『2018年度改定に向けて「たすきつなぐ」役割 』

横倉日医会長、「2016年度改定の5つのポイント」
2018年度改定に向けて「たすきつなぐ」役割

日本医師会会長の横倉義武氏は、2016年度診療報酬改定の答申を受けて2月10日に会見した。今改定の位置付けについて、「地域包括ケアシステムの構築をバックアップする改定」と評するとともに、社会保障・税一体改革の第一歩が2014年度改定であれば、今改定はその改革を継続する一歩であり、2018年度の医療と介護の同時改定に向けて「たすき」をつなぐ役割を果たすとの見方を示した。
改定の総論としては、地域包括システムの構築に向け、「地域の医療資源を有効活用しながら、必要な財源を配分することが重要」であるとし、今改定は、前回の改定に引き続いて少ない財源の中、「それなりの評価ができたのではないか」とコメント。

改定の各論については、5つのポイントがあると説明。(1)患者の身近な診療所や中小病院のかかりつけ医のさらなる評価、(2)在宅医療の推進、(3)入院の機能分化、(4)医療技術の適正評価、(5)医薬品の適正使用――だ(文末参照)。
今改定は、認知症対策などの重点分野は評価された一方、初再診料をはじめ、基本診療料は据え置かれた(『初再診料は据え置き、2016年度改定を答申』を参照)。横倉会長は、「右肩上がりの経済成長の時代であれば、より強い要求ができるが、今回はそれができなかったため、基本診療料の引き上げが十分にできなかった」と認めたものの、一方で、政府との交渉の過程で一番望んでいたのは、薬や材料などの「モノ」から「ヒト」の評価への転換であるとし、手術などの技術料は一定の評価がなされたことに理解を求めた。

今改定の中で、医療現場への影響が最も大きいのは、一般病棟7対1入院基本料の要件の厳格化だ(『7対1病棟の重症者割合、25%に引き上げ』を参照)。
横倉会長は、「高齢化に伴う疾病構造の変化に対応し、急性期後の受け皿病床への転換を促す必要性については理解しているが、急激な見直しによる医療現場の混乱で、最終的に不利益を受けるのは患者、国民」と指摘。「重症度、医療・看護必要度」の評価項目が見直され、該当患者割合の要件は「15%以上」から「25%以上」に引き上げられた。病棟群単位で入院料の届出を行わない200床未満の病院については、経過措置として2年間は「23%以上」とされたことは評価したものの、「医療現場への影響をしっかり検証した上で、必要であれば、期中に対応を行うべきだと思う」とし、2018年度改定を待たずに、何らかの措置を行う選択肢に含みを残した。
横倉氏は、「今後さらに財源は厳しくなることが予想されることから、医療と介護の同時改定に向けて早々から検討を開始しなければならないと思っている」とも述べ、そのためにも改定の影響検証を行う必要性を強調した。

日薬会長「かかりつけ薬剤師は新機軸」
10日の改定は、日医、日本歯科医師会、日本薬剤師会の三師会の合同記者会見、続いて日医、四病院団体協議会の合同記者会見が行われた。

日本歯科医師会会長の山科透氏は、「長期低迷している歯科医療の環境から言えば、限られた財源の中で、十分満足できるものではないが、幾つかの点で特色があり、期待できる」と述べ、口腔機能の維持向上により、健康寿命の延伸、患者のQOL向上を進めるという方向性が示されたことなどが評価できるとした。
日本薬剤師会会長の山本信夫氏は、調剤報酬に対して厳しい目が向けられている中で、医科:歯科:調剤の財源配分率は従来通り、「1:1.1:0.3」が守られたことを評価。大型の門前薬局については見直しを行う一方、「かかりつけ薬剤師」という新しい基軸が打ち出されたことについて、「2025年に向けて、医薬分業を本来の姿に戻すという、強いメッセージが打ち出された」と受け止めた。

【横倉会長が挙げた2016年度改定の5つのポイント】(発言要旨)
1.患者に身近な中小病院やかかりつけ医のさらなる評価
前回改定で新設された地域包括診療料・加算の要件緩和のほか、認知症と小児について、かかりつけ機能の評価が拡大された。前回改定では大病院の紹介率、逆紹介率を引き上げ、この規定を満たさない病院の長期処方に関する処方料、処方せん料、薬剤料の減算措置を設けるなど、大病院から診療所や中小病院への外来患者の誘導策が講じられた。今回の改定では、法律改正に伴い、医療機関相互の機能分担と連携推進のため、特定機能病院と一般病床500床以上の地域医療支援病院に定額負担が導入された。外来機能の分化を進めていく中で、かかりつけ医機能を強化し、今後の改定でもさらなる評価を求めていく。

2.在宅医療の推進
地域包括ケアシステムの確立において、在宅医療の推進は極めて重要。前回改定では、在宅医療の不適切事例に対応するための改定が行われたため、地域医療の現場において、在宅医療に真摯に取り組んでいる先生方のモチベーションを下げるような対応がなされた。今改定では、「同一建物居住者」の定義の見直しや、同一建物の訪問人数についての評価の細分化が実施されたことは一定の評価。
また今回は在宅医療を専門に行う診療所を一定の要件の上で認めた。超高齢社会を迎え、地域包括ケアシステムをより効果的に機能させるためも、在宅医療を担うかかりつけ医をバックアップするために、在宅医療を専門に行う診療所を排除するのではなく、その活用も視野に入れていくことが必要。地域包括ケアシステム推進の中で、積極的に地域医師会と協力して地域医療を守ってもらいたい。

3.入院の機能分化
前回に続き、7対1入院基本料の要件の厳格化が実施された。高齢化に伴う疾病構造の変化に対応し、急性期後の受け皿病床への転換を促す必要性については理解しているが、急激な見直しによる医療現場の混乱で、最終的に不利益を受けるのは患者であり、国民。一般病棟の「重症度、医療・看護必要度」を急性期の患者特性を評価する項目に見直した上で、該当患者割合は15%以上から25%以上に引き上げられた。200床未満で、病棟群単位の届出を行わない病院については、経過措置として2年間は23%とされたことは一定の評価をしているが、医療現場への影響をしっかり検証した上で、必要であれば、期中に対応を行うべきだと思う。病棟群単位による届出が可能になったことは、評価をしている。 また看護職員の月平均の夜勤時間数の計算方法が医療現場の実情に合った形になったことも評価している。支払側や日本看護協会が懸念するように一部の看護師の負担増にならないよう、医療界としても留意する必要がある。

4.医療技術の適正評価
手術報酬に関する外保連試案に基づいて、手術料の見直しが行われたことは評価している。また各学会から提案され、医療技術評価分科会で評価された新規技術および既収載技術の再評価が行われ、少な財源の中、医師の技術が評価されたことは評価できると受け止めている。

5.医薬品の適正使用
服薬管理を行う医師から見て、長期処方が原因で患者や家族による薬剤管理が難しくなる場合があり、残薬の原因の一つになっている。今回の改定の対応により、薬剤師との連携を通じて、処方の見直し、より適切な服薬指導、薬剤管理が行われることを期待する。また高齢者における薬物治療に関するエビデンスが蓄積されてきており、学会等の最新の知見を踏まえて医師が適切に処方することが求められると認識している。なお、薬剤師との連携を通じた処方の見直しにより、処方日数や重複処方の改善につながると思っている。

【m3.com】
by kura0412 | 2016-02-13 09:46 | 医療政策全般 | Comments(0)

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