ハードル多く・高齢者医療制度

新高齢者医療制度、厚労省が最終案 現役世代、重い負担 民主の意向反映

◇「後期」批判意識
厚生労働省は8日、後期高齢者医療制度に代わる新制度の最終案を、有識者でつくる高齢者医療制度改革会議(厚労相の諮問機関)に示した。13年度から75歳以上の高齢者を原則、市町村の国民健康保険(国保)に移したうえで、高齢者医療の財政は都道府県に運営させる。18年度からは国保全体を都道府県に託し、財政の安定化を図る。現行制度への批判を意識し、高齢者の負担軽減措置を並べたものの、それは現役世代の負担増に跳ね返る。野党の反発は強く、実現のメドは立っていない。

2020年度、新制度なら75歳以上の人の国保保険料は2万円増。一方、74歳以下は最大で7万円増に--。
現行制度には高齢者にも応分の負担をしてもらい、少子化で増え続ける現役1人あたりの負担を軽くする狙いがあった。だが、「後期高齢者」という名称も相まって「うば捨て山」と批判された。改革案には高齢者への配慮が随所に目立つ。
後期医療では加入者全員が保険料を払うが新制度では子どもらの扶養を受ける人(約170万人)は負担が不要。世帯全員が国保加入なら医療費が高額になっても全員の合算により負担が軽くなる。こうした家族は約350万世帯。負担は50億円以上減るという。
現行制度は、現役の負担軽減のため、高齢者の保険料アップ率を現役より高くしている。今回は、自公政権時代から特例で実施してきた低所得者への保険料軽減措置(最大9割)は最大7割に縮小するものの、12年度からアップ率を現役とそろえることも盛り込んだ。

厚労省の推計によると、75歳以上の医療給付費(10年度11・7兆円)は25年度、22兆円に倍増する。しかし、歴代政権が消費税増税を封印してきた以上、お年寄りの負担を軽くする財源は「現役の負担増しかない」(厚労省幹部)。ターゲットは、主に大企業の健康保険組合や公務員の共済組合加入者だ。
75歳以上への医療費には現役の支援金が支払われている。医療保険からの支援金額は主に加入者数に応じて決まるが、新制度では加入者の収入水準に比例する「総報酬割り」に全面移行する。高給の人は負担が増える仕組みで、25年度に健保組合の平均保険料はいまより約9万円増え、年28万9000円となる。

改革案は市町村国保に移る75歳以上の財政運営を都道府県が先行して行い、18年度以降は国保全体を都道府県化する二段構えとした。高齢者を国保に移しても、75歳以上のみ都道府県がみる形では「後期医療の廃止」という民主党の看板公約に偽りあり、と指摘されかねないためだ。
それでも、国保は無職の人や高齢者ら低所得の人が多く、保険料負担が厳しい。08年度、赤字の国保は全体の45%、812団体。実質の赤字額は計2383億円に達する。
財源を示さないまま都道府県に国保財政を背負わせようとする国に対し、知事らの不信は根強い。8日の高齢者医療制度改革会議で、国保の都道府県化に反対する神田真秋愛知県知事は「財源の欠如が最大の問題だ」と異議を唱え、賛成の立場の岡崎誠也・高知市長も「国が最終的な財政責任を負わなければいずれ立ち行かなくなる」と指摘した。

◇法案提出、危ぶむ声も
厚労省は来年の通常国会で関連法を成立させ、13年3月から新制度に移行するスケジュールを描く。しかしねじれ国会の下、現時点で野党が賛成する可能性は極めて低く、省内では法案提出を危ぶむ声すら出ている。
与野党対立のあおりで、先の臨時国会で成立した厚労省所管法案(4本)はゼロ。都道府県側の反発も収まっていない。同省幹部は「全国知事会の理解も必要」と漏らし、依然法案提出の環境は整っていないとみている。
民主党は野党時代、現行制度を「75歳以上を切り離した」と批判してきた。そこで改革案では75歳以上も現役と同じ国保に加入してもらうことにした。だが、高齢者の医療費は現役の5倍。財政面では現役と切り分けざるを得なかった。
自民党幹部は「看板を掛け替えただけ」と批判し、公明党幹部も「議論する意味すらない」と冷ややかだ。

【毎日新聞】



なじれ国会の中、野党はもとより全国知事会も懸念を示しています。そして、国民の声もさほどの支持もありません。
まず、公費をどの位増額するのか、、またその財源は、これが解決すれば制度そのものをいじる必要性は見出されません。
by kura0412 | 2010-12-10 09:05 | 医療政策全般 | Comments(0)