衆議院解散への過程

焦点:増税と閣僚辞任絡んだ解散の決断、追加緩和も後押しに

安倍晋三首相が18日、衆院解散の方針を表明した。半年前にはだれも想定しなかった解散の「大権」を安倍首相が行使する決意を固めさせた要因は何か──。
時計の針を戻してみると、2つの動きが交錯していたことがわかる。1つは、消費税を10%に引き上げるかどうかの決断であり、もう1つは内閣改造後に噴出した「政治とカネ」の問題と2閣僚の辞任だ。さらに10月末の日銀追加緩和による株価急騰が結果的に援護射撃となった。

<序曲は8月生産と消費の落ち込み>
17日朝の東京市場には、衝撃が走った。2014年7─9月期の国内総生産(GDP)が前期比・年率でマイナス1.6%と大幅に落ち込み、2期連続のマイナス成長となったからだ。米国では「景気後退」とみなされる現象に、超金融緩和を追い風に強気を通してきた株式市場も、日経平均.N225がやや狼狽するように前日比500円を超す今年2番目の下げ幅を記録した。
再増税の延期は、だれの目にも明らかになったが、実は政府部内で密かに増税延期に向けた調整作業が、かなり前から進んでいた。
まだ、蒸し暑さも残っていた8月下旬、ある政府関係者は「財政再建よりもデフレ脱却が最優先だ」と切り出した。そして判断のポイントは「今後の消費動向だ」と指摘した。
その当時、政府部内には財務省を中心に「景気はしっかりしている。7─9月期のGDPが悪くても、9月にかけて上向きなら、増税を判断できる」(幹部)という見方が多数だった。
ところが9月30日発表の8月家計調査では、全世帯の実質消費支出が前年比マイナス4.7%と落ち込み、8月鉱工業生産も前月比マイナス1.5%と低下。強気だった政策担当幹部の顔色が変わる。「懸念が強まった。消費の悪化だけでなく、生産の悪化と円安の(地方や中小企業への)悪影響は予想外だ」と述べ、景気が想定よりもかなり下振れしていることを示唆した
そして、10月21日の月例経済報告では、景気判断が下方修正され、「10月に入っても景気は良くなっていない」(幹部)と述べ、一段と懸念を強めていた。

<10月中旬から動き出した官邸>
その直後、安倍首相に近い関係者は「1年半で2度も消費税を上げる国はない。私はずっと消費税慎重派だ」と述べた。
日銀がマーケットの意表を衝いて追加緩和を発表した10月31日から数日後、政府関係者の1人は「安倍首相と菅義偉官房長官、甘利明・経済再生相の3人は、増税延期に傾いている」と語った。
その時点で、すでに延期の場合の予算編成作業や財政シナリオの書き直し作業は、水面下で着々と進行しており、増税実施か延期かの判断は、17日のGDP1次速報値の発表から月末までの間の公算が大きいと、その関係者は指摘した。
さらに18日の経済財政諮問会議では、景気判断が刷新され、首相から経済対策の取りまとめ指示が出て、対策の柱は低所得者や子育て層への支援と、エネルギーコスト対策になるとの見通しを示していた。

<郵政選挙と酷似する構図>
この景気低迷と増税延期という1本のシナリオに、政治という別の糸が絡みつく。ある自民党議員は10月下旬、安倍首相に非常に近い議員から、あるメッセージを受け取ったという。「(増税の)時期を先に延ばすだけでは、政治的にリスクがある。それを避けるには、選挙だな」──。
話を聞いた自民党議員は「その時は考えても見なかったが、今にして思えば、こういうことだったのかと」と感じた。そして、この構図は「郵政選挙と一緒だ」と気付いた。
増税延期には法律改正が必要になるが、与党内の実施派が衆参の本会議を欠席して「反旗」を翻した場合、政治的な混乱が生じかねない。これを未然に防ぐため、衆院を解散して民意を問い、勝ってその主張を通すという「手法」だ。

<誤算だった2閣僚辞任>
だが、景気失速と与党内の反対者を説得するという2本の糸が絡み合っただけで、「解散カード」が切られようとしているとみている与党関係者は、少ないようだ。もう1本の糸が、そこには存在していた。
ある政府高官によると、安倍首相周辺にはいくつかの解散プランがあったようだ。その1つに9月の内閣改造後、支持率の高まりを確認して、年内に解散するというシナリオがあった。ところが、2閣僚の辞任でこのシナリオの前提が崩れる。
一方で、ある与党関係者は、当初想定された解散時期は「来年夏だったのかもしれない」と話す。安倍首相にとって、長期政権を成し遂げるための大きな関門は2015年9月の自民党総裁選。その直前の15年夏に解散し、圧勝すれば総裁選の再選も、自ずと手中に入るというルートだ。
しかし、この構想にとっても2閣僚の辞任は障害になった。先の与党関係者は、スキャンダルが支持率を低下させ「このままズルズルいっちゃうという危機感は出てきた」と話す。いずれにしても改造後の政治情勢が、解散の判断に色濃く影響した可能性が高い。
また、「10月に実施した世論調査で自民党の支持率が思いのほか高く、首相は年内解散で行けると見た」(閣僚周辺)との見方もある。
ある自民党関係者は「麻生太郎政権が解散時期を逃し、支持率が下落を続け政権交代を招いてしまった記憶が生々しい」と語り、その時の教訓が早期解散シナリオの背景にあったと解説する。

<8%引き上げ時にも慎重だった首相>
この3本の糸に、いくつかの横糸も組み合わされ、早期解散への大きな流れが出来上がる。
まず、増税延期の伏線として、2段階の消費増税を決めた民主、自民、公明の3党合意に対し、安倍首相がかなり以前から冷ややかだったとの見方がある。複数の関係者によると、首相は野党主導の政策と受け止めていたようだという。
また、8%への消費税引き上げを決めた際も、首相は日銀の金融緩和で弾みのついたデフレ脱却がとん挫することを懸念。昨年9月に「2020年の五輪開催地が東京に決まったことなども視野に決断した」と首相周辺は解説する。
さらにアベノミクスの生みの親ともいうべき、首相を取り巻くリフレ派の内閣官房参与、本田悦朗・静岡立大学教授らは、もともと増税に消極的。その影響もあってか、4─6月のGDPが前期比年率7.1%減とリーマン・ショック直後以来の大幅なマイナスとなった時も「財務省の見通しが甘過ぎたと10月の訪米時、米学識経験者に不満を述べていた」(関係者)という。

<流れ変えた山本幸三氏の行動>
自民党内のリフレ派の代表格である山本幸三衆議院議員は当初、消費増税に賛成だった。だが、金融緩和で円安が進んでも輸出が増えないため「増税はデフレ脱却をとん挫させる」と主張を変え、9月初旬以降、増税延期の論陣を張り続けた。
山本氏は10月22日、増税延期派の議員らと「アベノミクスを成功させる会」をスタートさせた。与党内の事情に詳しい関係者は、この山本氏の行動が、延期派を勢いづかせる上で重要だったと指摘する。
初会合の直後、山本氏はある結婚式で同席した菅官房長官から「いろいろやってくれてありがとうございます」と、丁寧な言葉をかけられたという。

<増税派は延期論封じ込めに全力>
これに対し、財務省や自民党の税制調査会メンバーなどの増税実施派は、延期の声を封じ込めようと全力を挙げていた。「先送りすれば、自民党の中からも大議論が出るはず」(内閣官房幹部)と政局もちらつかせて、増税不可欠との主張を展開した。
財務省は「景気は良い」との発信を続け、10月20日に日銀が地域経済報告(さくらリポート)で東北地方の景気判断を小幅下方修正した直後には、ある高官が「景気はよいのだから引き下げる必要なかった。首相が慎重になってしまう」とけん制した。

<10月下旬から微妙に変化した財務相発言> 
だが、流れは11月に入って延期派有利に傾く。その分水嶺はどこだったのか。首相周辺は「麻生太郎財務相の発言を追えばヒントがある」と明かす。
財務相の会見発言を追うと、消費税をめぐる公式答弁は常に「経済状況等を総合的に勘案して適切に判断していく」(11月11日定例会見)と繰り返している。
しかし、増税判断の実施時期については、10月下旬に表現ぶりがそろり変化している。10月22日までは「12月」「年内」と表現したが、10月24日の会見以降「12月」との断定は避け、「12月に向けて」などと述べた。
政府関係者によると、首相周辺から財務省幹部に「延期の方針」が伝えられたのは、10月下旬だったという。

<日銀追加緩和で外堀埋まった財務省>
こうした早期解散の流れを決定的にしたのは、意外にも政治から最も離れた東京都中央区日本橋本石町のバズーカ砲発射だった。
事前にほとんど予想されなかった日銀の追加緩和により、7年ぶりの円安・株高が実現し、「結果的に解散支援になった」(財務省幹部)との見方もある。
自民党関係者は「あれでびっくりした、これはもう解散・延期しかないとなった」(関係者)と振り返る。
増税判断前に追加緩和が実施されたことで、財務省側は、事後的な追加緩和を武器に首相に増税を決断させる機会を失った。財務省関係者の間では追加緩和は「増税の後のはずでなかったのか」(関係者)と強い衝撃が走った。
さらに11月10日の日中首脳会談の実現も、政治的には大きな「ピース」になった。これで「やっぱり外交は安倍だと有権者に言えるようになった」(政府高官)ことも、解散を後押しした。

<海外勢がバンザイノミクスの造語>
だが、増税延期により政府が財政再建への姿勢を後退させたことで、日本は「明確なマネタイぜーション(財政の穴埋め)を行っている国になった」との受け止めが、一部の海外市場関係者の間で広がり出した。
通貨の信認を毀損させ国債の暴落につながりかねない自滅的な政策パッケージだとして「バンザイノミクス」との造語も生まれている。
複数の要素が絡み合った消費増税の延期と衆院解散というドラマは、12月14日に結果が出る見通し。与党勝利の見通しの下に解散カードを切った安倍首相だが、日経平均の下落という現象にも直面した。アベノミクスの成果が問われる選挙が、始まろうとしている。

【ロイター】
by kura0412 | 2014-11-19 10:02 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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