コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
以前の記事
2017年 12月
2017年 11月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
2017年 01月
2016年 12月
2016年 11月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 10月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 04月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 09月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
2006年 01月
2005年 12月
2005年 11月
2005年 10月
2005年 09月
2005年 08月
2005年 07月
2005年 06月
2005年 05月
2005年 04月
2005年 03月
2005年 02月
2005年 01月
2004年 12月
2004年 11月
2004年 10月
2004年 09月
2004年 08月
2004年 07月
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
健康・医療
政治・経済
画像一覧

最先端医療の促進も必要ですが

第5部 飛躍明日への処方箋(2)縦割り廃し、基礎から臨床へ

医薬品開発で欧米に後れを取り、韓国、中国などアジア諸国からも猛追される日本。すでに「医薬品の輸入大国」となっている。そんな現状を打開するため、今年1月、内閣官房に設置されたのが「医療イノベーション推進室」だ。
「医薬品の輸入から輸出を差し引いた輸入超過は1兆円を超えている。国内の患者が高い薬代を負担させられるだけでなく、国の安全保障の観点からも医薬品の海外依存度が高まるのは危険」。室長に就任した東大医科学研究所の中村祐輔教授はそう憂えている。

医療イノベーション推進室は、政府の新成長戦略の一環として、医薬品、医療機器や再生医療などの分野で日本の最先端技術を実用化し、医療を国際競争力の高い産業に育てることを目的に設立された。
中村教授は全遺伝情報(ヒトゲノム)解析研究の第一人者。室長代行には再生医療が専門の東京女子医大の岡野光夫教授とノーベル化学賞受賞者の田中耕一・島津製作所フェローを迎えた。
産業界や厚生労働省、文部科学省、経済産業省の関係省庁からも横断的にスタッフを登用した。
例えば、がん治療であれば、現在の予算は、厚労省が医薬品の有効性や安全性を確認する治験に、文科省が大学の基礎研究に、経産省がベンチャー企業の支援にといった具合でバラバラな判断基準で投入される。これを、有望な研究開発に重点的に集中投入しようという狙いからだ。
政治の不透明さはあるが、再来年度予算からの実現を目指している。

中村教授が室長に選ばれたのは、日本の医療進歩を実現する上で、教授の経歴や経験が買われたからだ。
ヒトゲノム解析で日本の医学研究をリードしてきた中村教授だが、もともとは消化器外科の臨床医。がんで若くして命を落としていく患者を前に、治療のための研究に転じた。
「日の丸印」の創薬を目指し、細胞をがん化させる遺伝子を見つけ、それをもとに治療薬を開発する努力を続けてきた。実際、がん治療のためのがんペプチドワクチンや抗体医薬、分子標的薬のシーズ(候補物質)も発見。東大発のベンチャー、オンコセラピー・サイエンス(川崎市)で開発が進められている。

中でも注目されているのが、外科治療、抗がん剤、放射線治療に次ぐ「第4の治療法」として注目されるがんペプチドワクチン。オンコ社では5種類のワクチンを開発中。膵臓(すいぞう)がん治療のためのワクチンは承認のための治験が最終段階にある。
免疫細胞が、がん細胞の表面にあるペプチド(タンパクの断片)を目印に攻撃する性質を利用したワクチンは、正常細胞を傷つけず副作用が少ないのが利点。
承認されれば「日本発、世界初」のがんペプチドワクチンの実用化となる。

同様に、中村教授がかかわった「滑膜肉腫(関節周辺にできるがん)」の抗体医薬。こちらは今夏からフランス・リヨンで治験が始まる。莫大(ばくだい)な費用がかかるため、国内での開発が困難だった。フランスがベンチャー支援のために設けている、税制上の優遇制度を利用することにしたという。
オンコ社の角田卓也社長は「創薬が成功し、会社が成長すれば、地域産業の育成や雇用促進につながる。将来を見越した戦略的な制度。日本は基礎研究の成果を臨床応用に導くベンチャーの育成が遅れているうえ、その取り組みを支援する制度も少ない」と語る。

「大学がよい創薬の対象となる物質を持っていても、大手製薬企業は成功率の高い段階のものにしか手を出さない。研究機関と企業、省庁間にある『死の谷』をなくし、実用化に向けた国家戦略を打ち出していく」。医療イノベーション推進室の任務をこう強調する中村教授。がんペプチドワクチンや抗体医薬の開発の経験から、創薬の難しさは骨身にしみている。
「国策としてあるべき医療の姿を追求することが画期的新薬の開発を促し、『患者中心の医療』を実現することにつながる」と信じている。

【産経ニュース】



最先端の医療技術開発も結構ですが、その前にしっかりと足元を固める作業が必要なのではないでしょうか。年を取ったのか、最近、頓にそんな気持ちになります。
by kura0412 | 2011-02-28 13:35 | 医療政策全般 | Comments(0)