日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28

『どこを目指す?「ミニ中医協」化する社保審』

どこを目指す?「ミニ中医協」化する社保審

厚生労働省は10月、社会保障審議会の部会に、2016年度診療報酬改定に向けた基本方針の骨子案を提示した。
骨子案には「基本的視点」として、
(1)医療機能の分化・強化、連携と地域包括ケアシステムを推進する、
(2)患者にとって安心・安全で納得できる効率的で質が高い医療を実現する、
(3)重点的な対応が求められる医療分野を充実する、
(4)効率化・適正化を通じて制度の持続可能性を高める
─の4つを明記した。
この基本的視点を見て、筆者は激しい既視感に襲われた。ほぼ同じ内容を、10年前の2006年度診療報酬改定を巡る議論の際から連続して5回、繰り返し見ているからだ。あえて目新しい点を探せば、「地域包括ケアシステム」という言葉が入ったことぐらいだろう。

2006年度改定を境に、診療報酬の決め方は大きく変わった。かつては中央社会保険医療協議会が絶大な権限を有しており、改定の方向性を定めて、それに基づく具体的な点数設定に至るまでを主導。改定率の決定にも大きな影響力を持っていた。だが、2004年4月に歯科診療報酬を巡る中医協汚職事件が発覚したのを機に、改定の基本方針は社保審の医療部会と医療保険部会が策定することになり、中医協はあくまで個別の点数設定を審議する場と位置付け直された。
社保審での基本方針に関する議論は、改定前年の9月から11月にかけて行われ、12月初旬に中味が確定する。だが、基本方針の策定を待って診療報酬の見直し論議を始めたのでは、項目数が膨大であるだけに翌年春の改定に間に合わない。そのため、中医協では改定前年の春から、次の改定に向けた基礎的な議論を進めている。社保審で基本方針が策定される頃には、既に議論は本格化しており、個別の論点が幾つも挙がっているのが常だ。
つまり、中医協の個別項目の議論を後追いする形で社保審で改定の基本方針が決まるという、本来とは逆の手順になっているのが今の仕組みなのだ。
そのせいもあり、社保審の基本方針には医療現場の課題を網羅するような当たり障りのない文言が並び、代わり映えしない内容にとどまるのが通例となっている。

医療現場の課題は一朝一夕に解決できるものではない。とはいえ、10年前からほぼ変わらぬ内容が並び続けるのでは、あまりに進歩がない。実際のところ社保審での審議状況と言えば、委員が思い思いの要望を述べる場面が目立ち、基本方針を議論するというよりは「ミニ中医協」といった感じになっている。
そんな状況に対して10月22日、社保審の医療部会で委員の一人である東京大学法学部教授の樋口範雄氏から、こんな苦言が呈された。「本来であれば、基本方針に基づく改定の結果、どのような影響があったかの検証を行い、議論を深めた上で次の方向性を打ち出すべきだ。そもそも総花的な内容が、改定の基本的視点、目指すべき方向性としてふさわしいのか」。この本質的な問い掛けには、筆者も含め、思わずうなずいた記者が多かった。しかし、この発言の後も議論が深まることはなく、委員たちからは「こんな医療行為を診療報酬で評価してほしい」といった要望が相次ぐ、いつもながらの光景が展開された。

せっかく10年前に診療報酬改定の決定プロセスを見直し、中医協と社保審とで役割分担をしたのだから、もっと建設的に議論を進められないものだろうか。
例えば、改定の直後から次の改定に向けた基本方針の議論を社保審で1年以上かけてじっくり行うことにして、その際、基本方針の達成状況を別の組織に評価してもらうといった方法も考えられるだろう。いずれにせよ、改定を巡る議論を今の形で続けていては、社保審での議論の形骸化は防ぎようがない。

【日経メディカル】




その中医協も官邸サイドの意向に大きく左右されているのが現状です。
by kura0412 | 2015-11-10 10:53 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
以前の記事
2018年 02月
2018年 01月
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧