介護は戦略的にIT化か

介護事業所の経営改善目指す経産省の戦略

介護事業所の経営改善を目指す経済産業省の戦略が明らかになった。介護サービス関連の情報を電子化することで、事務処理コストの削減と最適な人員配置を実現する。経産省の調査事業として実施される一方、内閣府の「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」(IT戦略本部)における医療・介護分野の具体策の1つにもなる見通しだ。

調査事業で対象となるのは、訪問系の介護事業所。訪問介護サービスを提供する事業所はこれまで、紙ベースでケア内容を報告することが多かった。このため、介護報酬請求までの事務処理が煩雑になり、販管費を圧迫するほか、報酬の請求ミスにつながる要因にもなっていた。
紙ベースの情報管理は、ヘルパーなどのシフト管理にも影響。非効率な人員配置でサービス提供に無駄が生じることで、売上原価率の上昇につながり、利益を出しづらい経営体質をつくるきっかけの1つとなることもあった。
このため、経産省は8月から、事務処理削減と最適な人員配置を支援する仕組み=図=の調査事業を開始する。2012年までの3年間で問題点を洗い出し、コスト削減と介護サービスの質の向上を促すビジネスモデルを作成。IT戦略本部の具体的な施策としても提案し、全国の事業所の経営改善に向けて普及を目指すとみられる。

具体的な仕組みはこうだ。ヘルパーは高機能携帯電話「iPhone」など情報入力しやすい端末を常備して利用者宅を訪問。その場で、標準化された項目に沿ってケア内容を端末に入力すると、携帯電話回線やインターネットを通じて事業所にデータが転送される。事業所の管理者は、ヘルパーから送られる電子化・標準化されたケア内容をパソコンなどの端末上で一覧できる。介護報酬の請求に必要な事務処理の大半は、地域単位の「合同事務処理センター」に依頼。センターを通じて、各事業所の介護報酬が一括請求される。
また、合同事務処理センターは、ヘルパーの空き時間と利用者がサービスを要求する時間のマッチングも行う予定。最適な人員配置でサービスを安定して提供できるようになれば、介護の質の向上になるほか、事業所の利益率向上にも寄与するとみられる。

調査事業を担当する医療・福祉機器産業室の井上美樹代課長補佐によると、「ITを活用して、情報の電子化と標準化を進めて事務作業を効率化できれば、介護従事者は本業に集中してサービスの質向上につながる」という。また、情報の電子化と標準化は「ケア内容の見える化にもつながる」(井上課長補佐)ため、要介護者の家族がケア内容を確認したり、生活支援などの周辺サービス事業者と共有して最適なサービス提供につなげたりすることもできるとしている。
ただ、個人情報保護の観点から、情報共有の範囲をどのように線引きすればいいのかなど課題もある。一貫して電子化・標準化されたデータを処理できる仕組みの中で、トラブルや不正があった時の責任の所在が不明確になる可能性もある。実現に向けた課題もあるが、IT活用やビジネスモデルの再構築が進んで経営基盤の安定化につながれば、介護従事者の処遇改善や利用者の満足度向上が期待できる。

【キャリアブレイン】



介護を推し進めれば、当然、歯科もIT化は免れません。
by kura0412 | 2010-07-10 11:48 | 医療政策全般 | Comments(0)

コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
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