歯科界では議論がないまま「患者申出療養」大枠決まる

中央社会保険医療協議会
患者申出療養、「先進医療普及の契機」と保険局長
枠組みを了承、議論は医療保険部会へ

中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・国立社会保障・人口問題研究所所長)は11月5日の会議で、患者申出療養(仮称)の枠組みを了承した(資料は、厚生労働省のホームページに掲載)。厚労省は、11月7日の社会保障審議会医療保険部会で議論後、同制度の創設に向け、次期通常国会に関連法案を提出する方針。制度の具体的な運用方法は、法案成立後、再び中医協で議論する。

患者申出療養(仮称)は、現在の保険外併用療養の評価療養で実施されている「先進医療」を拡充するイメージ(『「患者申出療養」、臨床研究中核と大学本院が主』を参照)。患者申出療養(仮称)で可能になる医療として、厚労省は、
(1)病期が進んだり、合併症があるなど、先進医療の実施計画の対象外となる患者への療養、
(2)治験の対象外となる患者への治験薬の使用、
(3)国内未承認・海外承認薬の使用――などと例示した。
患者申出療養(仮称)は、将来的には、保険適用を目指していることから、「疾病または負傷の治療と言えないものを除く」とされており、美容などは対象外。

これに対し、日本医師会副会長の中川俊男氏は、「患者申出療養(仮称)で一番多いのは、先進医療の実施医療機関が近くにない患者に対し、先進医療で実施されている療養を行う場合」と指摘、この点を明示するよう求めた。「先進医療の多くは1ケタの数の施設しか実施していない。患者申出療養(仮称)で実施されるようになれば、対象患者が広がり、先進医療の症例が積み重なり、保険適用が早まるのではないか。これは患者にとって朗報になる」(中川氏)。
この指摘を受け、厚労省保険局長の唐澤剛氏も、中川氏の主張を支持、「患者申出療養(仮称)が先進医療の普及の契機になる」とコメントし、前述の(1)とは別建てで明記するよう指示した。

患者申出療養(仮称)を実施するまでの流れは、「患者申出療養(仮称)として前例がない場合」と「患者申出療養(仮称)としては前例がある場合」の2通りを想定しており、申請までの流れ、審査の仕方などが異なる。既に、先進医療として実施している治療法でも、患者申出療養(仮称)で初めて実施する場合には、「前例がない場合」に該当する。いずれも、臨床研究中核病院または特定機能病院で実施。ただし、臨床研究中核病院が承認すれば、患者に身近な医療機関でも、「協力医療機関」として実施が可能だ。前例がない場合には、国が実施の可否を申請から原則6週間で審査。一方、前例がある場合には、臨床研究中核病院が申請から原則2週間で審査する。

臨床研究中核病院は、現在予算事業でやっている制度ではなく、2015年4月から医療法上で位置づけられるものを指す。厚労省はその要件について別途検討中。患者申出療養(仮称)への対応も役割になることから、厚労省医政局研究開発振興課長の神ノ田昌博氏は、「患者への相談体制をいかに整備するか」が重要であるとし、患者申出療養(仮称)が円滑に進むように要件を整備する方針を示した。

先進医療と患者申出療養(仮称)の相違は、前者は医療機関側が仮説を立て、臨床研究等をデザインして実施するのに対し、後者は「患者の申出」が起点になる点だ。患者は、かかりつけ医等の協力を得ながら、臨床研究中核病院(予算事業では15法人、計16病院)、または特定機能病院(86施設)の中で患者申出療養(仮称)についての窓口機能を設ける病院に対し、申請する。患者申出療養(仮称)は、先進的な医療を実施する臨床研究中核病院等だけでなく、かかりつけ医等も重要な役割を果たすことになる。
今後、制度の具体的な運用方法として、
(1)インフォームド・コンセントの内容、手続き、
(2)臨床研究中核病院等における、申出や相談の応需体制、
(3)協力医療機関の考え方、
(4)国における患者申出療養(仮称)の審査体制、
(5)有害事象、副作用等発生時の対処方法――などについて、検討する。

安全性のレベルは3段階
患者申出療養(仮称)の枠組みについては、おおむね厚労省の原案通り了承されたが、5日の中医協総会では、幾つか質問や懸念が呈せられた。
日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、患者申出療養(仮称)の実施までの流れについて、「何度か有効性、安全性という言葉が出てくるが、全て同じレベルなのか」と質問。
 厚労省保険局医療課企画官の佐々木健氏は、
(1)かかりつけ医が患者と相談する場合、
(2)臨床研究中核病院が国に対して申請する場合、
(3)国が審査する場合――において、求められる有効性・安全性のレベルは異なると説明。
「患者は、患者申出療養(仮称)の申出を行う際、かかりつけ医等に相談する。かかりつけ医等に求められる有効性・安全性の説明は、可能な範囲で情報提供するという意味。ただし、治療の内容によっては、専門的な医療機関しか判断できない場合もあるので、その場合には臨床研究中核病院もしくは窓口機能を有する特定機能病院につなぐ。臨床研究中核病院が国に申請する場合には、文献などをベースにしっかり根拠を固める。さらに、最終的に国の審査では、専門家が資料等を基に判断する。その上での有効性・安全性になる」(佐々木氏)。

審査期間は、あくまで「原則」
患者申出療養(仮称)に関する懸念として挙がったのは、「前例がない」場合の国における審査、「前例がある」場合の臨床研究中核病院における審査、それぞれに要する期間だ。申請から、前者では原則6週間以内、後者では原則2週間以内に、それぞれ審査を行うことが求められている。

中川氏は、期間に捉われて判断を急ぐ懸念、あるいは審査に時間がかかり、その間に患者が死亡し、「審査が遅かった」と指摘される懸念があるとした。「有効性と安全性、患者の状態の見極めが何より重要。原則6週間以内などの期間を守らなかった場合でも、責められるべきではない。あくまで原則」と主張し、「ペナルティーを想定しているのか。それはあってはならない」と質した。佐々木企画官は、「当然、6週間(もしくは2週間)で判断できない場合もあり得る。ペナルティーは想定していない」と回答した。
連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の花井十伍氏からは、先進的な医療を実施する場合、先進医療と患者申出療養(仮称)の二つの選択肢があることになり、後者の方が審査期間が短いことから、多くは、患者申出療養(仮称)になるとの予測も出た。この辺りは今後の具体的な運用方法の議論次第だが、花井氏は、患者が理性的な判断ができる体制作りを求めた。

「前例の有無」の定義、今後の検討課題
具体的な運用方法の議論に当たって、論点の一つが、「患者申出療養(仮称)の前例」の定義だ。慶應義塾大学総合政策学部教授の印南一路氏は、「前例がある、とは、国が承認したという理解でいいか。(患者申出療養を)実施していなくてもいいのではないか」と質した。
佐々木企画官は、印南氏の解釈を支持したものの、中川氏は、「実施した前例があると理解すべき」と反論。佐々木企画官は、「先進医療でも、実施医療機関を追加する仕組みがある。患者申出療養(仮称)でも、患者が少ないケースでは、実施されていない場合など、医療機関を追加することもあり得るのではないか」と述べつつ、具体的な運用方法の議論で取り上げるとした。
この点についても唐澤局長が発言し、「前例の有無は、臨床研究中核病院における審査の在り方や事務負担の問題とも関係してくるので、今後、具体的な運用方法の中で議論をする」と引き取った。

【m3.com】



歯科界では議論がないまま大枠は決まりそうです、無念。
by kura0412 | 2014-11-06 08:51 | 医療政策全般 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
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