日歯会長選挙へ動く

堀憲郎氏が立候補表明会見 「人心の一新を内外に示すことこそ信頼回復の第一歩」

日本歯科医師会の次期会長予備選挙に出馬する堀憲郎氏(新潟県)は11月4日、立候補表明の記者会見をアルカディア市ヶ谷で開催した。
会見には、堀氏の推薦母体である新潟県歯科医師会の五十嵐治会長と支援者グループを代表して大分県歯科医師会の長尾博通会長が同席したほか、堀氏を支持する10を超える県歯科医師会の代表も会見を傍聴した。

会見では、先ず五十嵐会長が堀氏の略歴や実績を紹介した上で「全国の若い会員を中心に多くの出馬要請の声が集まり、我々も覚悟を持って支援することとした」旨を述べた。引き続き、全国応援世話人の代表として長尾会長が挨拶に立ち、6月日歯代議員会以降の日歯の対応を批判するとともに「こうした日歯の動きを憂い、自然発生的に全国より20数名が集い、会合を重ねた結果、日歯を救い改善・改革をできるのは堀氏以外にない。歯科界に正常な自浄作用があることを社会に分かりやすく示すには、堀氏が最も相応しいとして出馬をお願いした」とし、今回の堀氏の擁立の目的は人心を一新し世代交代を図ることによって歯科界の自浄作用を示すこと、さらに前回の会長予備選挙のような対立構造はないことを強調した。

所信表明に立った堀氏は「人心の一新を明確に内外に示すことが信頼回復の最低限の一歩である」「平成30年には医療と介護の同時改定ほか多くの制度改正を迎える重要な改革の時期である。一刻も早く最低限のけじめを示し、歯科界が一丸となって諸課題に対する議論の準備をしなければ、社会保障における歯科医療の存在意義はなくなると言っても過言ではないと危惧している」旨を述べた。その上で「新たに発足する執行部は、現在の混乱の収拾と信頼の回復が急務になる。その先には、我が国の人口減少が待っているが、歯科界は殆ど手つかずの状態である。さらに、早期に内部で議論すべき組織構造の課題もある。長らく歯科界が沈滞化している状況を活性化する、即ち、反転攻勢に向けて試みたい施策は数多く考えている。これらの政策課題を今後マニフェスト等で明らかにし、会員と議論を深めていきたい。賛同していただける全員とスクラムを組み、真の歯科界の再生に向け一歩ずつ歩んでいきたい」との考えを示した。
質疑に移り、堀氏は▽診療報酬改定に対する中長期的対応、▽これからの多職種連携のあり方、▽今後の歯科医療の方向性、▽日歯連盟に対する基本的な考え方、▽前会長の逮捕・起訴に伴う政権与党および行政への対応に関する質問に的確に答えた(質疑の要旨等は11月5日号で詳報)。


《次期日歯会長予備選挙》前日歯副会長・富野晃氏(北海道)も立候補へ

前日本歯科医師会副会長・前北海道歯科医師会会長の富野晃氏は11月2日、12月24日(木)に投開票が行われる次期日本歯科医師会会長予備選挙に立候補することを表明した。富野氏は日歯連盟・堤執行部の副会長を務めていた際、政治資金規正法との妥当性をわずかな説明で了として聞き流してしまったことに責任を感じ、今回の予備選挙に立候補することに躊躇していたが、「歯科医療が社会に欠かせぬ存在であることをより一層進めるために、非難は覚悟のうえで立候補した」としている。

富野氏は「日本歯科医師会の政策提言を国民に伝える」「国民の理解こそが、まず患者さんに健康という利益をもたらし、そして会員の専門職としての評価を高めるものである」をスローガンとして掲げ、具体的には、▽診療報酬改定では保険医協会や外保連と協議するとともに、保険外併用療養費制度なる混合診療の整理を早急に進めなければならない、▽医療連携では「柏プロジェクト」の基本構想を参考にしつつ、連携チームの一員としてのグループ構成とその報酬のシェア化という今までに全くない考えも検討し、場合によっては患者の人頭割制も検討しなくてはならない、▽かかりつけ歯科医とその機能では大学の教育の在り方と専門医性にリンクさせて検討すべきことであり、医科歯科一元論的教育大系への転換の中で歯科学を口腔医科学へと成熟させる可能性を探ることが必要、▽予防医療の経済効果の検証は歯科医療の価値観を大きく転換させるもので、日歯内の研究機構がその研究と国民への発信のキーステーションとなるよう組織の活性を図ることが求められる等々の政策を明らかにした。
また、日歯連盟については「日歯連盟の独立を発展的に解消し、日歯の中の一組織として統合するべきである。10年前の日歯連盟事件を受けて峻別形態をとってきたが、持論の一つとして『頭は一つ』で結構で、両組織の共働を促進するものにすべく検討する」とし、他に日学歯や日本歯科医学会との関係や代議員会のあり方などについての考え方も示した。


日歯次期会長予備選 山科透現会長と堀憲郎前常務理事「出馬表明」

山科徹堀憲郎日本歯科医師会(山科透会長)は10月22日に開催された第181回臨時代議員会後の臨時理事会で、次期会長予備選挙(12月24日に投開票)を行うことを決定したが、10月29日、現会長の山科透氏(68歳・広島県)と前常務理事の堀憲郎氏(63歳・新潟県)が次期会長予備選挙に立候補することが明らかになった。
山科氏は29日の理事会終了後、「会務の継続と安定」のために出馬を表明、山科執行部の信を問う。一方、堀氏は政治資金規正法違反で現職会長だった髙木幹正氏(前日本歯科医師連盟会長)が逮捕された事態を憂慮する日歯代議員諸氏の出馬要請を受け入れ立候補を決断した。両候補は近々記者会見を開き所信を表明するものと思われる。

次期会長予備選挙は選挙人によって行われる。公示は11月25日(水)、会長候補者の届出受付は11月26日(木)、届出締切は11月27日(金)。開票は12月24日(木)。代議員会での理事の選任は来年3月10日開催の臨時代議員会。同代議員会終了後の第1回理事会で代表理事が選出される。

山科氏は大阪歯科大学卒。広島県歯科医師会の専務理事・副会長等を歴任し、平成19年4月〜25年6月まで会長を務めた。日歯では平成21年4月〜25年6月まで副会長を務めた。また、平成25年6月から8020推進財団副理事長、本年7月から同理事長に就任している。堀氏は日本歯科大学卒。平成9年4月、新潟県歯科医師会理事(社保担当)を皮切りに常務理事・専務理事を歴任し、平成18年4月から社会保険担当の日歯理事を2期、常務理事を2期務めた。この間、平成23年4月〜27年6月まで中央社会保険医療協議会委員を務めている。

【デンタルタイムス21 Online】
by kura0412 | 2015-11-06 08:54 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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