臨床医制度の目的は

深刻な医師不足補えず 模索する大学病院 「表層深層」臨床研修制度
2010年10月29日 提供:共同通信社
新人医師に義務付けられている「臨床研修」を来年度に大学病院で受ける人の割合が、過去最低になった。大学病院は、小さな自治体病院などに医師を派遣し、地域医療を支える役割を担っているが、研修先を自由に選べるようになってから、民間病院などに人気が集中。人材が枯渇し深刻な医師不足を補えない状態に。各地の大学病院は模索を続けている。

▽さらに2万人
厚生労働省が9月に発表した調査結果で、全国の医療機関で実際に働く医師計約16万7千人に対し、医療機関側はさらに計約2万4千人が必要と考えていることが分かった。医療機関が挙げた医師不足の理由で「医師の絶対数が少ない」(38%)に次いだのは「大学の医師派遣機能が低下している」で20%に上った。
「臨床研修制度の導入で、研修医が大阪や京都などの都市部や、報酬の高い病院に流れた」。奈良県橿原市の奈良県立医大病院。榊寿右(さかき・としすけ)院長は途方に暮れた様子で語る。かつてはどの大学でも医学部卒業生は出身大学の医局で研修していた。奈良県立医大でも毎年約95人が卒業し、同じ人数が入局していたが、今年は59人の枠に希望者は44人で約75%にとどまった。
大学病院の診療科ごとに構成される医局はかつて、教授に権力が集中しやすく「閉鎖的」「非民主的」と批判も浴び、そのゆがみは作家山崎豊子さんの小説「白い巨塔」にも描かれた。

▽要請応えられない
奈良県立医大病院では2000~01年、医師派遣の見返りに現金を受け取ったなどとして、教授ら3人が収賄容疑で大阪地検に逮捕された。
人事を握る教授らと、医師派遣を医局に委ねざるを得ない中小病院。「事件で風当たりがさらに強くなり、医局の独断はほとんどなくなった」と榊院長。臨床研修制度が04年に始まると事態は悪化した。「以前は人気のないへき地にも医局の調整で派遣できたが、入局者が減り今は要請にも応えられない」
03年に医師が足りない病院に大学院生の名前を貸し報酬を受け取る「名義貸し」が問題となった東北大。派遣制度を見直すため、05年に外部委員も加えた「地域医療支援機関」を新設し、医局ごとだった派遣の窓口を一本化した。

▽集中配置
限られた医師を有効活用するため、医療圏ごとに500床規模の基幹病院に集中的に配置し、周辺の中小病院との役割分担を進める方針を打ち出した。担当の本郷道夫(ほんごう・みちお)教授は「自治体病院では、規模や歴史を背景に『わが病院に医師を』と互いに譲らない。経営母体の違いもネックになり理解が得られず、綱渡りの状態だ」と指摘する。
解決策として、支援機関を宮城県の組織にし、市町村長や病院関係者、住民代表で将来構想を話し合って決めることの必要性を強調。「診療科ごとの医師の状況を詳しく知る医局も交えることも大事だ」と訴える。
厚労省は、医師をあっせんするため来年度から各都道府県に置く「地域医療支援センター」の事業費17億円を概算要求に計上した。各医学部の「地域枠」出身の医師を養成して派遣し偏在を解消する狙いで「都道府県が主体となれば地域の実情にきめ細やかに応じられるはず」と幹部。
だが、本郷教授は「臨床研修は、どの診療科が楽をして多い収入を得られるかを見極めるための時間になってしまった。その在り方を抜本的に見直さなければ問題は解決しない」と懸念を示す。

【共同通信】



同じ臨床医制度でも、洩れ伝わるところ患者数の減少で臨床医への患者数の配分が極端に少ない大学病院もあるとの話を聞きました。
医師も歯科医師も臨床医制度、本来の目的は何だったのでしょうか。
by kura0412 | 2010-10-30 14:02 | 医療政策全般 | Comments(0)