もし関連法案が通らなかったら

(10兆円の余裕)

特例公債法案が3月末日までに成立しなかった時、果たして政府の資金繰りはいつまでもつのだろうか。
特例公債法案が成立しないと、建設国債の6兆円は発行できるが、赤字国債は出せなくなる。
しかし、赤字国債ではなく3-6ヶ月の短期の資金繰りのための借金をするための政府短期証券(FB)は年度額を予算で定めており、予算が成立すれば発行できる。

予算書の7ページ、予算総則の第8条に政府短期証券の発行限度額が20兆円と記されている。つまり、特例公債法案が成立しなくとも20兆円までは政府が借り入れをできる。ただし、税収の裏打ちがなければ償還できなくなるので予算の税収額と税外収入額を超えて短期証券は出せない。
所得税による税収が平成23年度は13兆4千億円、消費税が10兆2千億円、法人税が7兆8千億円...。税収はどうしても下半期が多いので、上半期は金が足りない。そこを政府短期証券を発行して前借りをして、年度末に精算する。と、すれば、税収と税外収入合計48兆円のうち特例公債法案で規定されているもの2.5兆円を除いた45.5兆円までは政府短期証券の発行枠20兆円の範囲内でつないでいける。理論的には!
ただし、毎年、年度初めは税収よりも歳出が多くなるので、政府短期証券で繋いでいる。10兆円程度は恒常的な資金繰りで発行されているので、特例公債法案が成立しなかった時の資金繰りに使える政府短期証券は10兆円程度しかない。

問題は、財務省が、歳入と歳出の予定時期を細かく把握していないことだ。財務省は、かつての社会党の非武装中立論のように、「政府の資金繰り表がなければ、国会は3月末までに特例公債法案を通す」と考えているようだ。しかし、現実には過去、5月に特例公債法が成立したこともある。もっともそのときは今よりも借金は少なかったが。

解散だ!という声は、実は民主党内からも聞こえてくる。しかし、10兆円の資金繰りで解散総選挙までできるだろうか。
だから与野党が、この予算審議の中で、予算の修正、関連法案の修正、そして財政健全化責任法案の成立まで、責任を持ってやらなければならない。

はっきり言って小沢一郎ごときに関わっている暇はない。

(不注意と自爆テロ)
特例公債法案以外の予算関連法案について、三月末に成立が間に合わなかったらどうなるか。

*子ども手当法案
児童手当に自動的に切り替えられる。児童手当のシステムに昨年の現況届のデータを入力する必要があり、6月支給が困難になる自治体も発生するが、10月に二回分支給で対応できる。
別途、年少扶養控除が復活しないと受給世帯で手取額が減少する。
支給対象となる子どもに国内居住要件を設け、保育料や学校給食費を手当から徴収することができるようにする法改正が必要になる。

*地方交付税法改正案
4月交付分の自治体への地方交付税が4.1兆円から2.6兆円に減額されるので、自治体は一時借り入れをする必要が出てくる。その一時借り入れの金利負担が発生する。

*関税定率法改正案
関税法は成立せず、暫定税率が切れるとすべて税率が上がる。
牛肉      暫定税率38.5%が基本税率50%
        100gあたり11円の上昇
麦芽      無税が21.30円/kgの協定税率に。
プロセスチーズ 無税が29.8%の協定税率に。
        150gあたり10円の影響。
コメ、乳製品、コーンスターチの特別緊急セーフガードの法的根拠が無くなり発動できなくなる。
発展途上国向けの特恵国税率がきれる。

*税制改正案
1.成立しないと税金が上がらないもの
給与所得控除の上限設定
法人役員の給与所得控除の縮減
勤続五年以下の法人役員の退職金の二分の一課税廃止
成年扶養控除の縮減
相続税の基礎控除引き下げ
相続税の税率見直し
地球温暖化対策税の導入  等

2.成立しないと税金が上がるもの
航空機燃料税の引き下げ
NPO法人への寄付に対する控除率40%の税額控除の導入
贈与税の税率緩和
相続税の未成年者及び障害者への控除額引き上げ
法人税率の引き下げ
中小企業への軽減税率の引き下げ
上場株式等の10%軽減税率の延長  
住宅用家屋の売買に関する登録免許税の軽減税率の延長
不動産の譲渡に関する印紙税の特例の延長
日本入国の際の煙草やウィスキーの税率の特例の延長
農林漁業用A重油に関する石油石炭税の免税措置の延長  等

*独立行政法人日本学術振興会法改正案
23年度新規に採択される科学研究費の支払いができなくなる。

*教職員定数法改正案
小学校一年生の35人学級化に伴う義務教育国庫負担分の支払いが遅れる。都道府県が一時借り入れをする必要が生じ、金利負担が発生する。

*地方税法改正案
不動産取得税、特にJリート・SPCの課税標準の特例措置が失効し、税率が3倍になる。

*国民年金法改正案
年金支給には影響はないが積立金2.5兆円の取崩が必要になる。

*公害財特法改正案
港湾浚渫の資金手当ができなくなる。

*雇用保険法改正案、特定求職者支援法案
会期中に成立すれば問題なし。

*戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法改正案
特別給付金の支給ができなくなる。

予算関連法案の中には、会期中に成立すれば問題が起きないもの、自治体が一時借り入れをすることになり金利が発生するもの、問題が起きるものなど様々な影響があり、与野党で一つ一つ合意して三月末までに通すべきもの、予算修正とセットで修正すべきもの、会期中の対応で大丈夫なものの仕分けが必要になる。
与党国対は、特例公債法案が成立しなくとも6月までは政府の資金繰りは大丈夫と考えているふしがあり、その間に社民党を抱き込んで再議決すればいいという安易な考えがそこはかとなく伝わる。財務省と与党のこの温度差が、不注意からの破壊的な事故につながりかねない。
一方、自民党には「解散総選挙に追い込め」との安易なキャッチフレーズとともに、解散に追い込めなければ総裁の責任を追及するといった自爆テロ型の雰囲気もあり、予断を許さない。

官邸と与野党国対の間で、法案処理をするためのメカニズムが必要だ。

【河野太郎衆議院議員ブログ】



確かに野党も解散を求めるのは結構ですが、最低限通さなければいけない関連法案と、修正、撤回を迫る法案を今から分別しておかなければ、いくら菅政権が頼りないからといって国民の支持は得られないかもしれません。
by kura0412 | 2011-02-02 17:09 | 政治 | Comments(0)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言


by kura0412

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ミラー片手に歯科医師の本音

『口腔健康管理とかかりつけ歯科医』

今回の改定を医療全体的にみると三つの注目すべき特徴がありました。一つは伸び続けていた調剤には厳しい結果となったこと。7対1の入院基本料の要件の厳格化。そして改定の中で「かかりつけ」という概念が明確に組みこまれまれました。
「かかりつけ」に関しては医師、薬剤師に加え歯科でも導入されていますが、「かかりつけ歯科医」はあくまでも「保険用語に一つ」というイメージがあります。しかしながら医科、薬科ではこの「かかりつけ」を軸に医療体制の新しいイメージを描きつつ、今後の政策を積み重ねる意気込みを感じます。そこにあるのは、地域包括ケアの推進がベースにあっての考えです。例えば、今回の改定では紹介状のない大病院の初診・再診料自己負担は大幅なアップとなりました。また、調剤の方ではかかりつけ薬剤師指導料算定をきっかけに、患者とのコミニュケーションを密に図ろうとする試みを目指します。
一方、医療政策として改定と対をなす基金は、歯科医療の環境整備にも益々重要な意味を持ちます。ただ、今回改定の中でも可能性の秘めた項目としていくつか点数化は見られましたが、基金が改定とリンクすることなく、独立しての事業になっている印象は拭えません。限られた予算の中でのやり繰りです。W改定に向けての改定と基金との相乗効果を目指す為の戦略と、それに沿った事業の立案が必要となってきます。
包括ケアを視野に入れての「かかりつけ歯科医」でポイントとなるのが口腔ケアです。その有用性は医科からも視線が注がれています。然るに、口腔ケアという言葉が、ブラッシングのみの狭義に捉えられている現状があり、本来の口腔ケアの意味する嚥下機能も含めた口腔全体を管理する視点の広がりが不足しています。その観点からみると、今回日本歯科医学会が「口腔健康管理」と称した新たな口腔ケアの概念の提唱は機知を得た提案です。摂食機能療法などを加えた従来の歯科治療を「口腔機能管理」、歯石除去、PTCなど歯科衛生士の実施するエリアを「口腔衛生管理」、そして一般の方が実施する口腔清拭、食事介助などを「口腔ケア(狭義)」として、この三点を総じて「口腔健康管理」としました。
広義の口腔ケアとして定義する考えは、真の意味での「かかりつけ歯科医」が目指す所です。既にW改定に向けての作業が進む中で、この概念を一日も早く歯科界内部で意見の確認をしながら、国民への認知を広めなければなりません。
日医はかかりつけ医機能研修制度を創設し、独自の「かかりつけ医」というものを推し進めようしています。そしてその講習の中に「かかりつけ医の摂食嚥下障害」のメニューも組み込まれています。また、地域包括ケアに向けた「かかりつけ連携手帳」の作成に着手し、そのスピードは目を見張るものがあります。『かかりつけ歯科医』、『口腔健康管理』、『摂食嚥下障害』のキーワードは、地域包括ケアの中で育ちそうな芽であることは間違いありません。残す課題は、地域包括ケアを主導する日医、地区医師会との更なる連携の強化と事業実現に向けてのスピードを加速させることです。




『食べる=生きる』

地方消滅で日本の少子化高齢化に対して大きな警笛を鳴らした日本創成会議が「高齢者の終末医療を考える」と称したシンポジュウムを先日開催しました。その議論を聞くに、地方消滅と終末医療?そんな一見結びつかない二つが、これからの日本の大きな課題となっています。それと共に、改めて人の死という死生観を医療分野の一角に位置する歯科医師として、見つめ直す時期が今あるものと感じます。
高齢化になって、いわゆる寝たきり老人に対していろいろな考え方が示され、特に胃瘻の是非については大きな意見が分かれるところです。欧米においては日本で常習化している高齢者、寝たきり老人への適応が少ないとのこと。この点に関しては中医協でも前回の改定では、嚥下検査の有無によって評価を変えるという対応がなされ、また今回の改定での議論では、その経過の調査結果も示されています。しかしその一方、この問題が話題になって、胃瘻によって日常生活が暮らせるレベルになる患者さんまで拒否するような実例があり、医療現場その対応に苦慮する場面が多々見られる話も聞きます。
この問題は、医療、介護費増大から語られることが多かったのですが、タブー視されていた死に対する考え方が社会問題の遡上に挙がっていることは、大きな時代の変化として捉えられます。そして、食べることは従来から歯科界も提唱するように、単に延命だけが目的ではありません。生きていることの喜びを感じる、人間としての尊厳に係わる重要な日常生活の一つなのです。
医療関係者以外でも「食べる=生きる」を唱える人がいます。「食べることは、呼吸と等しく、いのちの仕組みに組み込まれているもの。」とは、料理研究家・辰巳芳子氏が唱えている私の好きな一文です。そして欧米での判断基準となる「食べる」ことの有無が延命治療の是非判断の基準となる考え方は、経済問題を抜きにしてもその専門家集団である歯科界の属するものが改めて真摯に議論し、一つの考え方を社会に示す責務があると考えます。
然るに、だかからといって歯科界が社会の先頭に立って、自らが死生観の変更を訴える必要はありません。これは社会全体で既にうごめく潮流であり、歯科界はあくまでもこの分野に特化した専門家として食べることの重要性、必要性を改めて世に唱え、それを臨床の場で実践を積み重ねれば良いのです。果たしてこれをも医科が歯科から奪い取り、領域拡大を目指すのでしょうか。
この死生観の議論の推移を見守ると共に、食べることへの支援を更に強める為に、摂食嚥下への歯科領域からの積極的なアプローチが必要となってきています。何故ならば、咀嚼と嚥下は対となって多くの結果を導き出すことが立証され、食べることを特化した専門家としての医療人としては、現状のままでは取り組みが不十分だからです。歯科医療は新たなる視点をもって社会に貢献する時代の到来です。あとはそれを導き、フォローする具体的な政策を積みかさねることです。歯科医療は真の意味での生きる喜びを支援する世界を導きます。



『飲み込みは大丈夫ですか』

基金における事業が一つのきっかけとなって、在宅診療、医療連携が新たな展開に進み始めています。それぞれの医療環境の実情を踏まえて、地域独自の取り組むこの基金を利しての新たな事業は、診療報酬と対になるこれからの歯科医療全体へ大きく波及する政策です。そしてこの基金は、来年度において今年度予算規模に介護関係が上乗せされる計画となっており、医療介護の垣根を越えた地域包括ケアシステム構築としての発想が必要となっています。
歯科における在宅診療の中心は、従来の診療所における診療の延長としての義歯調整から始まり、口腔ケアの対応へと進んでいます。口腔ケアの効果は、既に誤嚥性肺炎予防という観点から医科の関係者は元より介護関係者にも認知されています。それに加えてここきてスポットライトが浴びているのが、今回の基金でもいくつかの地域で事業が計画される摂食嚥下の分野です。
しかしながら、介護保険の認定審査項目にも「えん下」という項目がありながら、実際に摂食嚥下の対応は、一部の大学病院、リハビリテーション、耳鼻科があって積極に取り組んでいる病院以外、殆ど対応出来ていないのが介護、医療の世界の現状です。その理由は簡単です。採算が合わないからです。特に歯科においては無報酬に等しい状態です。
 嚥下の対応は、適応が少ない耳鼻科領域の手術以外その改善方法の中心は訓練、姿勢の改善、食形態変更のアドバイスなどで薬の処方もありません。検査も歯科では保険算定が認められていない内視鏡・造影検査と問診を中心としたスクーリングテストです。近年、摂食機能療法が歯科でも算定可能となりましたが、それは鼻腔栄養、胃瘻増設患者に限定されており、重度になる前の本来対応が必要な患者さんには算定出来ません。
そしてもう一つこの分野を歯科が推し進めるハードルとなるのが、隣接する医科の反応です。現在、摂食嚥下リハビリテーションは歯科医師を中心としたアプローチと耳鼻科、あるいはリハビリテーション科の医師を中心としたアプローチの二つがあります。本来ならば他の疾患でもあるように医科が歯科は口腔内のみと突っぱねるところですが、儲からない中で耳鼻科医の成り手が減少し忙しく手が回りません。それと共に、「摂食・嚥下リハビリテーション学会」の「・」がなくなり「摂食嚥下リハビリテーション学会」に名称を変えたように、嚥下と摂食、咀嚼は一連の動作であり、咀嚼のプロである歯科医師を係わりから排除することは出来ません。咀嚼して嚥下することによって食べることが出来るのです。
もし、嚥下を歯科の領域と社会から認知されれば、歯科診療所が「食べる」ことの社会ステーションと成り得ます。口から食べることへの支援が生きる為、生活を支える源であることが歯科診療所から発信が可能と成ります。したがって報酬的評価は低くても、嚥下に問題ある人が歯科診療所に相談することへの広がり目指し、その実現に向かっての政策を積み重ねる必要があります。先ずは先生方が診療所で「飲み込みは大丈夫ですか」の一言を問える環境作りがその第一歩です。




『この道しかなかった中で』

この原稿を書いている今、衆議院選挙の結果は分かっていません。しかし事前の各マスコミみれば自民党圧勝予測です。選挙は投票箱が閉められるまで何が起こるか分かりませんが、少なくても安倍退陣はなく、任期2年を残しての安倍首相の解散の決断は見事成功となりそうです。
メディアは大義ない解散と騒ぎましたが、今回の安倍首相の解散目的は明確です。日本の経済再生を目指し、自らが提唱したアベノミクスの敢行の為の長期政権への道を切り開くことです。無論、長期政権となってもアベノミクス成功の確定はありません。しかし野党からは、アベノミクスに代わって日本経済再生を可能とする具体的な対案は示されませんでした。マニフェストに踊らされて政権交代を選択したことを悔やむ多くの有権者は、その提示なしで現在の野党にもう投票することは出来ません。また第三極への期待感も、離れたりよりを戻したりの腰の落ち着きのなさを感じ、一時のブームに終わりそうです。となると自民党のキャッチフレーズ「この道しかない」、安倍政権に託すしか今回の選挙では有権者に選択肢がなかったことになります。では長期政権となるこれからの政治情勢を踏まえて、歯科界はどう安倍政権と向き合わなければいけないのでしょうか。
今回の総選挙でのマスコミの世論調査では、有権者は社会保障に対しては経済再生と並び非常に関心をもっていましたが、その政策論戦は殆ど成されませんでした。特に自民党が示した政策は、医療に関してはないも等しいような扱いです。唯一あったのが、既にスタートしている社会保障改革のプログラム法案のスケジュールに則って進めるということです。但しこのプログラム法案の対となす消費税増税が延期となったわけですので、そのスケジュールの変更は必要になってきました。恐らく16年度改定に対しては、これを理由に財務省から厳しい対応を迫られるのは必至です。
この現実の意味するものは、現行の医療制度、水準を是とする考え方がベースにあります。消費税増税、経済再生となって税収が増えたとしても、けっして医療の大幅な拡充が成されるわけではありません。それどころか、もし経済再生と成らなければ医療費はそぎ落とされる可能性もあります。これからは少子高齢化、財政再建を踏まえて、いかにレベルを落とすことなく現行の医療を保つことへの模索が始まります。しかしながら理不尽な政策に対して、責任ある医療人として対応することは当然であり、大きな改善が必要な歯科と、既に一定の医療経営環境を維持している医科とでは立ち位置が異なります。先ずはこの点への内外の理解を求めることがスタートとなります。
選挙終わるのを待って各種医療政策への対応が加速的に進みます。幸いにして政治の世界では現在の歯科医療の現状は理解されつつあり、一つ一つの政策毎の対応スタンスが求められています。果たしてこの道しかなかった中で、歯科界はどう歩みを進めるべきなのでしょうか。歯科界の政策対応能力と政治力の真価が問われています。




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