日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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ジェネリックの行方

普及進むジェネリック医薬品

国民医療費の増加に歯止めがかからない。高齢化が進む日本では、薬価改定による薬剤費の引き下げだけでは、医療費の削減が進まない。そこで厚生労働省は、特許切れの先発薬と同成分・同じ効果で、かつ薬代が軽減できる「ジェネリック(=後発、以下GE)医薬品)」の普及促進を図っている。
一方、GE医薬品の普及に伴い、先発医薬品メーカーは世界的に需要拡大が見込める大型医薬品の開発に力を入れている。その一角を担っているのがバイオ医薬品だ。

◆GE医薬品の「2010年問題」
国民が1年間に医療機関等で傷病の治療に要した医療費は2007年度で、34兆1,360億円にのぼる。前年度に比べ1兆84億円、3.0%の増加である。
このうち、国内の医療用医薬品は5兆8,280億円と前年度に比べ245億円、0.4%増加した。2年に1度の薬価引下げもあり、この5年間の平均伸び率は1.3%程度にとどまり、安定成長業界とは言い難い。

また、2010年前後は大手製薬メーカーの主力医薬品が軒並み特許切れとなる、大変な時期である。この前後5-6年の間にピーク時には世界で3000-5000億円の売り上げがあった主力医薬品が特許切れになり、価格の安いGE医薬品が大量に市場に出回ることになる。これを業界では「2010年問題」と呼んでいる。
しかし、他の先進国に比べて日本ではGE医薬品の普及が進んでいない。普及を妨げる理由にはGE医薬品に対する医師・薬剤師の信頼不足と、安定供給がなかなか難しいというGE医薬品メーカーの問題などがある。

GE医薬品の普及は米国、英国、ドイツ、フランスなど先進各国で進んでいる。
主要国の普及率(数量ベース)は、米国67%、英国61%、ドイツ64%、フランス40%であるのに対し、日本は20%に過ぎない。
医薬品は10年程の開発期間と発売後データの蓄積があり、安全性には定評がある。GE医薬品は、先発薬と同じ成分を使ったほぼ同等の医薬品といわれるが、医師・薬剤師の多くがこの“ほぼ”に引っかかるらしい。安全性を確信できない医薬品を患者に処方できないのはもっともだが、偏見もあるようだ。

◆政府主導で積極生産へシフト
現在、日本でも医療費抑制のため厚生労働省主導でGE医薬品の普及が進められている。

具体的な動きとして、2008年4月より処方箋の書式が変更になり「病気に対して処方できるGE医薬品がない」「患者が新薬を望んでいる」など、特別な事情がない限りGE薬が処方されるようになった。
この動きに合わせて、医薬品メーカー各社はGE医薬品の積極生産へシフトしつつある。
2010年4月の診療報酬改定では、薬局における調剤基本料の「後発医薬品調剤体制加算」について、2008年改定の4点(1点10円)から、要件を変更した上で、最大17点に引き上げた。

今までは8割以上の薬局が処方箋ベースでGE医薬品調剤率30%以上を満たしているが、数量ベースでGE医薬品割合20%以上を調剤する薬局は3割程度に過ぎない。数量ベースの多寡に、インセンチブが無いのが原因とされる。
今回の改定では、数量ベースで20%未満は加算点数をゼロとし、30%以上を17点、25%以上を13点、20%以上を6点とした。
改定以前では30%以上の薬局は1割程度だったと推測されているが、全体の9割の薬局はGE医薬品の使用割合を上げて、積極的に加算点数の獲得に動くとみられる。現にあるGE医薬品専業メーカーは、4月以降の出荷に手応えが感じられるとアナリストの取材に答えている。

◆医薬品企業のみならず調剤薬局にも注目
関連企業にはGE医薬品専業メーカーはもとより、GE医薬品調剤に積極的な薬局もあげられる。GE医薬品の対極にある新薬開発に特化したバイオ医薬品ベンチャーも注目されよう。
今後の医薬品産業はGE医薬品企業と画期的新薬開発企業に分かれていくとみられるからだ。

【読売新聞】



GE薬品については、歯科の調剤という観点よりも、医療費全体への影響ということで今後も注視しなければ行けない問題です。世界的にみると、日本のトップ企業である武田薬品でも中位であり、今後の新薬開発にどのように影響するかもGE薬品の促進での注目点のようです。
この記事にもあるように、2010年問題がどのように推移するでしょうか。
by kura0412 | 2010-05-13 15:41 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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