経済成長と社会保障の両立

一体改革に翻弄される医療現場(1)- 政治混乱も、底流に「2025年モデル」

2009年8月に政権交代、その1年後に国会で衆参がねじれて以来、「決められない政治」が続いている。社会保障制度改革も例外ではなく、今年8月に社会保障・税一体改革関連法が成立し、消費増税のスケジュールは決定したが、具体的な改革は社会保障改革国民会議(国民会議)に委ねられた。
団塊世代が75歳以上になる25年を控え、増大する医療ニーズにどのように対応していくのか-。医療現場は、はっきりとした青写真が描けないでいる。一体改革に翻弄される現場を追った。

■財源見つけられなかった民主党
「医療に必要なお金を付けようという民主党の姿勢は、評価しなくてはいけない。しかし、そのための財源を見つけられなかったことが、一体改革で民主党と医療界がぎくしゃくし続けた大きな要因になった」―。多摩大統合リスクマネジメント研究所の真野俊樹教授は、こう語る。
09年の衆院選で民主党が圧勝し、政権が交代した。その年末の10年度予算編成では、自公政権が続けてきた「社会保障費2200億円削減」が撤廃され、10年度診療報酬改定はネットで10年ぶりのプラス改定となり、医療界は医療に財源を充てる姿勢を見せる民主党を支持した。
しかし、民主党がマニフェストで掲げた、「税金のムダづかいを見直し、新たな財源を生み出す」という目標は、事業仕分けなどを行っても結果を残せなかった。医療ツーリズムなど、医療を「産業化」させて財源を捻出するシナリオも、思うように進んでいない。「産業化」の象徴として11年1月に発足した内閣官房の「医療イノベーション推進室」の初代室長に、中村祐輔氏(当時、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター長)が就任したが、年内に辞任してしまった。
医療にお金を回すためのキーワードだった「効率化」と「産業化」のどちらも、期待外れだったことは否定できない。
真野氏は、民主党と医師会の微妙な関係も、一体改革の進捗を遅らせたと指摘する。
「民主党とのパイプをうたい、10年4月に誕生した原中勝征会長をトップとする日本医師会内部は、民主党支持が多数ではあったが、一枚岩ではなかった。10年の参院選で民主党が大敗すると、医師会の中で、民主党への不満が一気に噴き出した。医師会は部分的な産業化には賛成し、医療イノベーションにも反対はしていなかったが、それ以降、民主党との対立が鮮明になった」。

■経済成長と社会保障の両立なければ、究極の選択も
真野氏は、今後設置される国民会議で、医療を含め、年金などの社会保障全般が議論されることで、医療の細かい議論が埋没し、医療の産業化という課題の議論も深まらないのではないかと懸念している。
真野氏は、アジア諸国が医療の産業化モデルを採用しつつある中で、世界最速の超高齢化問題を解決しなければならない日本には、医療の産業化の視点は欠かせないと言う。今後、経済成長と社会保障の両立ができなかった場合、治療(キュア)モデルか、ケアモデルのどちらかを選ぶという究極の選択を迫られる可能性もあると指摘する。
「キュアモデルをとった場合は、高度医療が維持される一方、医療へのアクセスは後退する。逆に、ケアモデルに重点を置いた場合、医療へのアクセスは維持されるが、高度医療が犠牲になる。一番いいのは両方とも充実させることだが、それは産業モデルをうまく活用し、イノベーションを起こさなければ難しい」

【キャリアブレイン】



経済成長と社会保障の両立を図る歯科領域のイノベーションにはどんなものがあるのでしょうか。
その答えをもっていなければ、歯科界はこれからの社会に取り残されます。
by kura0412 | 2012-10-23 17:42 | 医療政策全般 | Comments(0)