入院時食事療養費1割程度引き下げで

軽度者への手厚い介護サービスで重度化が進めば、本末転倒である―日慢協・武久会長

軽度の要介護者に過度に手厚い給付をすることで、かえって重度化を招いているという可能性はないのか。その点を、データを基に検証する必要がある―。日本慢性期医療協会の武久洋三会長は18日、定例記者会見でこのような考えを述べました。

急性期入院の短縮が寝たきりを減らし、介護保険の効率化にもつながる
社会保障審議会の介護保険部会は、介護保険制度見直しに向けた論議を17日からスタート。そこでは、「軽度者に対する生活援助サービスを、介護保険給付から除外するべきか(例えば地域支援事業に移行する)」という点も検討テーマに含まれています。この点について多くの委員からは「軽度者の給付を切りすてれば、重度化を招く」といった指摘がなされました。
しかし武久会長は、軽度者に過度の生活援助を行うことで、残存能力を奪って重度化を進め、介護保険の基本理念である「自立」を阻害している可能性があるという考えを示しました。
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武久会長は、「障害があっても『自立しよう』と前向きに生活している人と、『何でもやってもらおう』と考えて生活している人で、どのような差が生じるのかデータを取り、その上で議論すべきである。手厚いサービスがかえって本人の自立度を下げてしまうのは本末転倒である」旨の考えも述べています。
さらに武久会長は、「急性期の入院期間を先進諸外国並みに短縮すれば、後方病床(回復期や慢性期)の入院期間も大幅に短縮できる。嚥下や排せつのリハビリを十分に行い、その点が自立した『車いす自立』になれば、極論すれば特別養護老人ホームも不要になるかもしれない。医療の効率化が介護保険にも大きな効果をもたらすと考えられる」との見解も披露。医療と介護をセットで議論していくことの重要性を強調しました。

2016年度診療報酬改定、日慢協のこれまでの推進方策を追認してくれた
18日の会見では、2016年度診療報酬改定についての評価も発表されました。武久会長は「全般的に良い内容の改定と評価できる。これまで日慢協が推進してきたことを追認評価してくれている。診療報酬で評価されていなくても、患者にとって良いと考えられることを行い、データやエビデンスを出せば、必ず厚生労働省が認めてくれることが改めて認識できた」とコメント。
例えば、新設された退院支援加算1(療養病棟では1200点)について、武久会長は「従来から、老人収容所のような病院はよくない。療養病棟でも積極的に治療・ケアを行い、在宅復帰を目指すべきと主張してきた。さまざまな施設基準があるが、日慢協の会員が従来から行っているものだ。積極的に届け出を行うべきである」と指摘。
また、新設された薬剤総合評価調整加算(退院時に1回、250点)では、入院時の6種類以上の内服薬を処方されていた患者について、処方内容を総合的に評価・調整し、退院時に内服薬を2種類以上減少させることなどが要件となっています。この点について武久会長は、「日慢協は6年ほど前から東京大学医学部附属病院老年病科の秋下雅弘教授の指導に基づいて『入院患者の処方薬は5種類以内に抑えるべき』という点を徹底しており、急性期からの転院・転棟患者の処方薬を、療養病棟での入院中に減少させることが『慣習』になってきている」と述べ、これまでの取り組みの延長線上に新加算があることを強調しています(関連記事はこちら)。

一方、入院時に食品である経腸栄養製品を使用した場合、入院時食事療養費が現在よりも1割程度引き下げられ、特別食加算の算定も不可能(経腸栄養製品のみの場合)になります。この点については、大きな打撃になると見通しますが、「これまで何の努力もなしに特別食加算を算定できていたことがおかしい。訂正されて当然である」と評価しています。

さらに回復期リハビリ病棟へアウトカム評価が導入されるなど、2016年度改定ではリハビリについても大きな見直しが行われます。このうち初期加算などの見直しに関連して武久会長は、「急性期病棟でリハビリを積極的に行うか、あるいは急性期病棟から早く退院させるか、どちらかに流れるであろう」と見通し、「急性期の入院期間を短縮させれば寝たきりにならず、在宅復帰率も高くなる。かねてから日慢協が主張していた方向で、厚労省のスタンスも同じであろう」と述べています。

【メディ・ウォッチ】




医科の方は7対1の見直しも話題になっているようですが、ここにもある急性期と慢性期との動きも大きいようです。また、慢性期病院にすると入院食事医療費1割引き下げは大きいわけでから、安易な胃瘻の増設の抑制に繋がるかもしれません。
by kura0412 | 2016-02-25 11:53 | 医療政策全般 | Comments(0)

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