野田首相は決断するしかないのでは

延命が目的の野田内閣に政権担当の資格はない

野田佳彦第3次改造内閣が1日、発足しましたが、その顔ぶれを見る限り、民主党内の事情に配慮し、一にでも長く政権を続けようとする人事としか言いようがありません。政権として、野田首相として、国家国民のためにどのような政治をしていくのか、方針は全く見えないのです。

私はこのコラムで、何度か野田首相について、周辺の取材をもとに「ただ単に政権を続けるつもりはなく、何を成し遂げるかを考えている。その後は次の政権の枠組みに向けて衆院を解散し総選挙を行う腹だ」とみて、先の国会で衆院解散・総選挙が行われる可能性を指摘してきました。
また、私は民主党にはすでに政権担当能力はなく、マニフェスト(政権公約)による国民との約束もほとんど破られている状況にあることから、早期に衆院解散・総選挙を行うべきだと考えてきました。その意味で、野田首相がその腹なら評価したいと考えてきたわけですが、どうもその期待は完全に裏切られたようです。

今回の民主党代表選を受けた党役員人事・内閣改造で、私がまず期待したのは民主党の輿石東幹事長の交代です。輿石氏はとにかく民主党が政権与党であり続けることを優先して、早期の解散・総選挙には絶対反対の立場をとってきましたし、現在もそうだとみられます。
野田首相が早期解散・総選挙に踏み切る腹なら、代表選での再選は輿石氏を交代させる絶好の機会でした。しかし、野田首相は再選後、真っ先に輿石氏に続投を要請し、輿石氏も受け入れました。この時点で、私は野田首相に早期の解散・総選挙の意思はないと判断しました。
そして、それ以外の党役員人事と内閣改造もそれを裏付ける人事になりました。18人の閣僚のうち10人を交代させる大幅改造でしたが、重要閣僚には先の国会まで党執行部の中枢にいた人物を起用しました。具体的には幹事長代行だった樽床伸二氏を総務相、国対委員長だった城島光力氏を財務相、政調会長だった前原誠司氏を国家戦略・経済財政担当相という具合です。
それで空いた党執行部のポスト、つまり幹事長代行には財務相だった安住淳氏、政調会長には原発担当相だった細野豪志を充てました。論功行賞のつもりかもしれませんが、単に閣僚と党執行部を交代させたにすぎません。

この人事を含めて新たに閣僚になった人物が10人もいて、そのほとんどは担当の専門家ではありません。それでなくとも、閣僚として省庁内を把握し、指導力を発揮するには、どんなに優れた政治家でも一定の期間がかかります。つまり、野田内閣はまさに「素人だらけ内閣」となってしまったわけです。野田首相は改造の目的について「内閣機能の強化」を挙げましたが、実態は全く逆です。
そんな党役員人事と内閣改造なら、やる必要はないどころか、やるべきではありませんでした。それにもかかわらず、野田首相がこの人事を行ったのは、ひとえに民主党内の不満を抑えて、一日でも長く政権を続けようと考えたからでしょう。
外交・安全保障、経済問題など国難ともいえる事態を抱える今、延命だけが目的の内閣に政権を任せている余裕は日本にはないと思います。どうも野田首相にその危機感はないようです。私は野田首相はもう少しまともな政治家だと期待していただけに、非常に残念です。

一方、自民党は総裁選の結果、安倍晋三総裁-石破茂幹事長という執行部ができました。自民党を「真の保守政党に再生しよう」という2人がトップに就任したわけで、自民党がどう生まれ変わるか、期待したいと思います。
秋の臨時国会に向けた民主、自民両党などの党首会談は来週にも行われる見通しで、まずはそこで自民党新執行部の力量が問われることになります。
平成24年度予算執行に必要な赤字国債発行のための特例公債法案は、日本経済や地方自治体への影響などを考えると成立させざるをえないかもしれません。しかし、安易に妥協して臨時国会が民主党ペースで進み、年内の解散・総選挙に追い込めなければ、総裁選で急上昇した自民党支持率はすぐに下がることでしょう。

野田首相の言動をみている限り、もはや野田首相側から解散の時期を明言することはないと思います。野党側を妥協させて、政権を一日でも長く続けようとするつもりでしょう。
そうであるとすれば、野田首相を解散・総選挙に追い込むには、自民党など野党側が内閣不信任案を提出し、可決するしかありません。民主党が分裂した結果、現時点で同党から8人以上同調者が出れば内閣不信任案は可決されます。野党第1党である自民党には、そのための戦略が求められます。
与野党対決で政治が停滞する、つまり「決められない政治」が続くのは良くないという声があります。しかし、それはその時の政権が進めようとする政治に正当性がある場合においてです。私は政権運営の資格も能力もない野田内閣がずるずる続く方が「決められない政治」だと思います。
政権が誤っていれば、内閣不信任案を可決して倒す。それも「決める政治」なのです。

【産経新聞・高橋昌之のとっておき】



今の野田政権は、目先の問題で汲々として、衆議院任期満了後の日本の政治への展望は全く描いていないようです。
この場面、新たに自民党首脳となった二人は、引くに引けません。
by kura0412 | 2012-10-06 12:24 | 政治 | Comments(0)