週刊誌ネタですが

歯医者にダマされて はいけない 「削る」「抜く」はもはや時代遅れ 虫歯・入れ歯の常識はこんなに変わっていた

歯は、全身の健康と深く関係する。今やコンビニより数が多い歯科医院。その中で誠実な歯医者と出会うのは、とても大切だが至難の業だ。お金も健康も損なわない歯医者選びの真実を徹底取材した。

行かない方がマシだった
「私は、若いころから歯が丈夫とはいえませんでしたが、50代半ばを過ぎたころから、年に1回の頻度で虫歯になるようになってしまったんです」
こう語るのは、東京都杉並区在住の金子信之さん(63歳・仮名)だ。都心のマンションに暮らす金子さんは、当時近所にあった歯医者に通い、虫歯の治療を受け続けてきた。
「そこは1回の治療が10分ほどで、2~3回通うだけですぐに終わる。しかも、どんなに小さな虫歯でもすぐに削ってくれるし、かなり痛い時は、頼めば神経を抜いてくれるので、気に入っていたんです。ところが、神経を抜いた後の治療が雑で、すぐに詰め物が取れてしまったり、差し歯が欠けたりして、口の中はボロボロ……。担当医にクレームをつけたところ、『もっといい被せものに交換するしかない』と、いつの間にか保険のきかない治療に切り替えられ、しまいには40万円も請求されたんです。これはおかしいと思い、別の歯医者に行ったところ、神経を抜いた後の治療は、診療報酬が安いと聞きました。だから、雑に済ます歯医者が多いんだと……」

命にかかわるわけではないからと、つい放置しがちな虫歯や、歯槽膿漏に代表される歯周病といった口のトラブル。痛みが出て、あわてて歯医者に駆け込み、とにかく痛みさえとってもらえればと応急の治療を受ける。その結果、神経を抜かれたり、抜歯されたりして、口の中が詰め物や義歯だらけになってしまった……という方も多いだろう。
金子さんのケースに代表されるように、「歯医者によっては、行かない方がよっぽどマシなこともあります」と語るのは、岡田やよい歯科健診クリニックの岡田弥生医師だ。
「実は、大人になってからの虫歯は、過去に一度削ったことのある部分に再発してくるケースがほとんどなのです。一度削ってしまうと、再発のリスクが生まれる。そのため、歯医者に通うたびに再治療を繰り返し、やがて歯を失うことになる人も多いのです」
初期の虫歯でも発見すれば削って治療してきた背景には、実は歯医者の裏事情も大きく関係している。なぜなら、「削る・抜く」といった処置は診療報酬が高く、歯医者にとってもメリットが大きいからだ。
しかし今、歯科治療は大きく見直され、変わってきている。それについては後述するとして、まずは日本人の歯の病気に関するデータを見てみよう。
オーラルケア商品の大手メーカー・ライオンが行った「歯周病に関する生活者実態」調査によると、歯周病患者は30代で80%、60代になると90%にまで増加する。また、40代以降は、虫歯や歯周病が急速に悪化しやすい。これは、歯の表面や舌などにこびりつくプラーク(細菌の温床となる食べ残し)を洗い流す唾液の分泌量が、加齢とともに少なくなるからだ。

神経を抜くのは時代遅れ
また、歯が健康であることが、寿命をも左右することがわかってきた。ある調査によれば、80代以上で自分の歯が10本以上残っているか否かで、前者のグループは、その後15年間の生存率が、男性の場合は約2倍、女性の場合は約1・5倍も高くなるという結果が得られた。中高年こそ、虫歯・歯周病対策に力を入れ、できる限り自分の歯を残していかなければならない世代と言えるだろう。
「削る」や、「神経を抜く」「歯を抜く」というのが、これまでのスタンダードな歯科治療だった。その上で、歯を失ってしまった場合に行われるのが、次頁の表1で紹介している「入れ歯・差し歯・ブリッジ・インプラント」である。歯を失ってしまった場合は、確かにこれらは最適な治療法だ。
だが、虫歯があっても、できるかぎり自分の歯を温存する—これが、歯科治療の新常識になってきている。
「6年ほど前までは、虫歯に対する厚生労働省の考え方は『虫歯は全て取り除き、そこから治療を考える』というものでした。でも今は、『場合によっては神経を残し、無菌化して治す』という治療法に変わってきたのです」
こう語るのは、鶴見大学歯学部保存修復学講座教授の桃井保子医師だ。厚労省の方針が変わったのには、歯の「自衛」の仕組みが、歯科治療をする上で重大だということが見直されてきたからだという。

「歯の中には神経のほかに、血管やたくさんの細胞が詰まった歯髄という組織があります。この歯髄は、虫歯も含めていろいろな刺激から歯を防御しています。歯髄の細胞が残っていると、虫歯ができても歯の組織を変化させ、虫歯にならないように守ったり、修復する働きをする。自力でカルシウムなどを患部に詰め、菌が外から入らないようにすることができるのです。しかし、歯が死んでしまうと、そうした働きは失われてしまいます。そのため、虫歯は進行する一方になるのです。
また、歯髄があることによって、歯に水分が供給されます。弾力性のある、割れにくく、欠けにくい歯であり続けるためには、この水分の供給が必要です。ところが、神経を抜いてしまうと、それも失われるのです」

削らないでも治ります
神経を抜くことには、ほかのリスクもある。桃井医師が続ける。
「神経を抜くと、痛みがわからなくなってしまいます。そのため、虫歯の進行に気づかず、わかったときには歯はボロボロで、抜歯するしかないということになりかねない。これを避けるためにも、神経を含めた歯髄は、極力保存したほうがいいのです」
では、削ったり抜いたりせずに、どのように虫歯の治療をするのか—。左上の表2に掲げた、最新治療法をいくつか紹介しよう。
まず「削らない」治療の一つには、レーザーで虫歯を除去してしまう「レーザー治療」がある。歯槽膿漏などの歯周病にも活用されており、歯周ポケット内の細菌を死滅させたり無毒化させることで治療する。
また、オゾンによって虫歯菌を殺し、失うのは最小限に抑える「オゾン治療」や、小さな虫歯を吹き飛ばして治す「エアアブレーション」といった方法もある。それぞれメリット・デメリットや適用範囲があるが、うまく活用すれば、削らないか、最小限のダメージで治療ができる。いずれも、数千円~1万円程度でできるものがほとんどだ。
次に「温存する」治療には、「歯牙移植」や「再植」といった方法がある。いずれも自分の歯を加工して欠損部分に移植するので、違和感がなく安全などのメリットがある。歯科医療技術の進歩とともに、患者の選択肢の幅は広がっている。
とはいえ、歯医者の多くは、今もやはり「削る」「抜く」治療が中心だ。

カネ儲けが目的
現在、歯医者は10万人を突破しており、歯科医院の数はコンビニより多いといわれる。保険診療を主体とした上で、十分な収入が得られるのは、人口10万人に対し、歯医者50人とされている。しかし、現実ではその数は約80人にまで膨れ上がっている。競争相手が増えた歯科業界では今、熾烈な患者の取り合いが繰り広げられている。この現状について、医療ジャーナリストの森田豊氏が解説する。

「歯科業界が、保険診療だけで収入が得づらくなっているのは確かです。
日本の医療制度は保険診療に重点を置き、誰でもどこでも同じレベルの医療を受けられることをモットーとしています。しかし、歯科の場合、矯正歯科や美容歯科などの自由診療のみに力を入れている医療機関も多い。とはいえ、最初から自由診療のみの治療をすすめてくる歯科医には、疑問を持つべきでしょう」
また、医療ジャーナリストの田辺功氏も、歯医者とカネの問題について、こう話す。
「自由診療に誘導するケースは珍しくありません。『自由診療』ということは、料金は基本的に自由に設定できるということです。そこで、患者との会話の中で、当初は高めに伝えておいて、『特別に値引きしますよ』などとお得感を演出する。すると、患者もついダマされてしまうんです。これは最近の歯医者の常套手段です。
また、一度で済む治療に何度も通わせて稼ぐパターンもありますね。そもそも、削れば削るほど歯は悪くなり、何度も歯医者に通うことになる。長期的に考えれば、自由診療ではありますが最新の『削らない治療』を受ける方が、結果としてコストが安く済むこともあります。たとえば、自由診療だけれど安価な『3Mix-MP法』はおすすめですね」

歯医者だらけの時代に必要なのは、患者自身が「よい歯医者」を見抜く目を養うことだ。前出の岡田医師は、選ぶ際のポイントとして「診断」を挙げる。
「患者さんはまず治療の上手・下手に目がいくけれど、その前の『診断』が大切なのです。診断の根拠や治療法をわかりやすく説明してくれる歯医者は、ある程度は信頼できると言える。診断で納得がいかなかったら、治療を受けずにセカンドオピニオンに行ってほしいですね。そもそも歯を削ったり、神経を抜くといった治療を受けるのなら、患者さん自身が、まず『この先生に歯の命を預けていいかどうか』を考えてほしいのです」
自分の歯が今どんな状態なのかをしっかり「診断」し、なぜこの治療法をとるのかを話してくれる医師を選ぶということだ。
「われわれ医師としては、虫歯を削り、そこから再発した虫歯をまた治療し、次には神経を抜き、最終的には抜歯するという悪化のサイクルを、少しでも遅らせたい。どうしても悪くなったら、最後に神経を抜けばいいわけで、その前にワンステップ踏む余地があるなら、そのワンステップを踏むべきなのです」
「抜く」や「削る」一点張りの歯医者は、この「ワンステップを踏む」意識が乏しい。ろくに説明もしないで治療にかかろうとする医師は要注意だ。

ダメな歯医者はすぐわかる
東京医科歯科大学歯学部附属病院教授・水口俊介医師も、こうアドバイスする。
「歯の治療には限界があります。その部分をきちんと説明せず、いいことばかり言う医者は信用できない。また、病院スタッフへの教育がなっていないように感じられる歯医者も気をつける必要があるでしょう」
しかし、説明がうまいだけでは技量があるとは断定できない。症例件数ではなく、成功率をきちんと教えてくれるか、治療の導入部である麻酔が痛くないか、といったポイントで腕を見極めるといいだろう。
インプラント治療を受ける際にも、細心の注意が必要だ。たとえば、歯科医院の待合室などに、よくインプラントの資格認定証が何枚も飾られていたりするが、枚数=実力と考えてはいけない。インプラント治療の認定基準は発行者によってまちまちで、厳格な基準に基づくものからごく簡単に手に入るものまで玉石混淆なのが実態だからだ。
少なくとも「認定証があるから大丈夫」と速断しないくらいの慎重さは必要だ。
また、過当競争の中、インプラント代金の値下げ合戦も盛んだが、値引きで失った分の利益を手術件数で補う歯医者の存在も問題になっている。「使える歯を抜かれてインプラントを入れられた」、「質の悪いインプラントを入れられた」などのトラブルだ。
「インプラント自体は素晴らしい技術です。ただ、インプラントをしてから口の中に不調を起こしたり、噛み合わせが狂ったり、心身にわたり体調を崩す患者がいるということも聞きます。車でも何でも、いいものと悪いものがある。大事なのは、全体的な視点からの的確な診断・技術と、適切な歯科材料が使われているかどうかです」(むらつ歯科クリニック院長・村津和正医師)
インプラントを考えているのなら、疑問はすべて医師に尋ねることだ。そこできちんと答えてくれないようなら、セカンドオピニオンをとったほうがいい。その他、取材した医師たちに聞いた「いい歯医者の条件」を右の表3にまとめたので、歯医者を選ぶ際に、ぜひ活用してほしい。
街には歯医者の看板があふれかえっている。患者よりカネばかり見ている医者にダマされないために、われわれも見極める力をつけなければならない。それが、全身の健康や、命を守ることにもつながっている。

【現代ビジネス・「週刊現代」2013年10月12日号より】



なるほどと思う点と、?と感じる部分といろいろです。
by kura0412 | 2014-01-11 09:55 | 歯科 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




以前の記事

2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

健康・医療
政治・経済

画像一覧