小沢元代表だけでなく

野田首相は輿石幹事長を切り、前へ進めるか

野田佳彦首相と小沢一郎氏が5月30日昼、消費増税法案などをめぐり民主党本部で1時間半にわたって会談を行った。野田さんは会談後に首相官邸で記者会見し、「法案の合意には至っていない」と語った。
前回の本コラム「3代続いた不思議な首相、責任は国民にある」でも書いたように、首相が一党員と会談することなど大きな問題ではない。むしろ二人の会談には不自然さを感じるくらいである。新聞やテレビなどメディアは事前からこの会談を大きな問題として扱っていた。

消費増税法案を「継続審議」にすることを心配する
小沢さんは当然、消費増税法案には反対する。反対しなければ、マニフェストを堅持し行財政改革の優先を主張する小沢さんの政治生命は断たれてしまうからだ。
今回の会談で私が一番心配したのは、輿石東民主党幹事長が同席することで、小沢さんと輿石さんが消費増税法案を「継続審議」にしようとしているのではないか、ということだ。
今国会は6月21日で会期末を迎える。もし消費増税法案を何がなんでも通すということならば、会期を延長して強行採決するしかない。そうなれば党の分裂にもなりかねない。だから、小沢さんと輿石さんはいったん閉会して、継続審議にすべきだと考えるのではないか。

継続審議で時間をかせぎ「傀儡」を立てる
小沢さんと輿石さんが継続審議を求めるとしたら、本当の狙いは別のところにある。会期延長になれば何が起きるかわからない。そこで、継続審議にして一度国会を閉じる。小沢さんはその間に9月の民主党代表選に向けて布石を打つのである。
小沢さん自身は控訴され党代表選には出馬できないから、小沢さんの「傀儡」を立てるだろう。どう立てるかについて、すでに手をつけていると私は思う。継続審議にすれば、傀儡政権をつくるための時間をかせぐことができる。
野田・小沢会談で小沢さんや輿石さんの言うことを野田首相がもし受け入れていれば、野田首相はもう奈落の底に落ちるしかない。まさか野田首相が合意するとは思えないが。

野田首相が選ぶべき道は一つしかない。それは自民党と組むことだ。
私は民主党幹部と自民党幹部の何人かに取材で話を聞いているが、彼らがそろって言うのは、民主党は消費増税法案について自民党の対案を丸のみにするしかない、ということだ。特に民主党が提案している最低保障年金など社会保障に関するところは全部捨てることが条件になる。

自民党と交渉できるのは藤井裕久氏か仙谷由人氏しかいない
ここまでは5月29日、つまり野田・小沢会談の前日に書いた。30日の会談は予想通り平行線、つまり合意形成ならずであった。
こうなれば野田さんのとるべき道は一つしかない。自民党と組むことだ。そして繰り返しになるが、自民党案を丸のみすることだ。

その前に自民党と組むという姿勢を明確に示さなければならない。
それは小沢グループと完全に手を切ったと証明することだ。そのためにはまず自公両党が参議院で問責決議した前田武志国土交通大臣、田中直紀防衛大臣の2大臣を辞めさせなければならない。
それにしても、野田首相はなぜ2大臣を辞めさせることができなかったのか。それは輿石幹事長が断固反対していたからである。輿石幹事長は参議院議員たちを手なずけるために議員たちの反発を買うようなことはしたくないのだ。彼は将来、参院議長になることを強く望んでいるからである。
野田さんが思い切った姿勢を示すとすれば、それは輿石幹事長を更迭することである。そして消費増税に賛成で、しかも自民党と交渉ができそうな人物を幹事長に据えることである。それは藤井裕久氏か、仙谷由人氏だ。これができる勇気があるかどうか

権力者にふさわしくない野田さんの道徳観
だが自民党と交渉するとしても、これがすこぶる難作業である。自民党内がバラバラで党を仕切れる人物がいないからである。
森喜朗氏や古賀誠氏たちのシニア議員たちと谷垣総裁、大島理森副総裁たち、そして社会保障・税問題のまとめ役である伊吹文明氏らの意見が大きく違って、収拾がつかない状態なのである。
だから、交渉を進めるには公式・非公式の両面で、しっかりとした交渉を行う覚悟が必要である。
それにしても野田さんという人は、権力者にはふさわしくない道徳観を持っているのではないか。つまり、交渉ごとはすべて表からやるもので、裏の交渉はアンフェアだと思っているようだ。だからこそ、わざわざ野田・小沢会談をやったのである。
小沢さんとの会談が終わらなければ自民党との交渉はできない。しかも、自民党との交渉も公式会談でないとアンフェアだと考えているのであろう。野田さんは、自民党との会談申し入れを行うように藤村修官房長官に指示している節がある。それも表の交渉である。

アンダーテーブルの交渉すら始まっていない
外交問題も同じだが、交渉とはまずアンダーテーブルでやり、ある程度かたちができ上がってきたらテーブルの上でやる。そう決まっているのだが、どうも野田さんはアンダーテーブルの交渉をアンフェアだと考えているようだ。
自民党幹部たちに取材してみても、民主党との交渉が始まっているかといえば、まったくそうではない。噂では民主党の藤井裕久氏や樽床伸二氏が交渉の窓口になっているなどと言われるが、それは事実ではない。自民党側でも名前が挙がっているが、交渉はまったく進んでいない。
野田さんは自民党との交渉をこれから考えようとしているのだろう。それも表の交渉だけで、インサイドの交渉はまったく考えていない。そんなことでうまくいくのだろうか。
民主党の幹部たちも「大丈夫か」と心配している。私は民主党幹部の何人かに「野田首相から交渉を頼まれたか」と聞いてみた。ところが誰も「頼まれていない」と言う。野田さんは誰にも頼んでいないのだ。

このままでは野田首相は野たれ死にする
30日の小沢さんとの会談後、野田さんの軸足は自民党に傾いていくのだろうが、自民党とのインサイド交渉もないのだから消費増税法案の実現はきわめて難しい。このままいけば野田さんは野たれ死にするのではないか。
野田さんの野たれ死で利するのは小沢さんだ。傀儡政権を立てられるのだから。
自民党の執行部も「野田首相は一体何を考えているのか」と心配している。それが今の野田政権の状況である。

【田原総一朗・政財界ここだの話】




もし幹事長も輿石幹事長から仙谷元官房長官に移ったら、小沢切りだけに留まらず大連立政権の可能性もあるかもしれません。
by kura0412 | 2012-05-31 16:55 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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