日医の自民党への要望

安倍政権の医療制度改革
衆院選後の自民の安定基盤を評価、横倉日医会長
「経済成長で、社会保障財源の確保が可能」

日本医師会会長の横倉義武氏は、12月17日の定例記者会見で、今回の衆院総選挙で自民公明の両党で議席の3分の2以上を獲得し、安定した政権を確立したことを評価、「政策を実行できる安定した政権基盤により、経済成長を取り戻し、十分な社会保障財源を確保することができる」と述べ、第3次安倍政権に期待を込めた。

日医は11月に、谷垣禎一幹事長ら自民党幹部に、国民皆保険の堅持など6点から成る要望書を提出している。横倉会長は「これらは自民党の『重点政策集2014』に盛り込まれ、今後の施策に反映されることになっている」との認識を示し、引き続き日医としては、「国民の安全の医療に資する政策か」「公的医療保険による国民皆保険を堅持できる政策か」という二つの判断基準を基に、与党と協議していくとした。
さらに、横倉会長は、消費増税が1年半延期されても、「社会保障と税一体改革は着実に進めていかなければいけない」と強調。もっとも、医療の財源確保については、消費税収を充てるべき経費が、年金・医療・介護の高齢者3経費から、子育ても含む社会保障4経費になった点を挙げ、容易ではないことをにじませた。

直近の問題としては、2015年年度の予算編成が迫っている中、今年度は904億円の「新たな財政支援制度(基金)」の財源が、どの程度確保できるかが注目点だ。
横倉会長は、2014年度は消費税率引き上げ分で5兆円の増収だったが、2015年度は満額の8兆円の増収になる一方、基金の対象は医療だけでなく、介護にも拡大されると説明、具体的な目標は掲げず、「できる限り、2014年度よりも多く確保するよう、厚生労働省に努力してもらいたい」と述べるにとどまった。
今回の総選挙は、消費増税延期について、国民の信を問うことが目的だったにもかかわらず、増税財源を充てる予定の社会保障の在り方やその財源は争点にならず、選挙後の安倍晋三首相の会見でも、言及はなかった上に、医療を「岩盤規制」の一つとして、規制緩和を進める意向が示された(『安倍首相「医療は岩盤規制」の認識示す』を参照)。
横倉会長は、「消費増税分は社会保障の財源に充てることは、2012年6月の三党合意による国民との約束」「デフレ脱却によって経済成長が進めば、社会保障の充実に充てることができる。2025年に向けて着実に歩みを進めていくことが重要であり、国民の健康を守るために必要な財源の確保を引き続き要望していく」と述べたものの、来年の介護報酬改定については引き上げが予定され、医療財源の確保は容易ではないだろう。

衆院選に先立ち、日医は6点を要望
11月21日に、自民党に提出した要望書の内容は、
(1)世界に冠たる国民皆保険を守る、
(2)地域における必要な医療の確保、
(3)かかりつけ医を中心とした切れ目のない医療・介護を国民に提供し、地域包括ケアを推進する、
(4)持続可能な社会保障制度とするため、社会から支えられる側であった高齢者が、社会を支える側になるよう、健康寿命の延伸を目指す、
(5)医療機関における控除対象外消費税問題は抜本的解決を図る、
(6)TPPや過度な規制緩和については、公的医療保険の給付範囲を縮小しないよう、将来にわたって阻止する――の6点だ。

来年の通常国会の焦点の一つが、健康保険法改正。ただし、衆院解散前の11月上旬、自民党議員が、後期高齢者の低所得者などの特例軽減措置の廃止に反対、議論がストップしている。この点についての質問に、横倉会長は、「所得に応じて自己負担してもらうことは、日医の一貫した主張。収入が多い高齢者には応分の負担をしてもらうことが必要」とコメント。
介護報酬改定の引き下げが検討されていることについては、横倉会長は「特別養護老人ホームは内部留保が大きいため、議論になっている。同時に介護職員の給与の待遇改善も重要な問題。引き下げとなると、待遇改善に回す財源がなくなる。このバランスをどう取っていくかが課題」などと述べ、介護保険の財政全体を考えながら、議論されていくとの見通しを示した。

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by kura0412 | 2014-12-18 15:27 | 医療政策全般 | Comments(0)