日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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『「高額な新薬」適正投与へ指針』

「高額な新薬」適正投与へ指針 厚労省、医療費を抑制
病院や医師に要件

厚生労働省は抗がん剤などの高額な画期的新薬の適正使用に乗り出す。病院に一定の経験がある専門医を置き、緊急対応ができることなどを要件とする使用ガイドライン(指針)を作る。新薬は思わぬ副作用が出るほか、医療費も高騰しがちなため、医師や医療機関に対し投与の適正化を促す。指針の第1弾はがん免疫治療薬「オプジーボ」とし、指針を満たさない場合は公的医療保険を適用しない方針だ。
厚労省は近く開く中央社会保険医療協議会(中医協)で議論を始める。指針は各学会と共同で検討し、2016年度末までにまとめる。早ければ17年度中に適用する。

画期的な新薬の中には1回あたりの価格が数万円以上になり、医薬品メーカーの年間売上高が1000億円規模になるようなものがある。こうした薬を使う場合、患者に対しては税金や保険料で賄う公的医療保険の適用などにより、実際の負担を抑えている。
厚労省は今後、税金と保険料で患者負担を賄う部分が大きくなるとみており、医師や患者向けの指針を作って適正な投与を促す。病院と医師、患者向けに要件を設け、病院には入院設備があり24時間の診療が可能であること、医師には一定のがん化学療法の経験をそれぞれ求める方向だ。
患者にも使用に一定の条件をつけるが、年齢で差別しないようにする。ただ投薬しても効き目がない場合もあり、どの患者に効果があるか調べ、一定の効果が期待できる患者に限ることも検討する。また地方などで治療が受けにくくならないよう目配りする方針だ。
指針対象とする最初の新薬はオプジーボ。1人あたり年3500万円の超高額薬だが、手術のできない末期がん患者にも劇的な効果があると期待される。

ただ患者5万人にオプジーボを1年間使うと、薬代だけで1兆7500億円かかる。これは薬剤費全体の2割に相当する。日本医師会も「皆保険制度が維持できなくなる」との危機感を持ち、何らかの対策が必要とみる。
厚労省はオプジーボと並行し、高コレステロール血症治療薬「レパーサ」の指針づくりも進める。今年4月に発売し、1キットあたりの価格は2万2948円。ただ繰り返し投与するため、患者負担は高くなりがち。厚労省は適正使用を促し、薬剤費の増加を抑えたい考えだ。
12年度の薬剤費は8.5兆円と、この10年で2兆円増えた。近年はC型肝炎治療薬「ソバルディ」など、高額薬が相次ぎ登場している。中小企業の社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)では高額薬剤の使用が増え、15年度の保険給付費が6.3%増えるなど保険財政にも影響が出つつある。
厚労省は指針の導入とともに、保険適用の対象とする病気を拡大する際に、価格も引き下げる案も検討する方針だ。医療費が膨張する中で、適用範囲が広くなりすぎているとの指摘もある。薬を使いたいという患者の希望に歯止めをかけるわけにはいかないため、医療費抑制とどう両立するかが課題になる。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-07-21 10:05 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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