日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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医療基本法に対する日医のスタンス

Q:医療基本法に対する日医のスタンスは?

A 今村(定):「医療基本法」は,これから作られようとしている法律ですので,その内容や名称等は論者によって違いがありますが,日医としての考え方は,昭和四十三年に公表した「医療基本法第一草案」にさかのぼります.
当時,この問題については,各政党からも対案が示されましたが,結果として法律の制定に結び付く議論には至りませんでした.
その後,いわゆる患者の権利に関する議論などの流れを受けて,ここ数年,改めて「医療基本法」に関する議論が各所で活発になってきたのはご承知のとおりです.

日医では,先の「第一草案」以降,公式な考え方を示していませんが,現時点では,会内の医事法関係検討委員会が平成二十四年三月にまとめた答申「医療基本法の制定に向けた具体的提言」に示された考え方を,大筋の方向性を示すものとして取り扱っています.
すなわち,
(1)現在の医療を取り巻く法制度には,個々に細かい法律や規則,通知などが氾濫し,それらが相互に不整合を来しているため,各所に医師と患者の信頼関係を阻害する要因が存在する
(2)国の医療政策を貫通する基本理念を定める法律が欠けていること等の理由から,医療分野における基本的な法律(いわゆる「医療基本法」)を定める必要がある─という考え方を基本としています.
ただし,上記の答申は会内の委員会が示した一つの考え方ですから,今後,会内外の意見をお聞きしながら,日医としての最終的な案を形成していく必要があると考えています.
一方で,この問題は医療提供者だけの議論ではなく,患者さんや国民など医療を受ける側の人々との深い意見交換を積み重ねながら進めていくべきと考えています.
その手始めとして,本年末の十二月二十二日には,日医会館で「医療基本法(仮称)制定に関するシンポジウム」も企画しています.会員各位はもちろん,広く患者さんや国民にも議論に参加して頂きたいと考えています.(今村定臣常任理事)

【日医NEWS】



日歯からは既に8月7日付けで「医療基本法に関する見解」が発表されています。
by kura0412 | 2012-11-01 11:51 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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