日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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『100の地域があれば、100通りの地域包括ケアシステムがある』

京都式地域包括ケア
医師の意識改革迫る地域包括ケア◆京都府医師会の重要課題として尽力

「京都在宅医療塾」。ある平日の午後6時から京都府医師会館に集まった約20人の医師たちの年齢はさまざまだが、多くが在宅医療にかかわっている医師たち。この日のテーマは、「『肛門の診断学』の前に『肛門の診察法』 こうもんか(肛門科)とごうもんか(拷問か!)の違い」だ。

「京都在宅医療塾」は、2012年10月から開始した京都府医師会の取り組み。在宅医療に取り組む、あるいは関心を持つ医師たちに、在宅医療の知識や技術の基本、在宅医療に取り組むに当たっての悩み、課題を解決してもらうのが目的だ。取り上げるテーマは、出席医師らのアンケートを基に検討。今年度は計6回開催、排泄ケア、感染予防対策、緩和ケア、がんの疼痛管理などをテーマにする予定だ。京都府医師会副会長の北川靖氏は、「いろいろなニーズに対応できる医師を養成していきたい」と語り、在宅医療塾で学んだ医師が、地域に戻り他の医師にアドバイスするといった好循環を期待する。

京都府医師会会長の森洋一氏は、「在宅医療へのニーズが高まっているが、胃瘻や気管切開などの新しい技術を身に付けないと、在宅医療に取り組むことは容易ではない。同時に、医師以外の職種、さらには家族への教育も必要」と語る。
こうした発想から、「京都在宅医療塾」を始めたほか、2011年4月に府医師会館を新設した際に、5階1フロアを全て占める形で新設したのが、「京都府医療トレーニングセンター」だ。大学などがシミュレーション・ラボを設ける例は多いが、医師会による運営は全国的に珍しい。
同センターは、医療職種に限らず、医学生、介護従事者、患者家族などにも広く開放している点が特徴で、京都府立医科大学などの協力も得て、さまざまなコースを開講している。トレーニングできる技術は、救命医療から在宅医療まで幅広い。在宅関連では、喀痰吸引、褥瘡ケア、口腔ケアなどのほか、トイレ移乗の介助も実習できる。在宅医療を始める際に、事前に家族が疑似体験することで、介護不安を軽減できる。
そのほか、京都府医師会では、「在宅医療サポートセンター」を立ち上げ、医療・介護関係者、介護者向けの情報提供を行うほか、摂食・嚥下障害、排泄障害などをテーマとした小冊子『生活を支える医療「虎の巻」』も発刊するなど、在宅医療支援のためのさまざまな取り組みを行っている。
「京都府医療トレーニングセンター」の一室。パソコンを置いてある部屋から、訓練の状況を見ながら、さまざまなシチュエーションを想定したプログラムを起動させることが可能。

支える医療、癒す医療、看取りまで
地域包括ケアシステムの確立には、医師の参加が不可欠だ。
北川氏は、「地域包括ケアは、医療の役割、考え方の変化を求めるものと言える」と指摘する。医療の専門家としての役割だけではなく、チームをマネジメントする医療の責任者、さらには援助者などとしての役割が加わる上、「医療」の内容も、従来の「治す」から、支える医療、癒す医療、看取りまで広がってくるからだ。「生老病死のうち、今まで医師が目を反らしていたのが、老と死。それに対する備えの一つが地域包括ケアではないか。地域包括ケアは、地域の再構築であり、地域のきずなを深める機会でもある」(北川氏)。
京都府医師会としては、医師の在宅医療、地域包括ケアシステムへの参加を進めるため、今後もさまざまな働きかけをしていく方針。同時に、医師会が地域包括ケアシステム構築の核となるための取り組みも進める。「京都地域包括ケア機構発足と同時に、府医師会も地域医療課の充実を図った。
「100の地域があれば、100通りの地域包括ケアシステムがある。全国一律の取り組みは難しい。各地域の実情を知っているのは、地区医師会であり、都道府県医師会と郡市区医師会が共同して取り組むことが必要。また、地域包括ケアシステムには、医療、介護のあらゆる職種、大学、医師会、病院協会などさまざまな団体の参画が必要。地域によってまとめ役を誰が担うかは異なるが、私は医師会がその重要な担い手だと考えている」。森氏はこう語り、地域包括ケアシステムの構築を医師会の重要課題と位置付ける。

京都府では、地区医師会でレベルでの取り組みも盛んだ。
左京医師会がその代表格(『実践的な情報・課題共有が連携のカギ』を参照)。宇治市医師会も熱心な医師会の一つ。年に4回、医療と介護の垣根を越えた症例検討会を実施するほか、「在宅医紹介システム」を運営している。同医師会の開業医の会員は約200人のうち約30人が登録、紹介の依頼が入ると、患者の居住地や状態などの情報をメーリングリストで流し、主治医を探すシステムだ。同医師会の地域医療担当理事を務めているのが、かどさか内科クリニック院長の門阪庄三氏で、「私自身、在宅医療を進めないと、医療保険制度が持たないと考えている。しかし、これをリアルな問題として捉え、在宅医療に取り組む医師はまだ少ない」と危機感を募らせる。「在宅医療を難しいと考えている医師も少なくない。けれども、一度、在宅医療を知ってもらえば、その良さ、医師の社会的役割への目覚めなどにつながる。1例ずつお願いし、在宅医療を経験してもらうことが、一番の啓発になるのではないか」(門坂氏)。

医療介護の地域格差、拡大も
これまで5回の連載で、京都地域包括ケア推進機構および京都府医師会、地区医師会の取り組みの一部を見てきた。京都府の場合、府知事の公約という、トップダウンで、京都地域包括ケア機構が発足し、行政、医師会、大学、病院団体、介護・福祉系団体など、府下全域の関係団体が全て結集した。さまざまな事業が動き始めた今、京都府内でもいかに地域別の実情に合わせた取り組みを行うかが課題。京都市と京都府北部など、地域によって医療・介護のインフラが全く違うからだ。
「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本方針」が決まり、都道府県や市町村で計画策定が始まる(『医療介護の総合確保方針、了承・告示へ』を参照)。地域包括ケアシステムのステークホルダー、プレイヤーは多岐にわたり、地域によっても異なる。まさに2025年の医療介護提供体制の構築に向けた取り組みが本格化する中、地域の実情に合わせた仕組みを実現できる否かは、関係者の熱心さと知恵、行動力にかかっている。各地域の取り組みに温度差があれば、医療介護の地域格差が広がる可能性もある。

【m3.com】




地域包括ケアはその地域の医療・介護関係者と地域住民との知恵比べです。したがって、そこには地域差が生じることを覚悟しておく必要があります。
by kura0412 | 2014-11-26 16:47 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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