輿石幹事長が最優先に考えるは党を割らないこと、しかし野田首相は?

消費税政局・遠のいた?解散総選挙

文字通り「一寸先は闇」の政局だが、どうやら衆議院の解散・総選挙は遠のきそうな気配である。
さまざまな思惑が重層する複雑な状況だが、与党も野党も、いま総選挙をすれば、橋下徹大阪市長率いる大阪維新の会などにみすみす漁夫の利を収めさせるだけだという厭戦(えんせん)気分が出始めている。来年夏の衆参ダブル選挙でいいという輿石東民主党幹事長の掲げたアドバルーンが現実味を帯びてきた。

輿石発言について「首相の解散権を侵すもの」という批判が民主党内部からも出ているが、あまりにもそれは皮相な見方にすぎる。
輿石発言をニュースで聞いたとき、思わず私はうなった。政局でこれほど深い意味のある発言をする政治家が現存している、それも民主党にいたことに驚いたのである。
この発言には二つの意味が込められていると思った。(1)小沢一郎氏と解散に怯(おび)えている小沢グループの若手議員に、選挙は年内にはありませんよとメッセージを送る(2)ただちに解散総選挙に追い込むという自民・公明の野党側に、話し合い解散の可能性を否定してみせた―のではないかと考えた。後日、輿石氏は党幹部に(1)を発言の真意として電話で伝えている。

輿石氏の基本的立場は党を分裂させないことにある。
その上で野田首相と小沢氏の間を取り持ち、首相が政治生命をかけるとしている消費税引き上げを実現させる、という姿勢だ。そのような芸当が可能かどうかはわからぬが、輿石氏が幹事長ポストにいることでかろうじて民主党は分裂の事態に至っていないのである。小沢裁判の控訴決定の前に輿石氏が小沢氏の「党員資格停止」の処分解除に強引に踏み切ったのも、小沢氏らを離反させないための配慮だ。

消費税法案に反対の姿勢を示している小沢氏だが、3カ月ほど前に私にこう語ったことがある。
「消費税を10%にしなければいけないと日本で最初に言ったのはぼくなんだよ」。この発言は小沢氏は何が何でも消費税反対というわけではないことを示唆しているように思う。消費税引き上げの前に、国民との約束、すなわち次の総選挙までは消費税増税はしないという約束を破ることについて何の説明もしていないのは、おかしい、ということなのだろう。だとすれば、妥協の余地はある。おそらく輿石幹事長は絹糸のように細い妥協の可能性を探っているのだ。
そのための「条件」として今年いっぱいは解散しないことを考えているのではないだろうか。解散権は首相にあるわけだから、輿石発言は、当然、野田首相と相談の上でのことだと考えるべきだ。

「控訴」で引き続き被告人という立場の小沢氏が取りうる選択の幅はそれほど広くない。「被告」の身で党を割ろうにも、それほどには同調者が見込めない。さりとて、大阪維新の会との連携も難しいとみられるからだ。橋下大阪市長が連携を模索する石原慎太郎東京都知事は、石原新党を立ち上げるつもりもなく、また橋下氏から維新の会の党首を打診されたが断ったといわれている。政策で一致しないところがあるほか、石原知事は小沢氏や竹中平蔵氏とつながりを持つ橋下氏に、この二人とは組めないと異を唱えたようだ。

民主党が党内固めのために年内解散を見送るようなら、自民党の谷垣執行部は戦略の見直しが迫られる。あくまで「解散・総選挙に追い込む」という基本戦略を変更していないからである。
自民党全体としては、いま総選挙になっても自民党が勝てるという保証は何もないし、ただ橋下勝利のお膳立てをしてやるだけではないかと考える向きが多い。300小選挙区のうちまだ候補者が決まっていない選挙区が数十あるといわれている。解散・総選挙に追い込むことができなければ、谷垣総裁の進退問題に発展する可能性が大きい。少なくとも9月の総裁公選で再選をめざすことは不可能になるだろう。

今後の問題点は二つ。
6月21日の通常国会閉幕時に野田内閣不信任決議案を自民党等野党が提出するかどうか。もう一つは参議院で問責決議が可決された田中直紀防衛相と前田武志国交相の2閣僚を更迭しないで審議を促進できるかどうかである。

野田、谷垣両氏が極秘会談までして可能性を探った話し合い解散はほとんどあり得ない状況になった。
野田政権が何もできないまま退陣に追い込まれるという事態も十分考えられるが、その場合は国際社会の日本を見る目は一段と厳しさを増すだろう。日銀の国債保有高が、流通している貨幣の総量を上回っているという日本の状況は、第2のギリシャになってもおかしくないことを意味しているのである。

【田勢康弘・愛しき日本】



輿石幹事長が1番に考えるのは党を割らないこと。しかし、野田首相がそれよりも消費税増税実現を優先して考えていると、政局の行くへは全く分からなくなります。
by kura0412 | 2012-05-21 15:55 | 政治 | Comments(0)

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