日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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もはや限界を超えても

歯科の経営状態はすでに限界,プラス改定を強く求める(日歯)

日本歯科医師会(大久保満男会長)は11月28日,東京・市ヶ谷の歯科医師会館において定例の記者会見を行った.
当日,会見前には衆議院第一議員会館で自民党の国民歯科問題議員連盟の総会が開かれ,出席した大久保会長は日歯連盟とともに次期診療報酬改定や平成26年度税制改正について要望,関係者らと意見を交わし,対応を求めた.紹介された主な内容は以下のとおり.

歯科医師需給問題に関する要望書
日歯は以前より,極端に過剰な歯科医師数が安心・安全な歯科医療提供の妨げになりかねないと訴え,解決に向けて要望を続けてきた.しかし,昨今は歯科大学・歯学部に対する急激な志願者減に伴う競争倍率の低下が続いているため,入学試験の選抜機能にも支障をきたし,歯科医師の質の確保が危ぶまれている.そこで,問題の改善に向けて「入学定員の削減」と「歯学教育・体制の充実」を柱にした要望書を文部科学大臣宛に提出した.
【入学定員の削減】
 1)歯科医師の質を確保するための歯科大学・歯学部入学定員の削減
 2)入学定員充足率の極端な低下校と超過校に対する行政指導
【歯学教育・体制の充実】
 1)留年者が多く出た場合の入学定員による調整
 2)社会変化に対応し得る教育・教員の確保等の体制の整備
 3)座学偏重への指導
 4)総合的歯学教育システムに向けた対応
 これまで歯科医師の供給を中心に考えられてきたこの問題は,ここ数年,定員割れや一方で定員を大幅に上回る合格者を出す大学が目立ち始めたことにより,学生の質の確保と大学間に広がる格差への対応に迫られるという,より深刻な問題へと変質している.社会のニーズに即した積極的な大学改革が求められる.

第19回医療経済実態調査に関する分析
大久保会長は挨拶のなかで,「医療経済実態調査は,われわれの実感からするとやや良好な数字が出ているような印象を受ける.最頻値あるいは中央値をみると,やはりかなり厳しい状況で,歯科診療所の経営状態はもはや限界である」と述べた.
分析を紐解くと,個人歯科診療所における直近2事業年結果(平成23・24年)の損益差額は横這いの状況にあるが,特に医業費用のうち「給与費」「その他の医業費用」が増加し,経営状況はこれまでと同様非常に厳しい状況にあることが窺える.また,法人歯科診療所においては「院長給与」は費用に含まれるため,損益差額と院長給与の合計を比較すると過去5年間で大幅な減少が認められ,法人歯科診療所においても経営は依然厳しさを増している.医科の一般診療所と比較しても,損益差額,消費者物価指数,賃金指数など各項目において大きな開きがみられた.
歯科診療所の経営努力や経費削減努力はすでに限界に達しており,今後将来の設備投資等にも影響を与えることは明白である.安心・安全な歯科医療供給体制の根幹を揺るがしかねないこれ以上の悪化は決して容認できるものではないと,日歯としても引き続き,喫緊の課題として速やかな対応を求めていく.

【ヒヨ―ロンニュース】



需給問題は日歯と大学(特に私立)と一致しての要望とはなりません。従来よりもこの問題が別のステージとなっているだけに、本来ならば政府が率先して対応するべきなのですが。
一方、実態調査の方は、毎度限界・限界と叫びながらもこの状況です。もはや限界を超えていることを示さないとダメかもしれません。
by kura0412 | 2013-12-11 12:12 | 歯科医療政策 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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