在宅医療推進といっても医科では

在宅医療、医科に厳しい評価の方針
厚労省案、患者状態や居住場所別に点数設定

中央社会保険医療協議会総会(会長:田辺国昭・東京大学大学院法学政治学研究科教授)が11月11日に開かれ、在宅医療について議論した。
厚生労働省は、訪問看護や在宅薬剤管理、在宅歯科医療を推進する方向での評価を提案。
一方、医科に関しては、在宅医療で患者の状態や居住場所に応じた評価の導入が掲げられ、在宅時医学総合管理料(在総管)等の算定要件の厳格化を求める声もあり、他の在宅系に比べて厳しい改定になりそうだ。

在宅医療をめぐる論点のうち、問題となったのは「同一建物同一日」の訪問に係る在総管等の算定方法。2014年度改定では、高齢者向け集合住宅への訪問を規制する観点から減額されたが、同一日を避ければ減額の対象外とされた。
厚労省は、改定後に複数日に分けて同一建物に訪問するなど、非効率的なケースが出ているとして、高齢者向け集合住宅と居宅を区別して評価することや、同一建物における診療報酬上の評価を、重症度や診療患者数で細分化して評価することなどを提案した。
これに対し、支払側は、「きめ細かい対応は分かるが、要件設定に合わないものは減額的な設定も必要」(全国健康保険協会理事の吉森俊和氏)、「通院できる人も訪問診療を利用しているのが、そもそもの問題。自立や要支援の方など、通院可能な方は訪問診療の対象から外すべき」(健康保険組合連合会理事の幸野庄司氏)など、要件の厳格化、減額設定の明確化を主張した。
診療側からは「診療患者数ごとの細分化は違和感。
前回改定は一部不適切な医療機関の排除が目的で一定の効果はあったかもしれないが、訪問診療行う医師のモチベーション下げた。現状を見る必要がある。丁寧な議論が必要」(日本医師会常任理事の松本純一氏)、「細分化すると、(患者の人数を集める仲介業者など)ネットワークを持った在宅専門業者が現れるかもしれない。またモラルハザードが起きないようにすべき」(日本医師会副会長の中川俊男氏)など、慎重な議論を求める声が相次いだ。

診療患者数も評価の指標に
厚労省は、在宅医療の評価体系の論点として、
(1)高齢者向け集合住宅等か居宅等かで差を設定、
(2)診療患者数によって細分化、
(3)集合住宅の診療患者数に応じた評価、
(4)一般のアパート・団地等において複数の患者に訪問診療した場合については一定の配慮――を挙げた。
在総管と特医総管(特定施設入居時等医学総合管理料)の評価方法については、患者の重症度を加味し、現行の「同一建物居住者」「それ以外」の2分類から、「重症患者(月2回以上訪問)」「その他(月2回以上訪問)」「その他(1回訪問)」の3つに分類。その上で、集合住宅内の診療患者数に応じて評価を細分化することを提案した。
診療側からは慎重な議論を求める声のほか、「医師の移動時間と患者の重症度で評価を分ければ、居場所で分けなくてもいいのではないか」(全日本病院協会副会長の猪口雄二氏)といった意見や、支払側からも「集合住宅と一口に言っても簡易宿泊所のようなところもある。またモラルハザードが起きないようにしっかり検討を」(連合総合政策局長の平川則夫男氏)といった意見が出た。

1カ月に1回訪問を評価
患者の重症度に応じた評価に関しては、
(1)人工呼吸器が必要なケースや、悪性腫瘍や肺高血圧症などの長期にわたる医学管理の必要性が高い患者について、疾患・病状に応じた評価を導入、
(2)1カ月に1回の医学管理を評価――の2点を厚労省が提案。
厚労省は背景として、在総管では重症度に関わらず一括で評価しているが、実際は健康診断のみの患者から人工呼吸器が必要な患者まで、患者像は幅広いことや、患者の状態に関わらず1カ月に2回の訪問が要件になっているものの、1カ月に1回の頻度の訪問診療と、1カ月に2~3回の訪問診療では、患者の重症度や満足度に大きな違いは無いとする資料を提示し、医学的に必要な回数を超えて診療が行われている場合もあると指摘した。
松本氏は「患者の訪問診療が必要かどうかは医師の判断に任せるべき」と主張。猪口氏は「長期だけでなく、急に状態が悪くなった時も手がかかるので、短期の評価も必要」と指摘し、診療訪問の回数については、「1カ月に1回が2回になったからと言って、仕事量が半分になるわけではない」と述べ、2回目以降の評価の在り方を慎重に議論するよう求めた。

小児の在宅医療を評価
このほか、厚労省はNICUにおける長期入院児が増加し救急受け入れできない事例が生じていることや、在宅での人工呼吸器管理が必要な子供や小児慢性特定疾患の患者も増加傾向で、長期療養の子供への在宅支援の充実が求められていることを指摘。
機能強化型の在宅療養支援診療所等の実績要件として、在宅看取り実績だけでなく、超重症児等に対する医学管理の実績を加味して評価する方向性を示した。診療側、支払側から特に異論は出なかった。

【m3.com】




在宅診療を推奨しているからといっても、普及が進めばいろいろな制約が増えてくることが、先行する医科の動きから推測されます。
by kura0412 | 2015-11-13 11:50 | 医療政策全般 | Comments(0)