日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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「熟議」のはずですが

近聞遠見:「熟議」という新しい思想=岩見隆夫

また言葉にこだわるが、一つの言葉が思想を生み出すことがある。むずかしく考えることはないが、
<熟議>
には多少そんな感じが伴っている。
菅直人首相はさきの施政方針演説で、この言葉を2度使い、
「今度こそ、熟議の国会となるよう、国会議員の皆さんに呼びかけ……」
と締めくくった。その後の論戦でも、菅は何度か使い、野党席からは、
「何が熟議だっ!」
とヤジも飛んだ。

与野党が政策協議のテーブルにつけるかどうかが、政権の命運を左右しかねない菅にとって、<熟議の国会>が活路を意味するキーワードになりつつある。この新語が気に入ってもいるようだ。
しかし、菅も野党議員も言葉にこめられた含意を、どのくらい理解しているのだろうか。字面から、熟した議論を十分にする、といった程度なら、浅い。
もともと、投票し多数決で決める、という<集計民主主義>は硬直化の傾向にある。数に対する信奉は、選挙至上主義にもつながった。それを補うものとして、欧米では90年代から<熟議の民主主義>の考え方が取り入れられている。

<熟議>という日本語を当てはめたのは、民主党政権発足時から副文部科学相をつとめる鈴木寛(かん)(参院議員・東京選挙区)で、鈴木のいわば造語だ。教育界ではすでに鈴木のイニシアチブのもと、多様な<熟議教育>の実験が始まっている。
鈴木は昨年9月、「『熟議』で日本の教育を変える」(小学館)を刊行した。その直後、菅首相から、声がかかる。
「あの言葉を使っていいか」
「お使いになるのはいいが、よく意味を理解して使ってくださいよ」
「わかった」
というやりとりがあった。小沢一郎元代表と対決する民主党代表選の直前である。折り返し仙谷由人官房長官から、

「菅マニフェスト(政権公約)に入れるよ」
と連絡があった。<熟議>が政治の表舞台にデビューした瞬間と言っていい。野党時代から、仙谷らとは、
「民意をバランス良く吸収するには、多数決という固定化したシステムだけではむずかしい。既得権益を守ることになりがちだ」
などと議論してきた仲である。

さて、<熟議>の意味は何か。鈴木の著書によると、<熟議の民主主義>はドイツの社会学者でコミュニケーション論の第一人者、ユルゲン・ハーバーマスが言い出した言葉で、
<彼は何十年も前に、民主的手続きの中からナチスが出てきたことを反省し、熟議が必要だと主張した。大衆民主主義における議会での政治的討議は、それだけでは宣伝の対象にされ、選挙でさえ見せ物になってしまうと指摘したのです。日本でもそうなっている。民主主義を複線化して、代議制民主主義を現場での熟議で補完することが必要です>
と書いた。

熟議とは、熟慮して議論すること、熟した議論をするのと同義ではなく、前段がある。まず自分の中で考えを磨き、温め、煮詰め、それから他者との議論の場に臨む。他者を批判する前に、<自分>を真剣に問う。そんな議論の習慣が身に着けば、国会も面目を新たにするかもしれない。鈴木は
「菅首相はよく理解しておられると思う」
と言うが、まず<熟議>の思想を語り、自ら範を示すのが肝心だ。(敬称略)

【毎日jp】



昨日の予算委員会のかみ合わない質疑を聞くと、熟議にはほど遠い印象でした。
ということは、このねじれ国会の行く末は全く不透明ということです。
by kura0412 | 2011-02-02 09:02 | 政治 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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