日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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医科では既に進み始めている地域包括ケアシステム

「地域包括ケアシステムと医師会共同利用施設のあり方─切れ目のない医療・介護の地域完結を目指して─」をメインテーマに開催

第25回全国医師会共同利用施設総会(主催:日医,担当:神奈川県医師会)が,8月31日,9月1日の両日,「地域包括ケアシステムと医師会共同利用施設のあり方─切れ目のない医療・介護の地域完結を目指して─」をメインテーマとして,671名の参加の下,横浜市内で開催された.
日医からは,横倉義武会長を始め,今村聡副会長,三上裕司・葉梨之紀両常任理事が出席した.

直面する課題や日本医師会綱領について解説
第25回全国医師会共同利用施設総会/「地域包括ケアシステムと医師会共同利用施設のあり方─切れ目のない医療・介護の地域完結を目指して─」をメインテーマに開催(写真) 三十一日には,横倉会長が「日本医師会の直面する課題」と題して特別講演を行った.
横倉会長は,政府などが,さまざまな社会保障を取り巻く諸問題に対応するため政策を打ち出しているが,日医はそれらの政策に「国民の安全な医療に資するのか」「国民皆保険は堅持出来るのか」を判断基準として対応していると説明.本年六月に「日本医師会綱領」を採択したことを報告し,綱領に掲げている四項目を詳説した.
更に,地域医療の再興と質の向上に資するため,医療提供体制のあり方についての提言を四病院団体協議会と共に取りまとめたことや,TPPへの懸念,日医の組織強化についても解説した上で,「日医は,世界に誇れる医療制度を守り,真に国民に求められる医療提供体制の実現に向けて,国民と共に努力する」と述べた.
引き続き,辻哲夫東京大学高齢社会総合研究機構特任教授より,「地域包括ケアと地域医療」について講演が行われた.
辻氏は,千葉県で行われた,柏プロジェクトの試みなどを紹介し,「在宅医療多職種研修会」を開くことで,かかりつけ医が在宅医療に取り組む動機付けや,多職種のチームづくりが可能になることを紹介.開業医と地域病院が役割分担を行うことで,在宅医療を行う環境が出来,地域包括ケアを進めるためには,医師会共同利用施設の役割が重要になるとした.
その後,三つの分科会に分かれて,シンポジウムが行われた.

地域独自の取り組みを説明
第25回全国医師会共同利用施設総会/「地域包括ケアシステムと医師会共同利用施設のあり方─切れ目のない医療・介護の地域完結を目指して─」をメインテーマに開催(写真) 
第一分科会(医師会病院関係)(座長:三上常任理事)では,福島県の原寿夫郡山医師会副会長が,郡山市医療介護病院の取り組みについて紹介.地域や会員医師との関わりを強く持ち,常勤医師に加えて三十名を超えるコオペレーティングドクターズチームが専門分野の診療,宿直などに協力しているとした.また,療養型の開放病床には,看取りを視野に入れた仕組みや地域包括ケアの実現に検討の余地があるとした.
神奈川県の長洲堯雄鎌倉市医師会長は,鎌倉市医師会立産科診療所「ティアラかまくら」の設立に至る経緯から現状・課題について説明.市民の声や行政の強い要望により,医師会が産科診療所を開設.鎌倉市の妊婦の半分が市内で分娩出来るようになり,平成二十四年には千人目の分娩が行われたことを説明した.更に,生後三カ月児の両親を対象に子育て教室を開催していることなどが報告された.
島根県の神崎裕士益田市医師会副会長は,公益社団法人への移行をきっかけに中長期検討委員会を立ち上げ,医師会のあるべき姿の検討を行った益田市医師会の取り組みを紹介.同市の人口動態や介護ニーズ予測を基に,課題や方向性を検討し,地域医療介護支援センター構想を策定したことなどについても報告された.
福岡県の杉町圭蔵遠賀中間医師会おんが病院・おかがき病院統括院長は,赤字経営であった県立遠賀病院が,遠賀中間医師会に委譲されてから黒字化するまでの経緯を説明.医療,介護と福祉の連携のため,地域の医師会員の協力を得て独自のケアプランセンターの立ち上げなどを行い,平成二十四年度には黒字となったことが報告された.

検体検査減収を補う取り組み
第二分科会(検査・健診センター関係)(座長:池田秀夫佐賀県医師会長)では,青森県の澤田美彦弘前市医師会健診センター担当理事が同センターの取り組みを紹介.一般の検体検査は,会員の利用が減少している問題があるが,結核などの迅速な対応が求められるものに対処していること,検体検査を自動化し,特定健診などの電子化データへの代行入力を行い,共同利用施設としての役割を果たしていることを説明した.
神奈川県の小堀悦孝藤沢市保健医療センター所長は,同センターの取り組みを説明.市と医師会,歯科医師会,薬剤師会の共同出資による施設であり,高度医療機器共同利用施設の拠点として,地域医療機関からの依頼により,MR検査,CT検査などを行っている他,常勤放射線技師が画像とレポートを配送しており,今後はオンラインによるレポート配送に対応したいとした.
石川県医師会の齊藤典才理事は,同県医師会臨床検査センターの取り組みを紹介.検体検査の減収分を検診部門で補っており,新規事業として,事業所検診,子宮がん検診,デジタル対応を行っていることを報告.事業所検診のデータ処理は,医療機関の事務負担軽減にもつながり,受託先も増加して減収をカバー出来ているとした.
鹿児島県の今村厚志鹿児島市医師会臨床検査センター顧問は,同センターの取り組みを説明.平成十九年から厳しい赤字経営となり,平成二十四年から経営の適正化に取り組み,職員の退職勧奨,新規検査システムの構築,不採算検査の外注化などを行ったことで,黒字へ転換したことが報告された.

多職種協働のネットワーク構築を
第三分科会(介護保険関連施設関係)(座長:篠原彰静岡県医師会副会長)では,神奈川県の西川真人横浜市青葉区メディカルセンター理事長から,同センターの取り組みが紹介された.施設では,療養通所介護事業所を併設しており,デイサービスで対応出来ない医療依存度の高い方に対応していると説明.全国的にも少なく,赤字経営が続いている状況だが,公益目的事業であるため,今後も続けていきたいとした.
三重県の小林昭彦松阪地区医師会居宅介護部門担当総務副会長からは,同医師会の取り組みが紹介された.市から委託を受けた平成十八年に地域包括支援センターを開設.当初から,同施設が地域包括ケアの中心となることを見据えて「地域けあネット」を運営し,関係職種のネットワーク構築を行っていることが紹介された.
岡山県の篠原淑子倉敷市保健医療センター総轄センター長からは,倉敷市連合医師会の取り組みが紹介された.昭和六十三年,「訪問看護サービスセンター」を開設.最近の利用者の傾向としては,がん末期の看取りなどの医療ニーズの高い利用者や,認知症を伴う精神及び行動障害を持つ利用者も多い状況にあるとされた.看護師の離職率は低いが,課題として,新規採用や職員の高齢化などが挙げられた.
大分県の安東いつ子別府市医師会地域福祉部門管理者からは,同医師会の取り組みが紹介された.在宅医療連携拠点事業に早期から参加し,医師会と地域包括支援センターの情報交換会,地域ケア連携システム会議など,顔の見える関係の構築に取り組み,多職種協働を医師会挙げて推進していることが示された.
二日目の九月一日には,有川卓全国医師会共同利用施設施設長検査健診管理者連絡協議会長が,平成二十四・二十五年度の同連絡協議会の活動について報告.今井重信神奈川県医師会理事からは,ビデオを用いた神奈川県内の共同利用施設の紹介が行われた.
その後,各分科会報告に続き,葉梨常任理事を座長とした全体討議が行われた.その中では,各市町村からの補助や,施設の運営体制と医師の関わりについて活発な討議が行われた.
最後に,今村副会長が,「地域医師会の役割はますます重要になるが,医師会共同利用施設が地域住民のニーズに対応し,その機能を十分に活用・発揮してこそ,切れ目のない医療を達成出来る」と総括し,総会は終了となった.その後,横浜市青葉区メディカルセンター,藤沢市保健医療センターの施設見学が行われた.
次回の総会は,平成二十七年度に大阪府医師会の担当で開催される予定となっている.

【日医NEWS】



ここにあるように既に先進的に取り組んでいる地域もあるようですので、歯科も共同歩調で進んで実施されている所もあるかもしれません。
この包括ケアに歯科が独自の考えをどう取り込んで事業を進められるかが、これからの歯科界の明暗を分けます。
by kura0412 | 2013-09-20 09:36 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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