調剤の方は『薬剤費ベースで7100億円前後消失』

平成28年度診療報酬改定 本体プラス0.49%(歯科:0.61%)、薬価等1.33%の引き下げに

政府は平成28年度診療報酬改定について、医師・歯科医師の技術料などの本体部分を0.49%(国費で500億円程度)引き上げ、薬価部分については市場価格に合わせ1.33%(国費で1300億円程度)引き下げることを決めた。ネットではマイナス0.84%となる。全体のマイナス改定は平成20年度の改定以来8年ぶりとなるが、前回平成26年度診療報酬改定も消費増税に伴う補填分を除けばマイナス改定であり、実質は2回連続のマイナス改定となる。

今回の改定は、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬剤師・薬局の機能の評価や質の高い在宅医療の推進など地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携等、効率化・適正化を通じた制度の持続可能性の確保に視点が置かれた。医科・歯科・調剤の配分は、医科:1、歯科:1.1、調剤:0.3を堅持することになり、結果、医科:プラス0.55%、歯科:プラス0.61%、調剤:プラス0.・17%となった。また、薬価部分については薬価:1.22%、医療材料:0.11%の引き下げとなる。なお、厚労省は薬価の市場拡大再算定で0.19%、合計1.52%引き下げるとしており、その場合、ネット改定率はマイナス1.03%となる。

日本歯科医師会の山科透会長は12月21日、診療報酬改定に係わる臨時記者会見を開き、本体プラス0.61%の結果について要旨以下のとおり見解を示した。——平成26年度改定では、本体プラス0.73%だったが、このうち0.63%は消費税分であり、実質的な本体のプラスは0.1%だけであった。今回は消費税の要素は含まれていないため、医科も歯科も大きなプラスになったと考えている。平素から政府・与党に対し協力的に接し、ある時は我々の思っているところを強引なくらいの姿勢で臨むことが大切であり、今後も『お願い』ではなく『具体的にどれだけの財源が必要かを明示して訴え続けていく』ことが重要になる——
また、山科会長は日歯連盟による政治資金規正法違反事件の影響について「平成18年度改定とは異なり、事件による影響は全くなかった。日歯が事件に関わった形跡はなく、厚労省内の各審議会等でも謝罪の必要はないとされてきた。我々の正当な要求は受け入れられるとの感触を得ていたし、歯科議連にも訴えるべきことは訴えた。改定結果は、歯科環境が厳しいことについて理解が得られたということだと思う。今後、地域医療の充実を図ることについて国の考えと一致しているし、歯科の役割についても議員や政府から確約を取れたと自負している。事件と言えば事件だが、影響は全くなかったと言って構わないと思う」と述べた。

【デンタルタイムス21 Online】



本誌試算 16年度薬価改定 薬剤費ベースで7100億円前後消失 7%強に相当

塩崎厚労相と麻生財務相は12月21日、大臣折衝を行い、2016年度診療報酬改定を本体プラス0.49%(国費プラス500億円程度)とし、外枠改定分として610億円程度を改定財源とすることを決めた。医薬品関連では、特例再算定として280億円程度、通常の市場拡大再算定として200億円程度、経腸栄養用製品の給付適正化で40億円程度、湿布薬の枚数制限などで30億円程度、後発医薬品関連で20億円程度を追加財源とした。この結果、薬価に関しては、市場実勢価格に基づく薬価引き下げで1200億円、特例再算定など外枠改定分で500億円を確保した。これにより単純計算で国費ベース1700億円分が引き下げられることになる。本誌が試算したところによると、薬剤費ベースに換算すると7100億円前後で、7%強の市場が消える。
今改定における市場実勢価に基づく薬価の引き下げは国費ベースで1.22%引き下げ、薬価ベースに換算すると5.57%の引き下げとなる。今改定は市場拡大再算定を外枠改定とした。このため過去の薬価改定率と比較する場合は、今回の市場拡大再算定分として国費ベースで0.19%、薬価ベースで0.90%引き下げを加える必要があり、これらを合算した国費ベースで1.41%、薬価ベースで6.47%の引き下げを用いる。
後発医薬品関連では、初収載の後発医薬品の薬価0.5掛け(10品目超の内用薬では0.4掛け)、後発医薬品への置き換えが進まない長期収載品の特例的引下げ(いわゆるZ2)の置き換え率の引上げで、国費ベースで20億円を確保する。

◎巨額な医薬品「特例再算定」は国民皆保険堅持の観点から 田村前厚労相
塩崎厚労相は大臣折衝後の記者会見で、前回改定の0.10%の約5倍、さらには前自民党政権時代の2008年度改定の0.38%を上回るプラス0.49%を実現できたと説明。「医療機関の経営状況や医療従事者の賃金動向を踏まえて適切な財源を確保できた」と評価した。
一方で、国民皆保険堅持の観点から、巨額な売上をあげる製品については鋭い切込みがあった。田村憲久前厚労相は同日昼に行われた自民党厚生労働部会後に記 者団に対し、「製薬企業がどう思っているかわからないが、思ったよりも利益が上がっているのは確かだ。公的保険の持続性を考えるのであれば、一定のことをせざるを得ない」と語った。イノベーションを阻害するとの指摘が製薬業界側にあることに対しては、「公的保険がなくなったらイノベーションどころではない。公 的保険がパンクしたらその時点で全部自費でやってくれということになる」と述べ、理解を求めた。

◎7100億円前後消失 企業経営へのインパクト大 ビジネスモデルの転換も
今回の薬価改定に伴い薬剤費ベースで7100億円前後が消失する。製薬企業各社の業績にも大きなインパクトをもたらすことになるだろう。各社の業績を支えたブロックバスターが相次ぎ特許切れの時期を迎え、その一方で国は後発医薬品の80%目標の達成を閣議決定した。塩崎厚労相も大臣折衝後の記者会見で、16年度改定を契機に、今後3年間を重点改革期間と位置づけ、「改革工程表に沿った着実な実行」を求めたところ。ならば政府は後発医薬品80%の着実な達成に向け、まずは17年央の数量シェア目標70%をクリアするための施策を繰り出してくることは間違いない。長期収載品に依存するビジネスモデルからの脱却はもはや避けられないだろう。一方、今改定では巨額医薬品に対する「特例再算定」も導入された。17年度には消費税増税改定が、18年度には再び薬価通常改定が控えるだけに、製薬企業の経営は正念場を迎える。厚労省はこの改革を通じ、「地域包括ケアシステム」への転換を強固に推し進める方針だ。今改定を通じ厚労省は、新しい医療マーケットに見合うビジネスモデルの構築をメッセージとして製薬各社に突き付けられたともいえそうだ。

【2016年度診療報酬改定等】(国費▲1500億円程度/医療費(平年度ベース)▲6200億円程度)
(1)診療報酬本体 +0.49%(国費+500億円程度)
各科改定率 医科 +0.56%
歯科 +0.61%
調剤 +0.17%
(2)薬価等
①薬価▲1.22%(国費▲1200億円程度)
※上記のほか
・市場拡大再算定による薬価の見直し(国費▲200億円程度)
・年間販売額が極めて大きい品目に対する市場拡大再算定の特例の実施(国費▲280億円程度)
等により国費▲500億円程度
②材料価格▲0.11%(国費▲100億円程度)
(3)診療報酬・薬価等に関する制度改革事項
①医薬品価格の適正化(国費▲500億円程度)
・新規収載された後発医薬品の価格引下げ
・後発医薬品の数量シェア目標の引上げを踏まえた長期収載品の特例的引下げの基準の見直し
・市場拡大再算定による薬価の見直し、年間販売額が極めて大きい品目に対する市場拡大再算定の特例の実施
②大型門前薬局等に対する評価の適正化(国費▲40億円程度)
③経腸栄養用製品に係る給付の適正化(国費▲40億円程度)
④その他(湿布薬の1処方当たりの枚数制限等)(国費▲30億円程度)

【ミクスonline】




調剤の方は相当切り込まれたようです。但し、今までが一本調子で上がっていました。これからは深掘りされて財源ねん出することが多々出てくるかもしれません。
by kura0412 | 2015-12-22 11:21 | 医療政策全般 | Comments(0)