デング熱

感染地域に行き、高熱が続いて鼻水や咳症状がなければ疑う
デング熱発症者の特徴は赤血球と血小板の減少
重症化しやすい妊婦に、日産婦も声明を発表

国立国際医療研究センター国際感染症センターの忽那賢志氏は9月11日、同センターで開催されたメディアセミナーで講演し、デング熱の病態について解説した。忽那氏は、「デング熱を発症すると、蚊に刺された後に高熱が5~7日間続く。感染が報告されている場所で蚊に刺されており、発熱が続く場合は経過を追う必要がある」と適切な対応を求めている。

デング熱とは、日本脳炎ウイルスと同じフラビウイルス科に属するデングウイルスにより生じる感染症のこと。ネッタイシマカやヒトスジシマカにより媒介される。病態は、非致死性で熱性疾患のデング熱と、重症型のデング出血熱やデングショック症候群の2つがある。
臨床症状は、蚊に刺された3~7日後に発症し、発熱、頭痛(目の裏が痛い)、関節痛、下痢などの症状が5~7日感続き、熱が下がる頃に皮疹が現れるのが特徴だ。「高熱に加え、頭痛、目の奥の痛み、ふしぶしの痛み、筋肉の痛みがあれば疑われる。逆に、咳、のど痛、鼻水などの症状がある場合はデング熱の可能性は低い」と忽那氏。
発症者の特徴としては、38~40℃の高熱が5~7日程度続く。発熱の3日目ごろから白血球数と血小板数が低下し、5日目ごろから発疹が生じる。
身体のだるさのピークは5~7日目ごろで、解熱後も1~2日間はそのだるさが続く。「皮疹は熱が下がってくるときに表れる。デング熱の皮疹は、全面が赤くなり、中に白い斑点がポツポツとある(white island in red sea)のが特徴だ。風疹のような発疹で終わる人もいる」と言う(忽那氏)。

セミナーで登壇し、国立国際医療研究センターでの経験症例を解説した同センターの篠原浩氏は、「15例ほどの症例を経験したが、これまでに命に関わるような重篤な合併症は見ていない。外来で診ている患者もいるが、高熱が続いて消耗するか倦怠感が強い、食事や飲水が十分にできないなどを理由に入院するケースが多い」と言う。特に、熱が下がり始める発熱から5~7日後に「全身倦怠感が強く表れ、重症化する可能性がある。経過を追っている際には注意すべき」と説明する。
病原診断は、発症初期の1~5日目は非構造蛋白抗原(NS1)の検出や遺伝子検査で、解熱する前後の4日以降は特異的IgM抗体の検出、発症から1週間以降の回復期であれば血清中IgG抗体の上昇を確認することで診断できる。特にNS1抗原は簡易キットが開発されており、早期診断に有用とされる。だが、「熱が下がり発疹が出る頃に検査を実施しても結果が出ないことがある。その場合はIgM抗体の検出が必要となるだろう」と忽那氏は話す。なお、同センターでは、NS1抗原、IgG抗体、IgM抗体を検出できる簡易キットを用いているという。
だが、現時点ではNS1抗原検査が行える医療機関が限られている。そのため患者には「病態が安定している、もしくはすでに解熱している患者は、保健所を介して東京都健康安全研究センターなどの専門機関で検査するように伝えている」と現在の対応状況を話す。そして、「無症状の方からの質問や不安の相談は、最寄りの保健所に電話をするよう啓発している」という。
「白血球、血小板の減少が特徴的だが、初診時は目立たないことがある。デング熱感染の可能性があれば、ある一時点での検査所見だけでなく、経過を追う必要があるだろう」と忽那氏は話している。

異なる型に感染すると重症化のリスクも
デング熱の重症化の要因については、デングウイルスは血清型で4つのウイルス型(DENV-1、DENV-2、DENV-3、DENV-4)に分類され、「血清型の異なるウイルスによる2度目の感染に起因すると言われている」と説明。同じ型の感染であれば再度感染しても発症することはないと考えられていることを解説した。
一方で、過去に感染したことのある患者が他の型のデングウイルスに感染した場合は、初回の感染で中和能を有さない交叉性抗体(感染増強抗体)が多量に産生され、2回目の感染時に大量の免疫複合体が血液中に形成される。その影響から、体内の炎症が強く現れデング出血熱を来すと考えられているという。出血徴候があるかの判断は、血圧計で5分間圧迫した後に紫斑が出現するかを確認するターニケット試験で確認できる。
また、デングウイルス感染者のうち、発症するのは10~50%。重症化するのはそのうちの数%程度だが、「妊婦や母体からの移行免疫の切れる6カ月以上の乳幼児、糖尿病の患者は重症化しやすい傾向がある」とも話していた。

日本産婦人科学会が妊婦に向けた声明を発表
同日、日本産科婦人科学会は、声明「デング熱感染を心配している妊婦のみなさまへのお知らせ」 を発表し、妊娠していない女性に比べ、妊娠女性が重症化しやすいことを啓発している。
声明には、デング熱ウイルス感染が認められている地域の妊娠女性に対し、ヤブ蚊(ヒトスジシマカ)に刺されないよう、長袖等を着るように注意することや、発症が疑われた場合は早めに医療機関を受診するようにと記されている。
日本では海外で感染し、帰国後発症する輸入症例が年間約200例報告されている。
過去60年以上国内での感染報告はなかったが、8月27日に渡航歴のない埼玉県在住の10代女性がデング熱を発症したと厚労省が発表。発症者が相次ぎ、9月11日時点では103例の発症者が報告されている。

【日経メディカル】



今までも輸入症例が年間200例もあったとは知りませんでした。
by kura0412 | 2014-09-12 17:12 | 医療全般 | Comments(0)