日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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官僚の考え方の一端でしょうか

閣僚欠席時に医療基金が浮上、省益はこう忍ばせる

野田民主党政権が立ち上げ、安倍政権のもとで報告書をまとめて解散した社会保障制度改革国民会議は、数ある政府審議会のなかでも格が高かった。報告書に基づき、安倍政権が今国会に出したプログラム法案は、戦後の1947~49年生まれの団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年を見すえた医療・介護制度と年金制度の改革をしばる。

万が一、安倍政権が退陣するような事態がやってきても、次の政権は改革を引きつぐことが運命づけられている。かりに、それが自公政権でなくともだ。引きつぎを拒むにはプログラム法の中身を変えるか廃止するか、いずれにしても国会での法改正が必要になる。
それだけに国民会議が報告書をつくる過程に入ると、関係各省は前のめりになった。その一字一句をどうするか、入れ込み様は並大抵ではない。改革の証文たる報告書に、いかに霞が関にとって有益な「策」を盛りこませるか。省益をかけて奔走したのが厚生労働省の一部官僚だ。地域医療・包括ケア創生基金という「官製ファンド」が突如として登場した経緯を追いつつ、省益とはなにかを考えてみよう。

■委員のプレゼン資料が翌日は政策に
地域医療・包括ケア創生基金と聞いても、なにを目的としたファンドなのか、名前から推察するのは容易ではない。ひと言で表せば、医療法人が経営する民間病院などの経営者に補助金を出し、病棟のつくりを超高齢時代に即した体制に転換してもらうための資金源だ。財源は消費税。基金を管理することになる厚労省は、2015年10月に消費税率を10%に引き上げるときを目標に、ファンドを立ち上げたいと考えている。
基金構想が国民会議に提示されたのは今年4月19日の金曜だった。首相官邸の大ホールで開いた第9回会合で、委員のひとりが披露したプレゼンテーション資料のなかの1ページに、その名が掲載されていた。翌20日の土曜、全国紙2紙がファンド構想が国民会議で浮上したと伝えた。うち1紙は「地域病院まとめ法人化~厚労省検討、基金設立し補助」という見出しで報じた。一私案が厚労省の政策として報じられたことに違和感を抱く委員もいた。
そして週明け22日の第10回会合に、内閣官房の会議事務局が出した資料「これまでの議論の整理」に、次の一節が載った。「医療機能の分化・連携を促すための基金を創設(財源として消費税増収を活用)し、診療報酬や介護報酬による利益誘導ではなく、まずは補助金的手法で誘導すべきだ……」

一連の会議運営は異例ずくめだった。
そもそも土日をはさんで、続けて会議を開くことが恣意的だ。さらに両日とも、甘利明担当相をはじめ麻生太郎副総理・財務相、田村憲久厚労相ら関係閣僚の出席はなし。まさに官僚主導の会議運営には打ってつけだった。一委員の提案に、ほかの委員が中身を検討する暇をつくらせないように仕組んだと疑われても、反論は難しいのではないか。
それでも月曜の会議では3人の委員が事務局の資料に注文をつけた。
A委員 「それぞれの意見に発言者の名前を入れていただきたい」
B委員 「これはあくまでも発言メモであって、どう中間とりまとめに入っていくのか、道筋がみえない」
C委員 「(これまでの議論では)方向性を言っている人と非常に細かなスキーム(仕組み)を言っている人がいる。それが並列して載っている。細かなスキームは発言者に確認したいこともある」
だれの提案かをはっきりさせなければ「これまでの議論の整理」に載せた内容が、国民会議の総意であるかのごとく受けとられるおそれがある。この3人の委員の間には、医療制度改革への持論のちがいはあったが、会議運営をフェアにすべきだという点では一致していた。

■厚労省と財務省が歩調合わせる
結局、発言者名を載せてほしいという提案は、清家篤会長(慶応義塾長)や中村秀一事務局長(元厚労省社会・援護局長)ら国民会議の中枢によって却下された。
厚労省はもともと消費税増税の増収分で基金をつくり、都道府県を通じて民間病院にカネを配る計画をあたためていた。それに正当性をもたせる場として国民会議を活用したのではないか。
有力なメディアに働きかけて基金構想をアピールすることも忘れていない。4月30日、全国紙が地域医療の将来像を論じた社説でこう論じた。「国民会議で地域医療のための基金を設け、消費税収の受け皿にして病院機能の集約や転換に必要な費用を補助する案が委員から示された。補助金という手法をどう有効に使うか検討を進めたい」

財務省も陰でファンド構想を支えた。
ファンドを活用すれば原則2年に1度の診療報酬改定のたびに、国民医療費の増大をもたらす改定率の引き上げに歯止めをかけられると踏んだからだ。この皮算用が正しいかどうかは別にして、日ごろ診療報酬を上げる上げないで鋭く対立するのが茶飯事の厚労、財務両省だが、ことファンド構想に関しては「国共合作」に出た。財務省内では「使い道をはっきりさせない基金の新設には反対するのが、財務省としての本筋なのですが……」(主計局のある官僚)との声も漏れた。
厚労省内にも官製ファンドをつくることへの危惧があった。病棟の転換を誘導するために診療報酬政策を大胆に活用すればよいと考える官僚たちだ。

■過去の検証ぬきに新政策ねじ込む
病棟の体制を再編するのは、避けてとおれない政策課題だ。
後期高齢者が増加すれば、医療と介護との両方の機能を併せもつ、長期療養型の病棟が足りなくなる。リハビリテーション治療に重きをおいた病棟ももっと必要になる。アメリカのテレビドラマに出てくるような救急救命を目的にした病棟ばかりでは、高齢化にともなう日本人の疾病構造の転換には即応しにくい。
だからといって官製ファンドによる病院への補助制度が正当化できるかどうかは別の問題だろう。
これまで厚労省がトライしてきた診療報酬政策はさび付いてしまったのか。だとしたらどこに問題があったのか。その検証を経てはじめて補助金政策の是非を論じる環境が整うのではないか。
8月2日の金曜に開いた第19回国民会議。夏休みを前に会議の事務局は報告書のとりまとめにしゃかりきになっていた。その日、起草委員が出した報告書の原案に、次の一節があった。
医療機能の分化連携には医療法の手直しが必要であり、病院の機能転換や病床統廃合など実行まで一定の期間が必要なものも含まれる。その場合の手法としては基金方式も検討に値する。この財政支援は病院などの施設整備に限らず、地域の医療従事者の確保や病床の機能分化などに伴う介護サービスの充実も対象とする柔軟なものとする必要がある。

地域医療・包括ケア創生基金という固有名詞は消えたが、基金そのものの創設構想は残った。
了解を求める清家会長に対し、ある委員は「基金の使い道が『柔軟なものとする』となっているが『厳格に適用する』のほうがよいのではないか」と提起した。官製ファンドにありがちなばらまき行政の復活を懸念した提起だった。しかし週末をはさんで5日の月曜に開いた最終会合に出された報告書案はほぼ原文のまま。委員は再度、やんわりと懸念を表明したが、清家会長が聞き入れることはなかった。

【日経新聞】



記事自体はそれなりに面白いのですが、日経新聞はよく審議会開催前に記事にしますが、内部の中でリークする輩がいることを示すような内容です。
by kura0412 | 2013-10-22 11:13 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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