始時、負担増を緩和する観点から、保険料軽減特例が導入され、例えば「均等割」部分を、被保険者の世帯所得に応じて、7割、5割、2割軽減するなどの措置が講じられている。一方、現役世代1人当たりの支援金は、制度開始から2016年度までに約1.6倍に増え、この保険料軽減特例のため、国費945億円、地財措置159億円が投入されており、この額は高齢化の進展に伴い年々増加傾向にある。

第三は、任意継続被保険者制度の見直し。
2015年1月の社会保障制度改革推進本部の決定では、「2017年度から原則本則に戻す」としている。例えば、会社員が退職した場合、退職後も2年間は暫定的にそれまで加入していた被用者保険に加入することができる。健康保険組合連合会は、(1)継続加入期間を現行の2年から1年に短縮、(2)継続加入要件となる勤務期間は、2カ月以上から、1年以上に変更、(3)保険料は退職時の標準報酬月額を基に設定(現在は、資格喪失時の標準報酬月額、または全被保険者の平均報酬月額のうち低い方を基に設定)――という見直しを求めている。

高額療養費制度の見直し、医療者は慎重姿勢
高額療養費制度について、健保連の白川氏は、所得に応じた負担への見直しとともに、例えば一般所得者では1万2000円となっている「外来上限特例」についても、「最近は抗がん剤などの外来での処方も増えている」などと指摘し、「外来と入院を併せて見直すのが素直な形」と述べた。
白川氏はさらに、介護保険の場合は、「被保険者の上位10%」について、自己負担2割を求めていることにも言及。「70歳以上の現役並み所得者」は6~8%程度の該当にとどまることから、「もう少し現役並み所得者の幅を広げる方向で提案してもらいたい」(白川氏)。後期高齢者医療制度の現役並み所得者については、公費が投入されておらず、制度上、同制度は全体の5割が公費負担するとされているものの、実際には47%しか投入されていない点も「約束違反」とし、重大な論点とした。
日本商工会議所社会保障専門委員会委員の藤井隆太氏、全国後期高齢者医療広域連合協議会会長(多久市長)の横尾俊彦氏らも、高額療養費制度の見直しを支持。国民健康保険中央会理事長の原勝則氏は、見直しを支持しつつも、事務処理システムの改修が必要になることから、施行時期への配慮を求めた。
一方、日医の松原氏のほか、高額療養費制度の見直しに慎重な姿勢を見せたのが、日本歯科医師会常務理事の遠藤秀樹氏や、日本薬剤師会副会長の森昌平氏、日本慢性期医療協会会長の武久洋三氏。「負担できない人への配慮がなく、また外来の受診抑制となる制度改正は好ましくはない」(遠藤氏)、「抗がん剤なども、長期間投与受けると負担は高額になる。患者の負担や受診行動に与える影響も考慮しながら検討すべき」(森氏)などの意見が上がり、武久氏は「低所得者の方が、有病率が高く、高所得者の方が寿命は長いなどの傾向もある」などと述べ、低所得者への配慮を求めた。

保険料軽減特例、見直しなら十分な周知を
後期高齢者医療制度の保険料軽減特例について、横尾氏は、2008年の制度開始時に、混乱を避けるために導入された措置の一つであるとし、制度が定着しつつある今、「激変緩和の措置を取りながら、見直しが必要」とコメント。ただし、仮に2017年4月から実施するのであれば、広報を十分に行い、周知しなければ混乱が生じ得るとした。
社保審医療保険部会の部会長代理で、東京大学大学院法学政治学研究科教授の岩村正彦氏も、「後期高齢者医療制度は定着しており、導入時の必要性に応じて講じられた本特例は、元に戻すべき」とし、新たに本制度の被保険者になる人から見直し、既に特例の対象になっている人についても、一定の激変緩和措置を講じつつ、見直すべきとした。ただし、「2017年4月から、というのが気になる」とし、施行時期とその周知については十分な議論を求めた。
一方、松原氏は、「低所得者の人に、それほど大きな金額でなくても、負担増を求めることは大変な負担」などと述べ、「これもやめてもらいたい」と、保険料軽減特例の見直しに反対。全国老人クラブ連合会理事の兼子久氏も、制度スタート時と現在を比較しても、高齢者の所得は大きくは変わっていない現状を挙げ、「生活実態が変わっていない中で、特例的な配慮を解くのは、公平なのか」と述べた。

健保連の提案を日医支持も、慎重な検討求める声も
任意継続被保険者制度については、健保連の前述の提案に対し、全国健康保険協会理事長の小林剛氏、日医の松原氏らが支持。
これに対し、慎重な検討が必要としたのは岩村氏で、「有期契約の雇用者などの弱い立場の人にしわ寄せが行く」などと指摘した。継続加入要件となる勤務期間を、「2カ月以上から、1年以上に変更」に変更すると、短期派遣の雇用者は、「派遣会社の保険、国保、派遣会社の保険」などと頻回に加入先が変わる事態も想定されるほか、継続加入期間を現行の2年から1年に短縮する影響も大きいとした。「いろいろな事情で会社を辞める。定期的な収入がなくなる時に、どんな保護をするのが一番いいのか、また保険が頻回に変わる事務コストなども踏まえ、慎重な検討が必要」(岩村氏)。

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by kura0412 | 2016-10-01 10:39 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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