医療分野のIT化更に加速するか

電子処方箋4月解禁 厚労省、薬局の事務負担軽く

厚生労働省は4月から医師が患者の薬を指示する処方箋の電子化を認める。医師が処方する薬のデータを地域の専用サーバーに送り、薬局がデータを呼び出して患者に薬を出す。薬局が年間7億枚を超える処方箋をパソコンで打ち込んだり、保管したりする手間がなくなる。2020年度以降は全国に広げ、患者がマイナンバーカードだけで薬を受け取れる仕組みを検討する。

厚労省は医療のIT(情報技術)化を議論する10日の医療情報ネットワーク基盤検討会で電子化解禁の案を示す。近く省令を改正して4月に施行する。
今のルールでは処方箋を紙で患者に渡す必要がある。4月からは電子データでの処方箋のやりとりを認める。地域ごとに電子化に参加する医療機関と薬局が専用サーバーを通じて処方データをやりとりする。患者が訪れた薬局が処方データや、医師の診察結果やアレルギーの情報を見て最も適した薬を出す。
電子化は希望する市町村や都道府県の単位で始める。
地域の医療機関同士が患者の情報を共有している地域医療連携ネットワーク(全国約200カ所)の枠組みを使う。専用サーバーの導入費用は厚労省の基金で出す。運営の費用は電子化に参加する医療機関や薬局が負担する見通しだ。
電子化する地域に住む患者は4月から処方箋の代わりに電子処方箋の識別番号を書いた「電子処方箋引換証」を医師から受け取り、薬局に提出する。

個人別の医療番号制度が本格的に導入され、全ての地方自治体で医療情報の共有が進む20年度以降には全国統一のシステムとして処方箋を電子化することを検討する。
患者にとっては、紙の処方箋がなくても、マイナンバーカードが1枚あれば全国どこの薬局でも処方薬を受け取れるようになる。スマートフォン(スマホ)で使う電子お薬手帳などで処方内容をチェックすることもできそうだ。
薬局にとってはコスト負担が減る。
薬局は使った処方箋を紙のままか、画像データとして取り込んで3年間保管しなくてはならない。処方箋は全国で年間7億枚超。今後はサーバーから呼び出したデータをそのまま保管すれば済むようになる。紙の処方箋を見てパソコンに入力する手間や、打ち間違えるリスクも減る。「保管やデータ入力にかかるコストがなくなれば経営にとってはプラス」(大手薬局)という。
全国で処方箋の電子化が実現すれば、現在は禁じられている処方薬のネット販売も技術的にはできるようになる。診察を受けたあとに薬局で薬を待つ時間がなくなるため、慢性的な病気で同じ薬をもらう患者などにはメリットがありそうだ。
すでに電子処方箋の実証実験をしている大分県別府市など、医療のIT化に積極的な自治体から電子化が進む公算が大きい。ただ、患者が少ない個人経営の薬局などはシステム投資や作業習得の負担感が大きいとみられ、普及には一定の時間がかかりそうだ。
厚労省は市販薬のネット販売を解禁する際に、十分な議論のないまま処方薬を法律で禁止した。処方薬は重い副作用があるという理由だが「医師が診察したうえで処方している薬だからこそ、処方箋があればネットでの販売を認めるべきだ」との声が民間企業からは上がっている。

【日経新聞】




2025年の医療情報システム市場は4952億円に
クラウド型電子カルテや電子お薬手帳が急伸、富士経済が調査

市場調査会社の富士経済は、医療施設内外で利用される医療情報システムの国内市場を調査し、このほど発表した。2025年の医療情報システムの国内市場規模は4952億円、2014年比で36.9%増加する。特にクラウド型電子カルテや電子お薬手帳、在宅医療に関連したシステム需要の増加が予想されている。
調査は、広域医療連携システム関連、地域包括ケアシステム関連、電子お薬手帳関連の3分野、39のシステムを対象にした。

三次医療圏および二次医療圏の連携に関連する医療連携システムや電子カルテ、院内基幹システムなど主に病院や診療所に導入される医療情報システムを対象とした広域医療連携システム関連は、2015年の市場規模が3242億円で、2025年には4288億円(2014年比34.8%増)になると予測している。そのうち、医療連携(広域・地域・救急)システムの市場規模は2014年時点で150億円程度とまだ小規模だが、参入企業は自社のシステムによって導入医療圏の医療情報システムで優位性が得られるとして注力していると指摘。
また、クラウド型電子カルテは、2015年が19億円を見込まれているのに対し、2025年には195億円、14年比で10.8倍に拡大すると予測。同システムの導入率は20%を超えることが予想されている。特に在宅医療関連の機能が充実した製品の需要増加や、医療連携や多職種連携の進展に伴う情報共有のための基礎システムとしての需要が市場拡大を後押しすると予想している。

電子お薬手帳システム市場は11.8倍に
地域包括ケアシステム/多職種連携システムや訪問診療支援システム、訪問看護/看護ステーション支援システムなど、主に介護や予防を目的とした地域包括ケアシステム関連の市場規模は、2015年見込の117億円から2025年には254億円、2014年比で2.4倍に拡大すると予測。そのうち地域包括ケアシステム/多職種連携システムは20億円から50億円に膨らむとし、2025年にはクラウド化も一般化するという。
同システムの需要拡大の要因として、厚生労働省の推進により地域包括支援センターを中心に導入が進んでいること、政府による推奨や補助金の支給、診療報酬の改定などの後押しで、導入を検討する行政機関や医師会などが年々増加していること等を挙げている。
一方、電子お薬手帳や調剤薬局向けレセプトコンピュータ、電子薬歴システム、訪問薬剤管理指導支援システムなどを対象とする電子お薬手帳関連は、2015年の320億円から2025年には410億円に拡大すると見込む。特に電子お薬手帳は、患者がスマートフォンなどのモバイル端末を利用して薬歴データを管理するシステムとして大幅な伸びが予想されている。
現在は参入企業や電子お薬手帳に対応した調剤薬局の増加により、患者が負担なく利用できるビジネスモデルを確立しつつある段階と指摘。厚生労働省が普及を促進しており、将来的には保険点数の付与なども行われるとみられ、ほぼ全ての調剤薬局に導入されると予想している。

【日経デジタルヘルス】
by kura0412 | 2016-02-10 16:54 | 医療政策全般 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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