インセンティブ制度

“血圧測定”に日本初のインセンティブ制度を導入
福島県立医大が監修

福島県立医科大学の監修の下,今年(2013年)8月,血圧測定により町民の健康増進と地域の活性化を目指す事業「あいづじげん健康ポイント倶楽部」が福島県会津美里町で始まった。
同事業では,自己健康管理のツールとして家庭血圧の測定と同時に関連情報をサーバーに保存し,データを自動解析するパーソナルヘルスレコード(PHR)システムを構築したが,血圧データ送信のサービス費は登録者負担となるため,せっかくの事業が立ち行かなくなる可能性も…。そこで,血圧を測定するとポイント加算され,たまったポイントは会津美里町商店街の商品券と交換できるインセンティブ制度を国内で初めて導入。第36回日本高血圧学会総会(10月24~26日,大阪市)で,同事業の発起人である同大学慢性腎臓病(CKD)病態治療学の谷田部淳一氏が同事業の仕組みを紹介した。

健康管理法の代表ともいえる家庭血圧に着目
わが国では家庭血圧を測定する患者は多いものの,医師が「血圧手帳」に手書きされた患者の血圧値を読み取るのに難渋するケースが少なくない。また,東日本大震災でも問題となったが,服用中の降圧薬名を把握していない高血圧患者が非常に多いと谷田部氏は指摘。情報通信技術(ICT)を活用した家庭血圧値を含むPHRの作成が望まれると話した。
身体的・精神的に自立不可能な高齢者が増加すると,生活に密着した商店街などの地域産業が衰退し始める。簡便に実施できる健康管理法の代表ともいえる家庭血圧に着目した同氏らは,住民の健康増進と地域の活性化を兼ねた同事業を立ち上げ,今年8月に参加登録を開始した(主催:会津美里町,同町商工会,福島医療・ヘルスケアICT研究会からなる実行委員会,監修:福島県立医科大学)。

同事業では,家庭血圧測定と同時に携帯電話回線を使ってデータをサーバーに転送し自動解析する,家庭血圧分析サービスMedical LINKを導入。さらに,家庭血圧のデータだけでなく,会員が自主的に持ち込む現病歴や既往歴,服薬中の薬剤,検査履歴などについても専門の係員が再デジタル化し,PHRとしてデータセンターに安全に保管してもらえる。
これにより,救急搬送時や災害発生時には,避難先や搬送先の病院で医師が登録されたデータを簡単に取り出すことで,緊急時に対応できるというメリットもある。

ポイントは医療情報の量と質に応じて提供
ただし会員資格となるMedicalLINKの利用に際しては,サービス料として年間1万80円がかかることから,登録を敬遠される可能性も否めず,その対策を考慮する必要があった。
禁煙推進においては,「成功したら現金(ドル)を支払う」としたインセンティブ制度の導入が唯一,効を奏したという海外の報告がある(N Engl J Med 2009; 360: 699-709)。

そこで同事業では,現金の代わりにポイントを加算するインセンティブ制度を導入。
1日朝晩測定したら20ポイントが,健康診断や人間ドックのデータを預けたら500ポイントが加算されるなど,情報の量と質に応じてポイントが得られる仕組みをつくった。これにより,登録者の血圧測定継続への動機付けが期待される。
たまったポイントは,地域振興を目的にポイント数(1ポイント1円換算)に応じて町内加盟店の商品券と交換できるようにし,ふるさとの活性化に貢献できるようにした。

アウトカムを検証し予防医療としての有効性確立へ
これまでの健康管理ツールは,患者はスマートフォン,医師は電子カルテというように異なっていた。しかし,医師―患者関係に基づく良好なコミュニケーションを構築するには,PHRという共通の基盤を両者で共有して活用することが不可欠である,と谷田部氏は指摘する。
2010年度都道府県別年齢調整死亡率によると,心筋梗塞による死亡が男女ともに最も多いのは福島県であるという。登録者の家庭血圧を含むPHRの作成とインセンティブを柱とした新たな試みが登録者の予後や経済に与えるアウトカムについて同大学で検証し,将来的には予防医療の施策としての有効性を示していく予定だ。
開始から約2カ月間で登録者は50人弱。今後,500人規模の登録を目指す。

【MT Pro】



歯科もインセンティブ制度導入という視点を考える時代が到来したのかもしれません。
by kura0412 | 2013-11-13 16:20 | 医療政策全般 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
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