日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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「基金」の配分

診療報酬でなく「基金」で医療充実、厚労省予算

厚生労働省は12月24日、2014年度の予算案を発表した。総額は昨年度から4.5%(1兆3115億円)伸びて、30兆円7430億円となった。医療分野の注目点は、医療提供体制の充実に向けて、「基金」が新設され、多くの予算が振り分けられた点だ。
一方、診療報酬改定は、額面はプラス0.1%で、消費税負担分を考慮すると実質でマイナス1.26%となった。

消費税による増収分の5兆円は、「全て社会保障の充実・安定化に向ける」との方針に基づいて、社会保障に振り分けられている。
医療関係では、
(1)「社会保障の充実」が5000億円、
(2)「消費税率引き上げに伴う社会保障4経費の増」に2000億円。
(2)のうち、消費税率引き上げに伴う医療機関の損税を補填するための予算は、医療費ベースで1.36%分に当たる、1899億円が確保されているとの説明だが、薬価の引き下げ分と相殺されていて、実際に増額を実感できる形ではない。5兆円の残りは、「基礎年金国庫負担割合2分の1とする措置の恒久化」に2.95兆円などが充てられている。

医療機関には「使い勝手の悪い」基金
(1)には、「医療・介護サービスの提供体制改革に使う」とされてきた消費税増税財源の約1000億円が含まれている。実際の合計額は、930億円で、日本医師会などは多くを診療報酬改定の財源とするように求めてきたが、改定財源として確保されたのは0.1%増分の140億円。別枠で、7対1入院基本料を算定する病床削減に向けた、暫定的な予算措置として213億円も計上され、実質的には診療報酬の財源に当たる。ただ、「(予算措置は)2015年度どうなるか不明」(厚労省保険局)な状況である上、仮に213億円を「プラス改定財源」と捉えたとしても、「実質マイナス改定」は変わらない。

930億円のうち、最も多いのは、次期医療法改正後に設置される都道府県の基金の予算。
で、544億円を確保。基金には、一般財源360億円も投入されて、計904億円規模となり、「(都道府件に設置されるので)地域の実情に沿って運用される」(医政局指導課)形となり、田村憲久厚労相も「使い勝手が良い。最終的には医療機関に入るかもしれない」とする。

ただ、基金の目的としては、
(1)医療従事者等の確保、要請、
(2)在宅医療の推進、
(3)医療提供体制の改革に向けた基盤整備――などが並び、
日医などが「医師が主体的に取り組んでいく」として、イニシアチブを取ることを強調してきた項目が並ぶ。都道府県との調整や審査が必要となり、「基金」という形での決着は、医療機関からすれば、「使い勝手の悪い」財源となった。

「必ず救急受け入れる病院」は30程度にとどまる
今年8月の概算要求と比べると、大幅減額となっている項目もある。
「必ず救急を受け入れる病院を100カ所程度整備」とされていた、「救急医療体制の強化」は、23億円の要求に対して、予算案は8億円。厚労省医政局指導課は、「実際の機能は変えないが、100カ所を3分の1程度として対応する」として、30施設程度とする考え。
「ドクターヘリ運航体制の拡充」は119億円から49億円、「専門医養成プログラムの作成支援等」は9.7億円から3.4億円と、半減以下となっているが、厚労省大臣官房会計課は「夏は予算額を載せずに項目だけ要求したものもあり、全体の調整の結果。厳しい状況であるが、最低限は確保できた」としている。

安倍晋三政権が目指す経済成長につながる創薬や研究開発の分野の予算案は、大きく減っていない状況。「予防健康管理の推進等」は214億円から207億円、「医療分野の研究開発の司令塔機能の創設に伴う取組の推進」(概算要求段階では、「日本版NIH」)は、524億円から476億円、「臨床研究中核病院などの整備」は34億円から26億円、「創薬支援機能の強化」は78億円から59億円となり、力を入れていることが伺える。
「難病対策」は562億円から719億円に増額され、「がん対策」は255億円から230億円となっている。



「904億円を医療に充当」、評価は早計
2015年度予算の新基金、執行状況を注視すべき

厚生労働省の2014年度予算案で、注目を集めているのが、「医療提供体制の改革のための新たな財政支援制度(基金)」だ。要求額は計904億円。内訳は、消費税増収分544億円、その他の一般会計からの上乗せ分360億円。
2014年度診療報酬改定の改定率が全体では0.1%、消費増税に伴う補填分1.36%を差し引くと、1.26%の引き下げになっただけに、基金への医療関係者の関心は高い。しかしながら、「904億円の予算が医療に新規に充当される」と期待するのは早計だ。

「新たな財政支援制度(基金)」の発端は、2013年8月の社会保障制度改革国民会議の報告書。
今後の財政支援の在り方として、「病院の機能転換や病床の統廃合など計画から実行まで一定の期間が必要なものも含まれることから、その場合の手法としては、基金方式も検討に値する」と打ち出された。これを踏まえ、先の臨時国会で成立した社会保障制度改革プログラム法に、基金の設置が盛り込まれた。

まず注意すべきなのが、「904億円」という額。「新たな財政支援制度(基金)」の対象事業は、
(1)医療従事者等の確保・養成、
(2)在宅医療の推進、
(3)医療提供体制の改革に向けた基盤整備――が想定されている。
この中には、医師確保対策の一環として2011年度からスタートした地域医療支援センター(8月の概算要求時点で13億円)や、看護師等養成所の運営等への補助(同52億円強)なども含まれている。他にも、既存事業のメニューが「新たな財政支援制度(基金)」の対象事業に入っており、年末の予算編成で、国の医療関係の予算が904億円純増したわけではない。

地域医療再生基金との違いも多々
「新たな財政支援制度(基金)」は、都道府県が主体となり、医療提供体制の改革を目的として、単年度ではなく複数年度に渡り予算を組むという点で、2009年の補正予算からスタートした「地域医療再生基金」に類似していると言える。ただし、地域医療再生基金は2013年度までの5年間の基金として開始したが、「新たな財政支援制度(基金)」は、何年間の基金になるか、現時点では未定だ。
地域医療再生基金は、2010年度以降も継続して予算化され、2012年度までに計6050億円の予算が計上された(東日本大震災の復興事業も含む)。2012年度補正予算は2013年度末までに開始する事業が対象だが、地域医療再生基金の予算化は2012年度で終了している。
二つの基金には、幾つかの相違点がある。
一つは、事業費の負担割合だ。地域医療再生基金の場合、国と都道府県の負担割合にはさまざまなパターンがあった。国の予算に、都道府県が上乗せをせずに事業を行う場合には、国の負担割合は10分の10。
一方、都道府県も予算を組み、上乗せした事業では、国の負担割合は10分の5などに下がる。都道府県がどの程度負担するかについては自由度があった。これに対し、「新たな財政支援制度(基金)」は、国が3分の2、都道府県が3分の1という負担割合。国が想定しているのは、消費増税に伴い、都道府県の税収も増えるため、それを充ててもらう図式だが、都道府県によって取り組み姿勢が異なってくる可能性はある。

「公立・公的重視」から脱却できるか
そもそも、地域医療再生基金自体、予算の執行状況は進んでいるとは言えない。
厚労省が11月22日の社会保障審議会医療部会に提出した資料によると、初年度の2009年度分でも執行率は54.0%にとどまる(資料は、厚労省のホームページに掲載〔参考資料2-1、2-2〕)。医療機関の施設整備費は、原則として工事完了後の支払いになることなどが理由で、基金事業終了時点での執行率は100%になる予定だが、円滑な予算執行には都道府県における迅速な調整や審査が求められる。
その上、地域医療再生基金における公立・公的と民間の医療機関の補助率は、73.9対26.1。同基金に対しては、「公立・公的に手厚い」との指摘は、民間医療機関から根強い。

「新たな財政支援制度(基金)」の開始は、2014年の通常国会に提出が予定されている、医療法改正法案の成立後。
地域医療支援センターは、既に2013年度時点で全国30都道府県に設置されている。4月以降に成立がずれ込めば、既に稼働している事業については4月に遡って予算が執行される見通しだが、同基金の補助対象や執行状況を注視していく必要がある。

【m3m com】



これらをみる限り歯科への配分は在宅診療ぐらいでしょうか。
by kura0412 | 2013-12-27 14:36 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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