終着点は自民党案丸呑みして解散せずか

野田・小沢会談決裂:漂流政治 かき立てる不安

「消費税引き上げに政治生命をかける」と大見えを切った野田首相と、それに待ったをかける政界きっての強面(こわもて)の実力者小沢一郎氏との二度にわたる会談は、一度も線が交わることなく終わった。
合意点を探るための会談というよりは、決別のための会談だった。
徒労という言葉さえ似つかわしくないほど薄っぺらな、のちの記憶にさえ残らぬものだった。政治が機能しなくなっているということを象徴している。国民に負担を強いようとする与党は、選挙で必ず敗北するという先進各国の流れの中に、わが国の政治もたたずんでいる。

野田首相は4日、内閣を改造する。
問責決議を受けた田中防衛相、前田国交相ら4、5閣僚を交代させるという。内閣の足腰を強化し、何かを成し遂げるためではなく、消費税引き上げ法案の成立で自民党などの協力を得るために白旗を揚げたのである。冒頭に妥協することになる野田政権は、野党の要求を丸呑(の)みせざるを得なくなるだろう。それはいずれ近いうちに政権の座から民主党が滑り落ちる入り口となるのかもしれない。

小沢一郎氏らはどうするのだろうか。
今月15日ごろの衆議院での採決で反対票を投ずることは間違いないだろう。どれだけの議員が同調するか不明だが、民主党は分裂状態になる。小沢、鳩山グループの大半が反対票を投ずることになれば、もはや野田政権は立ち往生だ。さりとて、自民党など野党側との妥協がすんなりと進むという保証もない。

このところの民主党をみていると、小沢グループと野田首相支持勢力とは、まるで敵対している別の党派のようだった。
民主党の主立った幹部が連日のように野党自民党の幹部と接触しているのに、小沢・反小沢をつないでいるのは、輿石幹事長だけという意思疎通の悪さだった。首相経験者の自民党長老と、民主党きっての策士とよばれる政治家が意気投合したりしているのに、執行部は小沢氏の胸の内が分からないし、探ろうともしない。小沢氏自身もだれかに胸の内を明かしたりしないので、事前の調整ができないままのトップ会談になってしまう。
小沢氏はもともと消費税引き上げに反対というわけではない。むしろ引き上げ推進論者だったこともある。
ただ、このまま増税するのでは国民が納得しないという立場なのだ。したがって妥協の可能性はいくらかあったように思う。しかしながら、野田執行部はあえてその道を塞(ふさ)ぎ、自民党との「妥協」の道を選択した。おそらくは自民党との「連立政権」さえありうるとの判断だろう。

大きく舵(かじ)を切った野田政権は、今後、かぎりなく自民党に飲み込まれて行くだろう。政治の経験の深さがちがうので、いつか気がついたら、民主党という政党の存在理由がなくなっていたということになるかもしれない。
それにしても小沢一郎氏にはなぜいつも組織の分裂がつきまとうのだろう。
旧(ふる)くは自民党幹事長時代からだ。東京都知事選で都連の推す鈴木俊一都知事ではなく、磯村尚徳氏を擁立して敗北、幹事長を辞任した。竹下派後継をめぐって小渕恵三氏らと対立、のちに自民党を離党。新生党、新進党、自由党、そして民主党への合流と続く過程で、常に対立、分裂、解散という言葉がつきまとってきた。

今後の小沢氏が取るであろう道は二つ。
(1)離党して新たな政治集団を作り、やがては大阪の維新の会などと連携する
(2)反対票を投ずるが離党せず、民主党にとどまり、9月の代表選挙に小沢氏もしくはだれかを候補者に立てる。(2)のケースでは反対票を投じた議員を「党紀違反」で処分できるかどうかがポイントだ。

自民党も内部はばらばらである。
解散総選挙に追い込む、などと考えているのは谷垣総裁、大島副総裁ぐらいで、石原幹事長でさえ、それとこれとは別と、切り離している。自民党の多数が考えているのは、消費税引き上げを実現させて、その上で9月の総裁選挙で谷垣総裁以外の人物を総裁に選んでおそくとも来年夏までにはある総選挙に備える、ということのようだ。
いずれにしろ政界は大混乱になる。
原発対策、震災復興、経済対策という死活的な大問題を放置したまま、政治家たちは国民にとっては迷惑でしかない「椅子取りゲーム」に興ずることになる。民主党は「政権交代」への期待を背に、300議席を超す大勝をしたのに、何も残さず、政治への不信だけを募らせて、舞台を去って行こうとしているのだろうか。そのあと登場するであろう役者がだれであろうと、決して期待してはならぬ、というのが国民が得た教訓だ。

【田勢康弘・愛しき日本】
 


野田首相は自民党案丸呑み、一方の谷垣総裁は早期解散の確約せず。このあたりが最終的な決着点になるのかもしれません。
しかし、無事消費税増税が成ったとしても、お互い党内をまとめることは簡単ではありません。
by kura0412 | 2012-06-05 14:08 | 政治 | Comments(0)

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