日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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『政と官が一緒のチームとして力を合わせるべきだと考えたから』

『香川前次官』

9月30日、香川俊介・前財務次官の「お別れの会」が青山葬儀所で執り行われ、私も故人のご冥福を心からお祈り申し上げながら、献花してきました。参列者は約1500人。政官民、その他の分野を問わず、多くの皆様との交流の広さと人間関係の深さを垣間見る思いがしました。

初めて香川氏と出会ったのは、約10年前。松下政経塾の1期後輩である神蔵孝之・イマジニア㈱代表取締役会長兼CEOが主宰する福沢諭吉の「文明論之概略」の輪読会でした。少人数の勉強会だったので一気に親しくなり、以後酒を酌み交わしながら談論風発する仲になりました。
09年の政権交代により財務副大臣に就いた私は、奇しくも彼と一緒に仕事をすることになります。私が初めて政府を代表して日銀金融政策決定会合に出席する前日、当時の香川総括審議官が訪ねてきました。細かく発言要領などをチェックしにきたのかと思いきや、彼の助言は意外でした。
「食事抜きの長時間の議論になるかもしれません。だから休憩の際は、遠慮なくビスケットやクッキーをバクバク喰って腹ごしらえして下さい」
翌日、彼のアドバイスが的確であったことを体感しました。
私が財務大臣として予算編成や税制改正で苦闘した折には、香川氏は官房長として献身的に支えてくれました。相手の懐に入って本音をぶつける突破力、窮地に陥ってもブレない胆力、誰に対しても分けへだてのない温かい包容力にどれだけ助けられたでしょうか。

2011年9月、内閣総理大臣に就任した私は、官僚を排除することにより政策決定の混乱や停滞を招いていた誤った「政治主導」を変えようとしました。国難とも言える時期に、政治主導か官僚主導かとイニシアチブ争いをするのではなく、政と官が一緒のチームとして力を合わせるべきだと考えたからです。
それは、香川俊介という人物に魅せられたからかもしれません。そして、香川氏のような強い志を抱いた一群の官僚たちの存在を知ったことが大きかったと思います。

私たちは「将来世代に借金のつけ回しをしていては国が滅びる」との思いを共有し、社会保障と税の一体改革に挑みました。私は政治生命を賭けました。香川官房長は命を削って与野党間、各府省間を奔走しました。そして、関連法案が成立した12年8月、忽然と彼の姿が消えました。過酷な仕事が健康をむしばんだのでしょう。食道癌で長期入院でした。
翌春には公務復帰され、主計局長、事務次官と歩まれました。しかし、今春から再び病魔との戦いになりました。退官の日まで見事に職務を全うされ、退職辞令が出たその日にそのまま入院し、約1か月後に帰らぬ人となりました。
享年58歳。本当に惜しい人を亡くしました。

合掌


【野田佳彦衆議院議員ブログ】
by kura0412 | 2015-10-14 16:49 | 政治 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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