衆参W選挙が微妙に

自民党に逆風、雲行きが怪しくなってきた衆参同日選
野党は今こそ大胆な経済対策を提示せよ

円高と株価下落でアベノミクス正念場、政策失敗指摘する声
4月10日付日経新聞の大石格編集委員のコラム「風見鶏」がなかなか面白かった。「衆参同日選、「寸止め」という選択肢」というタイトルで、次のような内容だった。

「同日選回避もあり得る」と日経コラム
1983年は、12年に一度の統一地方選挙と参院選挙が重なる年であった。当時、中曽根政権だったが、統一地方選挙の後は地方議員の動きが鈍り、自民党は参院選でいつも苦戦していたそうだ。しかも、この年の秋には、有罪が確実視されていたロッキード事件で田中角栄元首相への一審判決が予定されていた。この2つの難題をクリアするには、衆参同日選挙しかなかった。事実、82年秋には、自民党最大派閥のオーナーである田中角栄から中曽根首相に「6月にダブル選挙をせよ」と厳命されていたという。
だが中曽根首相は、83年4月に早々と「解散見送り」を表明、「野党も含めて政界は耳を疑った」そうである。事実、田中有罪判決後の衆院挙では、自民党は単独過半数を6議席下回り、新自由クラブとの連立でかろうじて政権を維持することができた。
中曽根首相は、なぜ田中角栄の厳命を無視してまで同日選を見送ったのか。
当時、田中角栄は、数の力によって自民党を支配し、「闇将軍」とまで呼ばれていた。この影響力を排除するために、あえて同日選をやらなかったというのだ。選挙後、幹事長は田中派野二階堂進氏から、鈴木派の田中六助氏に交代させている。田中派も竹下登氏らによる代替わりのクーデターが起こっている。この結果、田中角栄氏は影響力を急速に失い、中曽根氏は長期政権への道を開いたというのだ。

コラムは、中曽根氏のこの動きを現在の安倍首相にあてはめる。多くの政治評論家や自民党幹部は、盛んに同日選の可能性が高いことを喧伝している。同日選をやれば、参議院でも与党が3分の2以上を確保する可能性は高い。そうすれば憲法改正が現実的な日程に上ってくる。保守派からの改憲論も一気に高まるであろう。
だが、憲法改正には依然として国民の反対が多い。もし国民投票で改正案が否決されれば、首相の退陣は避けがたい。それだけではなく、憲法改正そのものも大きく遠のくことになるだろう。
しかし3分の2以上に達しなければ、改憲を目指す保守派との摩擦も起きない。安倍首相が長期政権を目論むなら、「寸止め」にするために同日選を回避することもあり得るのではないか、というのが大石編集委員の見立てである。

同日選は本当に自民党に有利なのか
実はこのコラムは、衆参同日選挙、消費税増税の先送りをやれば、自民党など与党は参院でも確実に3分の2以上を確保できるという前提に立っている。
だが果たして本当にそうなのだろうか。確かに参院選では、民進党が議席を減らす可能性は高い。それでも3分の2以上を確保することは簡単ではない。

衆院はどうなのだろうか。民主党の野田政権のもとでの2012年の衆院選挙では、民主党政権の大失政もあり、自民党は294議席を確保し、政権を取り戻した。だが2年前の衆院選挙では、安倍首相が「アベノミクス解散」と命名し、消費税の再増税延期を打ち出したが、291議席にとどまっている。この議席数というのは、自民党にとって伸びきった議席数でもあるのだ。
この間、自民党はスキャンダルや失言が相次いでいる。なかでも甘利明前経済財政・再生相を巡る金銭授受問題では、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出したことで新たな局面を迎えている。4月24日に投票が行われる北海道5区補選で自民党候補が負けるようなことがあれば、同日選への動きは一気に冷え込んでいくだろう。
現在、国会ではTPPの審議が行われているが、真っ黒に塗りつぶされた交渉経過に関する資料では、野党は到底納得するまい。確かに、国と国との交渉事をすべて明らかにすることができないことは理解できる。だが真っ黒な資料では誰も納得できない。こんな資料なら出さない方がまだましというものだ。
景気動向も内憂外患である。ここにきて円高が急速に進み、株価の下落や企業収益への圧迫など、不安感が増している。中国経済も依然として低迷が続いている。

こんな状況下で同日選など、そもそも行える状況にはない、というのがごく普通の見方なのではないだろうか。
同日選は、参議院での自民党など与党勢力の3分の2以上の議席確保を困難にするだけではなく、衆議院での3分の2以上を失う危険性も秘めているのである。

野党こそ思い切った経済対策の提示を
こんな経済状況のもとで野党からこれといった対案が示されないのは、いかにも残念である。
現在の景気の低迷の最大の要因は、需要不足である。GDPの6割を占める個人消費が低迷し、企業の設備投資も低迷している現状では、財政出動が不可欠であろう。政府も公共事業を中心とする予算12.1兆円について、前倒しにするよう指示した。今年度上半期(2016年4月~9月末)に8割程度の10兆円規模を契約済みにすることが目標である。国が支出するお金が例年より早く建設業者など民間企業に行き渡るようにすることで、景気をてこ入れすることが狙いである。
だが野党からは、思い切った経済政策についての提案がない。消費税増税先送りの議論でも、民進党から出てくるのは「アベノミクスの失敗だ」という議論ばかりである。
では民進党は、今の経済情勢の下で消費税再増税を強行しろと言うのか、それとも止めろと言うのか、肝心なことが語られていない。
共産党などは、8%に引き上げられる際、これでは国民生活が破壊される、経済も失速するとして大反対したのではなかったのか。実際、日本経済は大きく落ち込んだ。であるなら主張すべきは、消費税の5%への引き下げではないのか。ところが8%に引き上げられた途端に、「再増税反対」に態度を豹変させてしまったのである。何という無責任な政党か。実質賃金が下がり続けているいま、野党は再増税反対ではなく、消費税引き下げというぐらいの大胆な提案をするぐらいでないと自民党に対抗できないのではないか。

内閣参与の飯島勲氏が『週刊文春』(4月14日号)の連載コラム「飯島勲内閣参与の激辛インテリジェンス」でこんな提案をされている。「法人税も実効税率を下げるだけじゃなく、企業があまりにもため込みすぎた内部留保金に逆に課税したらどうなの?」と。
安倍首相は、この間、再三にわたって財界に対し、内部留保金を賃上げや新たな設備投資に回すよう要請してきた。だが春闘での賃上げは、期待外れに終わった。設備投資も同様だ。だったら飯島氏も指摘するように、どこにも有効活用されなかった内部留保金を吸い上げ、景気刺激策に活用するというのは、道理のある提案である。こういう提案が野党からなされないことが情けない。
北海道新幹線が3月26日に新青森駅と新函館北斗駅間で開通した。うれしいニュースである。だが、やっと函館まで開通したに過ぎない。これではまだ「函館新幹線」だ。北海道新幹線というのであれば、最低でも札幌まで開通させなければならない。ところが予定では、2031年、つまり15年先とのことだ。トンネルの多い難工事らしいが、財政資金を集中的につぎ込んでもっと早めるべきであろう。そうすれば利用者も飛躍的に増やすことができるはずだ。景気対策にもなる。
アメリカでトランプ旋風やサンダース旋風が吹き荒れているが、これを支えているのは貧しい人々や若者である。その主張は実に分かりやすい。野党は、大いに学ぶべきである。

【JB PRESS・筆坂秀世】



私も衆参W選挙は微妙になってきたと感じています。
確かにここだ野党が実現可能な経済政策を打つ出せば、流れは一気に変わります。但し、それが出来る野党であるか・・・
by kura0412 | 2016-04-12 08:48 | 政治 | Comments(0)