W選挙か否か

なぜ今、同日選なのか 5つの理由・6つの反論

「ダブルはありますかね?」。国会がはじまって、寄るとさわると衆参同日選の話だ。参院選にあわせ安倍晋三首相が衆院解散に打って出るのかどうか――。
首相がどんなに否定しても、自民党の二階俊博総務会長が「同日選をしたいと思っているのは間違いない」と述べるなど、疑心暗鬼は募るばかり。思惑と臆測が千里を走る政治の世界。何とも気ぜわしい。

同日選がくすぶる理由をあげていくと片手はある。
第1は、2017年4月からの10%への消費再増税とのからみだ。
増税のあとの選挙は政権党にとって得ではない。おちつくまで静観するとなれば17年中の解散は避けるのが常道だ。衆院議員の任期は18年12月まで。残る解散のタイミングは18年と16年。18年は残り任期が1年内で首相の解散権の行使にはほど遠い。同9月には首相の総裁任期も切れる。
ならば16年。首相周辺が「参院選のあとの衆院選で勝ったためしはない」と漏らすように、1983年、同日選が取りざたされながら参院選の半年後にずらした衆院選で敗北した。となると同日選か。

第2は、内閣支持率の回復だ。
安全保障関連法で10ポイント下落したのが、昨年11月には法案採決前の6月の水準にもどった。
政治の動向をみるうえでいちばん分かりやすい指標である内閣支持率と自民党支持率の和である「政権安定度指数」。日本経済新聞社の世論調査によると1月は86で昨年6月の85とほぼ同じ。100を超えれば大勝が経験則。もう一息で手の届くところまで来ている。
5月下旬には伊勢志摩サミットがある。主要7カ国(G7)の議長役となる首相。文字通りの晴れ舞台だ。支持率は間違いなく上がる。79年の大平正芳、86年の中曽根康弘、93年の宮沢喜一、00年の森喜朗の各首相。なぜかサミットの前後に解散に踏み切っている。

第3は、消費増税にあたっての軽減税率の実施と公明党との関係だ。
自民党内の慎重論を首相官邸が押しきるかたちで、公明党の言い分をのみ、1兆円規模の軽減税率を決めた。同日選に反対している同党が最後はおりるとみるのは、政治の貸し借りからだ。

第4は、野党の動向である。
衆院で民主・維新の統一会派はできたものの、民主党の支持率はいっこうに上向く気配をみせない。参院選に向けた野党統一候補も、同日選にして衆院選をぶつければ、野党戦線を分断できる。

第5は、おおさか維新の会と憲法改正への読みである。
首相や菅義偉官房長官が援軍と期待するおおさか維新だが、政界から引いた橋下徹氏について「参院選には出ない。衆院選は分からない」と首相側近はみる。同日選なら出馬の可能性ありというわけだ。
それは改憲シナリオと関係する。参院で、改憲を発議できる3分の2である162議席を確保するには今回、与党・改憲勢力で15議席程度は増やさなければならない。自民党の改選は50議席で3年前に65議席を得ているにせよ、おおさか維新の躍進に期待がかかる。

要はここが好機との判断だが、一気に同日選になだれ込むかとなると、否定論も同じくらいある。
まず日程がらみ。
消費再増税で17年中の解散は無理との見方について、政府高官は次のように打ち消す。
「軽減税率に加え、再増税で消費の落ち込みや反発がないように思い切った対応をとればいい。5%から8%への引き上げの際はきわめて不十分だった」

次に支持率。
年初来の株価動向が気になるところ。安倍内閣の基本形は株価連動政権だ。経済がおかしくなれば支持離れが進むおそれがある。勝利の方程式は成り立たなくなる。

3つ目は公明党の出方である。
おそらくここが最大の問題だ。支持母体で選挙の実務を仕切る創価学会の意向が何より物をいう。学会内部の声を拾ってみた。
「衆参で計4票の行く先を短い期間にとても徹底などできない。衆院の小選挙区や参院の選挙区の多くは、自民党候補者の名前を書いてもらうんだから」
衆参で数カ月でも時間差があればともかく、同時は無理と明快だ。

4つ目の野党への対応にしても、同日選で投票率が上がれば非自民色の濃い無党派層が大量に出てくるリスクを抱える。

5つ目の改憲ねらいは、3年前の参院選で96条の改正条項の改正を引っ込め、争点を経済にしぼったことが自民大勝につながった。ここであえて対立争点を設定するのが得策かどうか。

もうひとつ。最高裁が違憲状態と判断している衆院の定数で是正が手つかずのまま解散に踏み切れば批判はまぬがれない。

今のところ同日選は観測気球の色合いが濃い。ただ、動き出したら止まらなくなるのが政治の世界。ましていつ何どき何がおこるか分からない。首相が解散権という伝家の宝刀の柄(つか)に手をかけていると思わせたことで政局の主導権をがっちり握ったのだけは間違いない。
解散とは、首相による衆院議員の一斉解雇である。解散への議員心理について「クリスマスを楽しみに待つ七面鳥なんておりませんな」と解説していたのは宮沢元首相。逃げ回る「わらの中の七面鳥」の歌が国会から聞こえてくるようだ。

【日経新聞】
by kura0412 | 2016-01-25 09:00 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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