日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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学会が動く

歯科医に虐待意識調査 相談・通告 指針に反映

東京都江戸川区で小学一年男児が今年一月、両親から暴行を受けた後に死亡するなど児童虐待事件が全国で相次いでいるが、一般社団法人「日本小児歯科学会」(会員約四千四百人)は小児歯科医師に虐待への対応や意識に関する調査を行う方針を決めた。児童虐待問題で、歯科医師の意識調査が全国規模で行われるのは初めて。

調査は、同学会が資格認定する小児歯科の専門医約千人が対象。六月から調査票を配布し、本年度中に分析結果をまとめる予定。
調査票では、歯科医師の通告義務や通告先など虐待問題への関心を問うほか、虐待を疑う事例や児童相談所などへの相談・通告の有無、虐待を疑っても通告しなかった経験や理由、歯科健診時にネグレクト(育児放棄)などの虐待に注意しているかなどを尋ねる。
同学会は虐待防止対応のガイドラインを作成しており、調査結果次第で、ガイドラインや虐待の疑いを判定する診断用アセスメントシートを見直し、研修会にも役立てる。

歯科医師は、乳幼児歯科健診や学校歯科健診などを通じて虐待を見つけやすい立場にある。東京都などの調査では、虐待を受けた六歳未満の子どもの虫歯数が平均の約三倍に上り、治療を受けさせないネグレクトとの関連性が指摘されている。
江戸川区の事件では、歯科医師が男児の様子から虐待を疑って通告した。だが、親とのトラブルを恐れて相談や通告をためらう事例も少なくないという。

役割明確化も課題
日本小児歯科学会の朝田芳信理事長の話 調査対象とする学会の専門医は、地域で小児歯科のネットワークの中核を担っている。最前線の専門家から児童虐待への対応や意識を調査し、子どもの健康を守る立場から提言をまとめたい。児童虐待防止法で歯科医師の役割を明確化することも課題になるだろう。

【東京新聞】



検診で、虐待までいかなくても、多数歯のむし歯の放置されている子どもをみると、担当の先生に聞くと家庭環境に繋がっていることが多いようです。
是非、この流れを加速すること期待しています。
by kura0412 | 2010-05-31 09:23 | 歯科医療政策 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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