日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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『国家安全保障としての保健医療』

国家安全保障としての保健医療:日本版CDCの設立を

僕の最も尊敬する臨床医の一人に青木眞氏(感染症コンサルタント・JIGHアドバイザー)がいる。若手の研修医にも絶大な人気を誇る感染症の専門医だ。
先日、彼との会話の中で、なぜ日本で風疹などの感染症対策がうまく行かないのか、という話になった。
公衆衛生には、国家安全保障的役割もある。それが日本では正しく理解されていないのではないか、という話題になった。
公衆衛生と言えば、日本では、役所や保健所、大学、研究所があるではないかと言う方もいるだろう。もちろん、そうした機関も大事なのだが、国家安全保障的役割が重要であることを忘れてはならない。
その一番分かりやすい例が、感染症対策だ。

例えば、将来起こりうる鳥インフルエンザの大流行などでは、基礎研究、臨床、公衆衛生の知見を総動員しなくてはならない。そして、国家安全保障的観点からの対応が必要なのだ。
ここ数年の中国の感染症への対応は驚くべき迅速だ。遺伝型の同定、症例の把握、疫学研究などが世界の一流雑誌に即座に発表される。
その中心が中国・疾病管理予防センター (Center for Disease Control and Prevention: CDC)である。
米国CDCをモデルに設立されたこの組織は、単なる公衆衛生の役所でも、一研究機関でもない。それは、まさに「国を健康の脅威から守る」というミッションを持っている。
私がWHOで働いていた時に仲の良い米国CDCに勤務する疫学者の友人の一人が幹部に昇進したお祝いに自宅に呼んでくれ、そのまま泊めてくれたことがあった。翌朝CDCに出勤する時の彼の姿に驚いた。
彼は軍隊の制服を着ていたのだ。公式の会議ではCDCの幹部はいつもそうだと言う。
CDCは基本的には軍隊と同じ発想なのだ。ただし、戦う相手が感染症や地球規模の健康課題なのである。もちろん平和のための組織である。
米国CDCのエリートは、Epidemic Intelligence Service (EIS)というコースの卒業生だ。EISは公衆衛生のウエスト・ポイントであり、ここの卒業生がWHOをはじめ世界の感染症対策を仕切っている。Intelligenceという言葉にCDCの感染症対策に対する思想が込められているといって良い。
安倍政権の下、各省庁バラバラであった医学研究費を統合し、日本版NIHが設立され、戦略的な投資が期待される。私は、次に、国家安全保障的観点からCDC機能の設立が緊急課題であると思っている。

ワクチンを含めた感染症対策は、役所や研究所の場当たり的な判断に任せることはできない。国民の命を守るという発想で対応することが必要だ。
感染症、あるいは、PM2.5による大気汚染は他の国との国境はない。お互い最新情報をわかちあい助け合わなければ健康被害を食い止めることはできない。保健医療に敵はいない。
日本外交が大きなトラブルに見舞われている今、CDC機能の確立のための議論が盛り上がることは日本のみならず、健康の脅威に苦しむ世界の国へも大きな平和のメッセージとなるだろう。
是非、日本版CDC設立の議論を早急に開始してもらいたい。将来日本で感染症が蔓延してしまったら、と考えると恐ろしい。あの時に準備しておけば、こんなことにはならなかった、では遅すぎる。

【渋谷健司・ハフィントンポスト】



保健医療が国家安全保障として位置づけとの考え方です。
となると、そう簡単に中国がPM2.5に対しての協力を、現在いがみ合っている日本に協力を求めないのも理解できます。
by kura0412 | 2014-02-28 14:22 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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