日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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ノーベル賞受賞者でさえも研究費捻出に苦慮する環境

武田薬品が京大とiPS細胞で共同研究 企業からお金をもらうことは悪いことではありません!

産経新聞記事です。武田薬品が京大とiPS細胞で共同研究 武田は10年で200億円負担
10年で200億円負担と研究費の額がすごいぞという印象ですが、50人の雇用確保のほうが私にとってはとても重要な成果と感じています。ここでいい仕事をすれば、この50人は武田の研究者として今後雇用されていくでしょう。
だってiPSの日本での研究費、日本では額がすごそうにみえますが、アメリカに比べたらとても少ないことが言われています。(【ノーベル賞】受賞は本当に「国の支援のおかげ」なのか。資金難にあえぐiPS細胞研究の実態まとめ)それなのにノーベル賞!山中先生、まさに竹槍でB29を撃ち落とした偉業なんです。
そして一番の問題は額もそうですが使い道です。
それこそ国からもらえる研究費は制限が多く、人件費には使えない事がよくあります。でも山中先生は科研費に文句どころか感謝の言葉を伝え(「iPS細胞の基盤を支える研究」)、先生本人がマラソンで走って広報をおこない、寄付を中心とした基金で人件費を補っている状況です。(iPS細胞研究基金)ちなみに研究所での非正規雇用は89%で年間10億円の人件費と報告されています。人件費を補う研究費が無くなれば契約終了、つまり首です。

京都大でも若手研究者の就職問題は結構大変です。デフレ化にあった時期には、学位を持っていながら就職先がないことがよく取沙汰され、任期制などの将来の保証のないポスドク酷使、いわゆるブラック形態が取沙汰されていました。山中先生はよく会見でもその話を取り上げていただき、日本の問題として挙げていただいていましたが、国、マスコミはそう簡単には動いてくれません。(平成 26 年 12 月 生物科学学会連合 ポスドク問題検討委員会  今、次世代を担う若手研究者が窮地に陥っています。 ポスドク(任期付博士研究員)の雇用促進と研究者育成に 是非ご協力ください。)
今回、京都大学山中研は10年間の人件費混みの研究費の確保(1年間2億円)と雇用の確保(50人の研究員)を取り付けました。日本の製薬企業武田はiPS研究の本丸をとりこんだ事により、これからの創薬研究に弾みがつくと同時に、他者に対してアドバンテージを得る事でしょう。iPS研究に企業から研究費が渡され、企業側が薬の開発に役立つであろうiPSを優先的に、そしてそのknow-howに精通した京都大学研究グループ研究員を取り込めると言うまさにWin-Winの契約です。
そしてこのようなお金の確保から研究が進歩し患者が治せる技術が生まれてくるのです。研究者が企業からお金をいただく事は決して汚い事ではありません。ディオバン問題で叩かれた医師が企業と協力しておこなう臨床研究も本来は同じ構図なんです。
日本の研究者は学問は得意でも、全て国からの科研費頼みの研究室がほとんどで、このような企業間と連携が苦手な人が多く、実用化のステップなんかで成果が埋もれてしまう事が多いそうです。NHKで放送された3Dプリンター問題(日本で発明、アメリカで特許、製品)なんてまさにいい例です。ちなみに特許の維持も大変で、iPS特許の維持だけで年間1000万!かかるとの事で、当時の企業には特許をとることがギャンブルだったんでしょう。

最後にまとめです。
今年も日本の人口が減った事が報告されました。今後もさらに少子化になる日本、それこそ竹槍でB29を撃ち落とせる少数精鋭の人材を育て続けなければいけないのです。日本で生まれる新しい技術を日本で開発し、日本のために発展させるには、研究を支える人材を安定雇用をできる仕組みを作り、人材を育てつづける事が必要で、そのためには、巷では汚そうにみえるけど全然問題ない、お金が必要なんです。

【中村ゆきつぐブログ】



その実直な人柄が知られる山中先生ですので変な記事にはなりませんが、他の研究者ならば週刊誌ネタになってしまします。
もっと研究者が日本で育つ環境を今一度考える必要があるのかもしれません。
by kura0412 | 2015-04-20 17:50 | 医療全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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