調剤について議論が

中央社会保険医療協議会
「高すぎる調剤報酬」、日医委員から批判相次ぐ
大手調剤薬局チェーンの利益率も問題視

中央社会保険医療協議会総会(会長:森田朗・学習院大学法学部教授)で12月4日、調剤報酬について議論、厚生労働省は、保険薬局における後発医薬品の使用促進、長期投薬に対する分割調剤、残薬管理などを評価する方針を打ち出したが、日本医師会代表の委員からは、病医院でも同等の加算がないことに加え、調剤報酬の基本料や各種加算などの算定要件が、医科に比べて緩いことを問題視する声が相次いだ(資料は、厚労省のホームページに掲載)。

調剤報酬について問題提起したのが、日本医師会社会保険診療報酬検討委員会委員長の安達秀樹氏。
医薬分業が進展しているとはいえ、約3分の1の医療機関は院内調剤を実施していることを踏まえ、「保険薬局に、後発医薬品調剤体制加算があるのに、病医院の加算がないのは不合理」と問題視。

入院では、後発医薬品使用体制加算が2012年度改定で新設されたが、外来では、一般名処方をした場合の処方せん料の加算(2点)があるのみ。「医薬分業などを進めるために、インセンティブ的に評価を行うことはあるが、今の医科や歯科と、調剤では、各種基本料や加算の算定しやすさに差があると認識している」。安達氏はこう指摘し、医科、歯科、調剤について、各種基本料と加算について算定要件を比較できるよう一覧表にして検討するよう提案し、「今回の提案は一部の直しばかり」と厚労省の対応を手厳しく批判した。

日医総研は、保険薬局の後発医薬品調剤体制加算は年600 億円近くに上ると推計されるものの、財務省試算では、2007 年に後発医薬品のある先発医薬品が全て後発医薬品に振り替えた場合の効果は約1.3 兆円になると報告している。日本医師会副会長の中川俊男氏は、同報告を引用、調剤医療費の伸びや大手調剤薬局チェーンの利益率の高さなども踏まえ、安達氏と同様に、調剤報酬の在り方を問題視、「医療費は偏在している。もっと踏み込んで言えば、利益は大手調剤薬局チェーンに偏在している。こんなことでいいのか」と問いかけ、調剤報酬の根本的な議論の必要性を支払側に問い質した。

これを受け、健康保険組合連合会専務理事の白川修二氏は、「医薬分業が進んできて、患者側からすれば、(医療機関と保険薬局双方で)処方せん料と調剤基本料などがかかり、負担が増えているのが実態。それに見合う効果があれば納得できるが、どんな効果があるのか。後発医薬品の使用などは、加算を付けなくても当然努力すべき」と述べ、調剤報酬の激変には配慮する必要があるとしたものの、「調剤報酬の在り方について、議論すること自体はむしろ賛成」と答えた。

日本薬剤師会副会長の三浦洋嗣氏は、病院や診療所よりも、保険薬局の在庫品目数は多く、それは医師にとってのメリットであるものの、管理は大変であること、また後発医薬品について患者に説明する際の手間など、保険薬局にかかる負担は少なくない上に、「薬価の安い薬を進めることは、保険薬局としては売上が下がることになる」など、保険薬局の立場をさまざまな観点から説明。
保険薬局については、中川氏の指摘のように、大手調剤薬局チェーンの利益率の高さも問題視されており、同一法人で複数の保険薬局を経営するケースに対し、何らかのメスが入る見通し。4日の総会は、時間切れで、各論については十分な議論を尽くせなかったが、次期改定は保険薬局にとって厳しい内容になる様相を見せている。

調剤報酬については、診療側の委員の間で、大きく意見が分かれた。
「残薬管理、医師の評価を」
厚労省が調剤報酬で提案したのは、
(1)後発医薬品の使用促進策(後発医薬品の調剤率が高い方に加重を置いた後発医薬品調剤体制加算に変更、一般名処方の場合には原則として後発医薬品を使用するよう療養担当規則に記載するなど)、
(2)大型門前薬局と地域密着型薬局の区別による適正化(同一法人の保険薬局の店舗数、処方せん枚数や特定の医療機関からの処方せんの集中率などの観点から、大型門前薬局を別建てで評価するなど)、
(3)薬剤服用歴管理指導のタイミングの見直し(服薬状況、残薬状況、後発医薬品使用の意向などを、処方せん受付時に確認するなど)、
(4)残薬管理と長期投薬への対応(薬局における残薬管理の実施、長期投薬に対する分割調剤の試行的導入など)、
(5)その他(無菌製剤処理の対象薬剤に麻薬を追加するなど)――という論点だ。

日医代表委員から異論が出たのが、(4)の残薬管理や長期投薬への対応だ。
三浦氏は、(3)と(4)で取り上げられた残薬の管理について、「医療安全や医療経済の観点からも重要」と厚労省の方針を評価。ただし、残薬管理は、薬剤を実施に渡す際に、実物を目にした患者が残薬に気付く場合もあるので、「処方せん受付時」ではなく、「薬剤を交付までに」とするなど、タイミングについては検討が必要だとした。三浦氏は、鹿児島県薬剤師会が今年10月に1週間分の調剤状況を調査した結果を紹介、166軒の保険薬局の平均で、1軒当たりの残薬は、1万1550円だったという。

これに対し、日本医師会常任理事の鈴木邦彦氏は、残薬管理について、「主語が違うのではないか」と問題視。
「調剤量を調整するためには、処方医の確認が必要。薬剤師から医師に連絡して、処方内容を変更するのが、本来の残薬管理。あくまで医療機関の主治医を中心に考えるべき」と述べ、保険薬局だけでなく、医療機関の評価も検討すべきだと主張。

長期投薬、「分割調剤」の試行を提案
厚労省が(4)で、残薬管理や長期投薬を併せて提案したのは、特定機能病院と500床以上の地域医療支援病院について、外来の機能分化の観点から、状態が安定した患者に関しては、長期投薬の制限を検討しているため(『500床以上の病院、長期処方の制限検討』を参照)。特定機能病院等で、長期処方された場合、「処方医に連絡しつつ、処方された薬剤を原則分割調剤し、2回目移行は、患者の主治医と連携し、必要量を調剤するといった対応の試行的導入が考えられないか」としている。「何か新しい加算を設けることではない。保険薬局が、主治医と連携して残薬の管理を徹底する試行を行う」(厚労省保険局医療課薬剤管理官の近澤和彦氏)。三浦氏は、この提案についても、「患者安全の観点からも、積極的に進めていくべき」と評価。

しかし、安達氏は、投薬に関する点数を下げることにより、特定機能病院等の長期投薬を制限することは、患者負担の軽減につながるとし、(患者が大病院を受診しやすくなるという)逆の誘導がかかり得るとし、問題視、「療養担当規則を変えない限り、長期処方の問題は解決しない」と持論を展開。その上で、厚労省が提案する長期投薬の分割調剤については「イメージがわかない。長期投薬した場合、『飲み残しがあるから』と主治医に連絡し、主治医の指示を受けて、また患者に伝え、処方量を変更する。こうしたことが、法的に本当に薬剤師に可能なのか、その責任は取れるのか」と指摘、こうしたやり取りをするのは現実的でもないとし、再検討を促した。

【m3.com】



財源を引き出すために、いよいよ医科は懐に温めておいた調剤についての議論を持ち出してきました。
医科・調剤だけでなく、ここに歯科も比較することで歯科の不合理が浮き上がってくるかもしれません。
by kura0412 | 2013-12-07 09:48 | 医療政策全般 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
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