民主党の政策に不満、でも自民党は

「茶番」石破 茂 です。

先週末に行なわれた各社の世論調査の結果には「野田内閣の支持率は概ね10ポイント程度低下し、40%前後となった」「民主、自民両党とも支持率を落とし、20%前後でほぼ並んでいる。他の政党も伸びていない」という2つの特徴がありました。
鳩山、菅という前二代の政権の失敗に懲りた野田総理は「民主党内に対立構造を作らないため、人事や政策に配慮して党内融和に努める」「不用意な発言を控えるべく、なるべく多くを語らない」という二つの大方針のもとに政権を運営してきましたが、これが「何をやりたいのか全く分からない」という国民の不安を増大させる結果となりつつあるようです。このまま推移すれば、恐らく年内に支持率は30%台前半まで下がり、そろそろ危険水域に入ります。
内閣支持率が下がれば与党民主党の支持率も下がるのは当然ですが、これに代わって本来上がってしかるべき自民党の支持率も下がっているのは「自民党も何がやりたいのかよくわからない」と多くの国民が感じているからなのでしょう。単なる批判政党ではなく、「自民党ならこうする」というものを示すべく努力してきたつもりですし、現執行部においてもそのようにしているはずですが、残念ながら結果は思惑通りになっていないようです。

先週末のAPECを前にした民主党内の動きはまさしく茶番というべきものでした。
野田総理は記者会見を一日延ばし、衆議院予算委員会での集中審議をほとんど無意味なものにした挙句に、出発直前に「TPP参加に向けて各国と協議に入る」と述べたのですが、この発言自体は実に当たり前のことで、日本が交渉参加の意思を表明しても各国において日本の参加を認めるかどうかの手続きが必要なのであり、それを経ない前に「交渉に参加する」と言えないのは当然のことです。それをあたかも党内慎重派への配慮の如くに演出し、それを受けた慎重派の代表格である山田前農相が「ほっとした。よく思い留まってくれた」などと大袈裟に評価している発言を聞くと、民主党すべてがグルとなって国民を欺いているとしか見えません。
菅直人内閣への不信任案提出の直前に開かれた民主党両院議員総会において鳩山・菅両氏の間で繰り広げられた猿芝居を彷彿とさせるもので、一体この人たちは何なのかと憤りを感じずにはいられません。

一方の自民党はどうすべきなのか。総選挙において「わが党が政権を担当すればTPP交渉からは直ちに離脱する」とでも公約するつもりなのか。そこまでの覚悟があるのならそれはそれで構いませんが、私はそのような公約をすることには反対です。

第一次大戦後のオレンジ計画の立案や開戦直前のハル・ノート提示、真珠湾攻撃を事前に知っていながら敢えて日本にやらせた、などの傍証をもって語られるアメリカ陰謀国家論はそれぞれ相当に疑わしく、仮にそのような面があったにせよ、それに対応するしたたかさが日本に欠けていたのもまた事実でしょう。
オレンジ計画などの立案はアメリカの得意とするところですし、アメリカとは常にそのような国家なのではないか。ハル・ノートは仮にこれを受け入れていればどうなったのか、国土が焦土と化した悲惨な結末よりはまだましではなかったかとの考察が必要ですし、真珠湾攻撃陰謀説に至っては、開戦の通告を結果的に奇襲後に遅らせてしまった、当時の在米日本大使館の職務怠慢による大失態をどう考えるのか。
「外交に疎く、農政を中心とする諸政策には一貫性を欠き、官僚機構も掌握できず、国論はおろか与党内も纏められない民主党政権ではこの交渉は失敗に終わる。自民党政権であれば交渉をこのように導く、農業政策をはじめとする国内対策の内容はかくの通りであり、交渉終結前にスタートさせる」とのメッセージを早急に発するべきなのではないでしょうか。
ウルグアイラウンドが実質合意に達したのは1993年のことでしたが、EUは既にその前年に農政の大改革方針を決定していたのに対し、日本の対策決定は翌年の1994年、6兆1千億円の対策の中身のほとんどは基盤整備に充てられ、温泉ランドや農道空港などという、どう考えても農業の体質強化とは無縁の事業も多く含まれていました。私は当時当選3回の野党新進党議員として何度も質疑に立ちましたが、与党であれ、野党であれ、EUと比べて危機感や真摯さにおいて大きな落差を感じたことでした。

税と社会保障の改革を内容とする消費税率の引き上げにも民主党政権の卑劣さを感じます。
野田総理は「確かに任期中に消費税を上げないとは言ったが、消費税を上げる法案を成立させないとは一言も言っていない」などと言っていますが、これはまさしく詭弁以外の何物でもありません。多くの国民は「民主党政権の下で消費税を上げる法案が提出される」とは思わなかったはずですし、実際にそのようなことはマニフェストで全く触れていません。一休さんの頓智問答やベニスの商人ではあるまいし、言葉を弄ぶのはいい加減にして貰いたい。

来たる総選挙では、民主党も自民党も消費税アップを掲げて戦い、どちらが勝っても税制改革は確実に行われる、というのも一案かも知れません。消費税を5%引き上げてみたところで、その4%は今借金で賄っている分に充てられるのであり、社会保障の充実には1%のみしか使えません。早晩更なる引き上げは不可避であり、上げ幅を抑えるためにも引き上げは出来る限り早期に行なうべきでしょう。
円高対策にしても、補助金の拡充など財政出動を伴うものはなるべく抑え、むしろ法人税・関税の引き下げやCo2の25%削減の撤回、電力の安定供給、労働規制の緩和などといった負担軽減策を優先させなくてはなりません。GNPの伸びに対してGDPが上がらないことが日本経済の問題であり、海外からの投資を容易にする政策をもっと積極的に講ずるべきです。GDPを上げていかない限り所得の増加も雇用の維持も実現できません。今や製造業はその優位性を失いつつあり、これを所与のものとして政策を立案せざるを得ない現実を直視しなくてはならないと思っております。

年齢を重ねた所為でしょうか、疲れがなかなかとれません。体調不良でかえって相手様にご迷惑をかけてもなりませんし、年内一杯、1日でもお休みがあればいいな、と思っておりますが、なんとかなるのかな…。
皆様、お元気で週末をお過ごしくださいませ。

【石破茂衆議院議員ブロ】




芯のない民主党の政策に対して不満を感じながらも、対する自民党への期待はなかなか生まれてないのが現状です。
TPP、消費税増税に対しても、党内意見を集約し、賛成ならば賛成、反対ならば反対と明確な態度を示すことも必要なのかもしれません。
by kura0412 | 2011-11-22 16:52 | 政治 | Comments(0)