一体化法案成立は先送りか

消費税問題が吹っ飛ぶ事態もささやかれる

野田佳彦首相と谷垣禎一自民党総裁が2月25日、秘密裏に会談したという情報が流れた。両者とも否定しているが、何人もの証言によって会談はあったものと思われる。
さらに3月上旬には岡田克也副総理が自民党幹部と会談したと言われている。これについて岡田副総理は否定していないが、誰と会ったかは明らかにしていない。ある情報筋によると、相手は大島理森自民党副総裁で、民主党と自民党の大連立を打診したと言われる。

消費税増税に反対する自民党の理由がわからない
首相と副総理が自民党幹部と会談したのは、消費税問題を解決するためだろう。国会では、消費税増税に自民党は強く反対している。本来なら、自民党に反対する理由など何もない。2010年の参院選挙で、自民党は消費税率を10%に引き上げると言っている。
にもかかわらず、自民党は反対している。10%への増税自体は反対ではないが、増税で得たお金の使い道で反対なのだという。しかし、本当の理由はさっぱりわからない。
複数の自民党幹部に聞くと、「民主党は自民党の敵。敵が消費税を上げると言うから反対している」ということらしい。

あえて顰蹙を買う作戦も不発に終わる
民主党は、自民党の消費税増税に反対する理由が曖昧なので、きちんと話し合えば自民党の態度を変えられるのではないかと思い、野田首相が谷垣総裁と会った。
岡田副総理も、消費税増税賛成を前提とした連立を自民党に打診した際に、おそらく自民党から多数の大臣を起用するという、精一杯の妥協を示したのではないか。
こうした民主党内から顰蹙を買うようなことをなぜやったか。
それは、小沢グループが消費税増税に全面的に反対しているからだ。何とか自民党を引き込んで消費税増税関連法案を今国会で通したいと考えたのだろう。
しかし、いずれもことごとくバレてしまったうえに、岡田副総理の連立提案に自民党は「沈む船に乗れない」(自民党の石原伸晃幹事長)とにべもない。

小沢グループに不利なことは避けたい輿石幹事長
今、民主党は大きく割れている。野田首相と小沢一郎氏が対立しているが、ここにきて輿石東民主党幹事長が完全に小沢グループ側についてしまい、輿石幹事長は消費税増税関連法案を今国会で採決することに反対していることが明らかになった。
野田首相はこれまで「消費税増税関連法案の成立に政治生命をかける」と言っていたが、情報のプロたちは、先週あたりから野田首相は消費税増税関連法案を今国会に提出するものの採決しないのではないかと見ている。
9月には自民党の谷垣総裁の任期も切れる。つまり民主党も自民党も、消費税増税関連法案の成立はなし、選挙もなしのまま9月に臨むのではないか、との見方を強めている。
これには輿石幹事長の存在が大きい。輿石幹事長としては、小沢グループに不利なことは避けたい。小沢グループにとって最も不利なことは何か。
それは解散・総選挙である。選挙になれば小沢グループに所属する多くの議員が落選する可能性が高く、議員数が急減してグループの力がなくなる。

4月末の判決をにらみ、「最後のチャンス」にかける
さらに、もし民主党と自民党が連立することになれば、小沢グループの主張は通らなくなる。小沢氏にとって不利にならないよう、9月の民主党代表選までこのまま何もしないという輿石幹事長の思惑通りに今、動こうとしているのである。
そうした背景には4月26日に予定されている小沢氏の判決がある。今、小沢氏は日によって機嫌が良かったり悪かったりとブレが大きいそうだ。4月の判決について良い情報が入ったり悪い情報が入ったりしているためである。
もし無罪になれば、小沢氏は晴れて9月の代表選に出馬できる。小沢氏にしてみれば「最後のチャンス」だ。
そのために輿石氏は小沢氏の邪魔になることは一切したくないと思っている。消費税増税関連法案が可決されること、そして何よりも総選挙を最も恐れているのである。
何もしなければ野田内閣の支持率は徐々に落ちていくだろう……。輿石氏や小沢グループはそう読んでいる。

東電の経営権をめぐる攻防と原発再稼働問題
だが今後、重要なテーマがクローズアップされてくる。
一つは東京電力の問題である。その経営再建をめぐり政府が経営権を握れるかどうか、この3月から4月にかけて大きな山場を迎える。今、枝野幸男経済産業相、仙谷由人政調会長代行、細野豪志環境相・原発事故担当相ら政府・民主党と東電との間で熾烈な闘いが起きている。
枝野氏は少なくとも半数以上、できれば3分の2以上の議決権を政府が握り、思いきった改革をしたいと考えている。これに対して、東電はそうはさせまいと強く抵抗している。経産省は実は反枝野であり、経済界も東電側を支持している。
そして、ここにきていくつかの週刊誌が枝野氏と仙谷氏をターゲットにした批判記事を書き始めた。民主党内でも小沢グループが「枝野・仙谷叩き」をしている。これらの背景には東電の思惑が働いているものとされる。
もう一つの問題は原発再稼働である。これも5月ごろまでには何らかの方向性を示さなければならない。
こうした重要問題が持ち上がってくると、消費税増税問題は国民の意識の中から薄れてしまう。

イラン問題でホルムズ海峡が封鎖されたら……
だが、さらに懸念されるのはイランの核兵器開発疑惑をめぐる問題だ。
アメリカやヨーロッパでは連日、イランの核兵器開発疑惑がトップニュース扱いになっている。国連の常任理事国5カ国にドイツを加えた6カ国はイランに対してウラン濃縮を進めている軍事施設に査察を受け入れるように要請する一方で、イスラエルがイランを爆撃してもおかしくない状況になっている。
もしイスラエルがイランを爆撃したら、イランはホルムズ海峡を封鎖するだろう。世界の原油取引量の20%がホルムズ海峡を通過しており、原油の80%以上をペルシャ湾の国々から輸入している日本にとっては、もしそうなれば大打撃だ。
原油価格が高騰するばかりか、円が暴落する恐れがある。円が暴落すれば株価も暴落し、日本経済が大ダメージを受ける……そう財務省や日銀は心配している。
こうした事態が起これば消費税問題などたちどころに吹っ飛んでしまうが、ただしそうした重大事件にまぎれて、野田内閣の支持率が致命的に落ちることはないのではないか、という見方もある。

したがって、9月の代表選までは消費税増税問題は先延ばしされるかもしれない――そんな読みが最近になって強まっているのである。

【田原総一郎・ここだけの話】



解散に逸る自民党をしり目に政局は混とんとしています。
by kura0412 | 2012-03-24 12:17 | 政治 | Comments(0)