11月解散説も

「消費税解散」に浮足立つ議員心理

来年10月に消費税を10%に再び引き上げるかどうか、首相、安倍晋三の最終判断の時期がいよいよ迫ってきた。
有識者から引き上げの是非を聞く「集中点検会合」も始まった。安倍は引き上げ先送りに含みを持たせた発言を繰り返している。永田町では賛否を巡るさや当ても激しくなっており、にわかに「11月解散」の臆測も飛び交い始めた。

■物議を醸した首相の発言
「首相官邸が消費再増税先送りに傾いていることは間違いない」。こう語るのは、再増税に反対する自民党内の議員連盟「アベノミクスを成功させる会」に参加する中堅議員だ。この議員が最近、意見交換した官邸幹部は「先送りした場合の影響をどう思うか」「国際社会にはどう説明したらよいか」など、あたかも先送りを念頭に置いたかのような質問を次々としたのだという。
安倍の言葉の端々からも、先送りの可能性を最後まで留保しておきたい思惑が垣間見える。10月中旬の英フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューでは「増税で経済が失速すれば税収は増えない」と述べた。
10月30日の衆院予算委員会での発言も物議を醸した。安倍は「2015年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字をGDP(国内総生産)比で10年度から半減させる」との財政健全化目標について問われ、「いわゆる国際公約とは違う。経済ですから、何が何でも絶対にという約束は果たせない」と言い切ったのだ。
この発言は、消費再増税に伴う痛みを緩和するための財政出動の用意があることを語ったとも受け止められる。ただ、これまで財政健全化目標が「国際公約」と位置づけられていたことが消費再増税への「縛り」となっていた面は否めない。
先送りに含みを持たせた安倍の発言は、自民党内で早期の衆院解散・総選挙への臆測をあおった。「解散に踏み切るなら今しかない。消費再増税先送りを掲げれば勝てる」。選挙基盤の弱い若手議員らが集まると、こんな話題で持ちきりになるという。

前経済産業相の小渕優子ら2閣僚の辞任をはじめとする相次ぐ閣僚の「政治とカネ」問題で政権への逆風は強まった。しかし、来年の通常国会では、集団的自衛権を巡る安全保障法制の整備など国民ウケの悪い難問が待ち受ける。さらに、消費税が10%となれば有権者の「痛税感」が追い打ちをかけるのは想像に難くない。衆院の任期は2016年12月だが、後になればなるほど解散・総選挙に打って出るタイミングの選択肢は狭まり、難易度も高まっていく。
消費再増税先送りの是非を問う選挙ならば、有権者の支持は得やすいという議員心理もある。来年10月の消費税10%への再引き上げは、民主党政権時代に民主、自民、公明の3党で合意し、法律に明記された。それを現首相が覆すなら、改めて民意を問うことは「大義」になるとの考え方もある。

■党内であつれきも
野党側も浮足立ってきた。ある民主党幹部は「11月解散は望むところ」と意気込む。「今ならやりようによっては野党内での民主党の議席を増やすことも可能」なのだという。3党合意を交わした手前、再増税先送りには反対せざるを得ないが、「増税先送りの根底にはアベノミクスの欠陥があった」と批判する戦略だ。円安による物価上昇に賃金アップが追いついていない家計の状況を訴えれば、有権者から一定の支持が得られると踏む。
ただ、自民党内では党税制調査会やベテラン議員を中心に「財政規律を守るため予定通り消費税を引き上げるべきだ」との声は依然強い。先送りを決めれば、党内でのあつれきも生まれかねない。「11月解散」は杞憂(きゆう)に終わるのか。来年9月の自民党総裁選での再選も見据えて解散時期を探る安倍の心の中はまだ見えてこない。

【日経新聞】
by kura0412 | 2014-11-07 09:03 | 政治 | Comments(0)