日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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『「社会保障制度改革推進会議」の役割』

「消費税10%」後の社会保障制度とは?
17日スタート!「社会保障制度改革推進会議」の役割

7月17日に、社会保障制度改革推進会議の初会合が開催された。筆者はその委員を仰せつかったが、今後この会議が何を担い、どのように議論を進めて行くかについて、ぜひ読者の皆様に紹介したい。
この会議の役割の1つは、「2025年を展望し、中長期的に受益と負担の均衡がとれた持続可能な社会保障制度の確立を図るための、改革の総合的な検討を行うこと」である。硬いことを抜きにしていえば、消費税率を10%に引き上げて社会保障の充実や重点化・効率化を行った後、わが国の社会保障制度をどうするか、である。

「消費税率10%もまだなのに!」と言う前に・・
消費税率を10%に上げるかどうかの最終判断は、年末までに行うとされている。まだ上げると決めていないのに、誰がそんな議論を始めろと言ったのか、と気の短い方は思われるかもしれない。この詳細は、後に言及しよう。
社会保障制度改革推進会議は、そもそも昨年12月に成立した社会保障改革プログラム法を根拠に、内閣に設置される総理大臣の諮問機関である。明確な法的根拠のある会議である。さらにさかのぼって、社会保障改革プログラム法は、消費税率を10%に引き上げることを決めた社会保障・税一体改革関連法(2012年8月成立)を受けて、消費税率引き上げによる増収分をどの社会保障給付に充てるかについて、その全体像と進め方を明示した法律である。さらに社会保障改革プログラム法に基づき、社会保障制度改革推進会議は、社会保障・税一体改革の進捗状況の確認という役割も担うこととされている。
別の言い方をすれば、社会保障改革プログラム法自体は、消費税率を10%に引き上げることを規定した法律ではない。しかし、社会保障改革プログラム法は、消費税率を10%に引き上げることを想定して、子ども子育て、医療、介護、年金の各分野で必要な制度改革の進め方を規定したものである。そして、その社会保障改革プログラム法によって、社会保障制度改革推進会議の設置が根拠づけられている。

2025年見据え、横断的視点で社会保障制度改革を議論
要するに、社会保障制度改革推進会議には、ポスト「一体改革」を意識した議論を託されたものといえよう。したがって、社会保障制度改革推進会議は、消費税率を10%に上げるか否かを決める機関ではないものの、消費税率を10%に引き上げることを想定して企画された社会保障改革について進捗状況を確認し、さらにその後2025年を見据えたわが国の社会保障制度のあり方を、5年以内に打ち出すことを目指している。
では、社会保障制度改革推進会議は、当面どこに焦点を当てて議論するのか。
社会保障に関する有識者会議は、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会があり、そこではより専門的に各分野の具体策について議論する場が設けられている。さらに、医療では、健康保険制度や診療報酬の改定などについて審議する中央社会保険医療協議会がある。社会保障制度改革推進会議は、社会保障審議会や中央社会保険医療協議会などと対抗する形で議論する場ではない。むしろ、社会保障制度の分野横断的な内容を扱うのに向いている。
その観点から言えば、他の会議体では扱いにくい内容で分野横断的なものとして、基礎年金の給付水準と生活保護給付の水準の調整や、医療と介護のより包括的な連携、社会保障給付と税制との関係などが考えられよう。

とはいえ、政権として消費税率を10%に引き上げることを最終判断していない以上、今夏以降の年内において、それが前提になるような社会保障制度の具体策を、社会保障制度改革推進会議で議論するのはなじみにくいだろう。この会議の直接的な担当である、甘利明・社会保障・税一体改革担当大臣は、目下の景況をにらむ経済財政政策担当大臣でもある。社会保障制度改革推進会議議長に就任した清家篤慶応義塾長は、第1回会合後の記者会見で、まだ消費税10%も本決まりでなく、まずは10%を前提とした制度の成り行きを注視するとの旨を述べている。
そうした微妙な立ち位置も見計らいつつ、ひとまず年内は、地域医療ビジョンの策定をにらんだ作業が中心となってこよう。それ1つとっても、今後のわが国の社会保障をめぐっては軽視できないものである。早速、社会保障制度改革推進本部の下に、「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」を設置して、地域横断的な医療・介護情報の活用方策などを検討することから始めることとなっている。

専門調査会での討論は、医療費適正化の重要なステップ
「医療・介護情報の活用方策」と抽象的に言われても、何のことかわからないだろう。
専門調査会の名前は抽象的だが、ミッションははっきりしている。それは、社会保障改革プログラム法で方向性が示され、今年の通常国会で成立した地域医療・介護総合確保推進法に盛り込まれたものだが、地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保のための体制整備に必要な情報整理と分析である。
地域医療・介護総合確保推進法では、医療機関が病床機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)を都道府県に報告する仕組みである、病床機能報告制度を設けることが決まった。そして、この制度を基に、地域医療構想(ビジョン)を都道府県が策定することになっている。予定では、今年度中に、都道府県が地域医療ビジョンを策定するために必要なガイドラインを策定し、ガイドラインを踏まえ来年度に都道府県が地域医療ビジョンを策定することとなっている。
地域医療ビジョンでは、病床の機能分化・連携を進めるなど、医療提供体制改革を行うことを目指すとともに、過剰な医療機能への転換の中止要請、稼働していない病床の削減要請、要請に従わない医療機関の管理者の変更など、強化された都道府県の権限で、医療費を適正化することが期待されている。したがって、この専門調査会は、この予定をにらんでの作業を進めることとなろう。
地域医療ビジョンがより有効に策定されれば、患者のニーズと医療機関の体制のミスマッチを減らして、都道府県間で1人当たり医療費が高い県と低い県が顕著にある現状を改めて、医療の質を保ちながら医療費の負担を適正にすることが可能である。2025年を見据えて的確な一歩を踏み出せるかどうかがかかっている。

※ 本稿において意見にわたる部分は、あくまで筆者の個人的見解であり、筆者が関わる組織や会議等を代表するものではない。

【土居 丈朗:東洋経済・岐路に立つ日本の財政】




もう一度国民会議の報告書とプログラム法案を精査して、歯科界としてどうこの議論に取り組むかを再検討する必要があるようです。
by kura0412 | 2014-07-29 16:20 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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