日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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「ヘルスノミクス」

理想の眠りを夢見て 夜に失う「3.5兆円」 ・ヘルスノミクス(1)  

愛知県豊橋市内の住宅地にある2階建ての病院。患者であふれる待合室には、けがをした人も熱を出した人もいない。共通しているのは眠そうな表情。豊橋メイツ睡眠障害治療クリニックには「眠り」に悩む患者が毎月2千人訪れる。
小学校の校長を務める小出志郎さん(55)は医師から「毎晩6千メートル級の山にいるぐらい酸素が足りない」と告げられた。睡眠中に何度も呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群と診断された。

■仕事の質に影響
気道を広げて呼吸を安定させる装置をつけて眠るようになり、症状は改善した。「仕事や運転に支障が出かねないため、今後も治療を続ける」と語る。
日本大学医学部の内山真主任教授は、睡眠不足による作業効率の低下や交通事故が引き起こす経済損失額を年3.5兆円と試算する。国内総生産(GDP)の0.7%が睡眠不足で失われている計算になる。
企業も対応に追われる。
1日41万人が利用する東海道新幹線。開業以来、乗客の死亡事故ゼロを続けている秘訣の一つはJR東海による睡眠管理だ。これまでも乗務員に睡眠方法を指導してきたが、3年前には各自の睡眠データを蓄積したシステムを導入した。
パソコンをたたくと睡眠の質が採点され「日々の起床時刻の差を2時間以内にする」といった助言が表示される。運転士の杤本直也さん(28)は「不規則な勤務の影響を最小限に抑えることができる」と語る。

■枕、合ってますか
1兆円規模に達した健康寝具などの「快眠市場」には危うさもある。
整形外科医の山田朱織さん(48)は枕が体格に合っているかを診断する病院を神奈川県相模原市で開業した。市販の快眠用枕について「医学的に一定の硬さと高さが必要なのに、快適さばかりを追求している」と指摘する。
日大の内山教授によれば、人類は太古から夜は家畜の世話などの合間に仮眠し、日中は狩猟や農作業の合間に昼寝をしていた。それが「産業革命後の工場労働者の登場で、翌日の長時間勤務に備えて夜はまとめて睡眠をとる時間になった」。夜に眠り始めてからまだ200年で、完全な“習慣”になっていないという。

◇人類永遠のテーマである健康。特に世界最速で高齢化が進む日本では、一段と関心が高まる。経済にも大きな影響を与える健康問題を「ヘルスノミクス」と定義し、最新動向を追った。

【日経新聞】



ヘルスノミクスですか。
いわゆる規制緩和の波が訪れば、ビジネスとしての視点の医療を考えるのは避けて通れないのかもしれません。その一方、歯科界の好機として捉えることも間違えではないようです。いずれのせよ、この種に関しての歯科界からの発信は必須です。
by kura0412 | 2013-08-21 10:31 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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