日本の歯科界を診る(ブログ版)


コラムニスト・鞍立常行が日本の歯科界に直言
by kura0412
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制度の議論の前に

財政試算示すも「持続性」に不安の声-高齢者医療制度改革会議

厚生労働省は4月14日の「高齢者医療制度改革会議」(座長=岩村正彦・東大大学院法学政治学研究科教授)に、65歳以上の高齢者が国民健康保険(国保)か被用者保険に加入し、高齢者の医療給付費を公費と高齢者の保険料、現役世代の保険料で支える仕組みとした場合の財政影響試算を示した。これに対し委員からは、持続可能な制度にするには将来推計を踏まえた検討が必要との意見や、公費投入の拡充を求める声が相次いだ。

試算は、(A)65歳以上の人が全員国保に加入する(B)65歳以上の被用者保険の被保険者と被扶養者が被用者保険に加入する(C)65歳以上の被用者保険の被保険者が被用者保険に、被扶養者が国保に加入する-のそれぞれの案について、医療給付費に約5割の公費を投入する対象年齢を75歳以上、70歳以上、65歳以上とする場合の9通り。
それによると、公費投入の対象年齢が75歳以上の場合、(A)では協会けんぽと公費の負担がそれぞれ2000億円、9000億円減少する一方、健保組合と共済は共に1000億円、市町村国保は9000億円の負担増となる。(B)では公費負担が9000億円減少するが、協会けんぽと市町村国保がそれぞれ3000億円、6000億円の負担増となる。(C)では公費負担が9000億円減少する一方、健保組合と市町村国保の負担がそれぞれ1000億円、8000億円増加する。

公費投入の対象年齢が65歳以上、70歳以上では、いずれの場合も協会けんぽ、健保組合、共済の負担が減るものの、市町村国保と公費の負担が増加する。
厚労省は、9通りの財政試算のいずれの場合も負担増となる市町村国保に対し、直接支援する負担軽減策が必要としている。

小島茂委員(連合総合政策局長)は、「どういう制度設計をするにしても、公費の負担増を検討しないと医療保険制度全体の維持にはならない」と指摘。また、齊藤正憲委員(日本経団連社会保障委員会医療改革部会長)も、「A-C案いずれにするかとの議論の前に、公費投入を拡大する方向性を委員内で共有してほしい」と主張し、持続性の観点から2025年時点までの財政影響をしっかりと見て検討すべきとした。
小林剛委員(協会けんぽ理事長)は、夏の中間取りまとめに公費の役割の拡大の方向性を盛り込むよう提案。「時間がたつにつれて特定の事業者に負担が偏ることがないよう、将来推計を出していただきたい」などと述べた。
またこの日は、保険料、給付、医療サービスなどの在り方についても委員が議論した。鎌田實委員(諏訪中央病院名誉院長)は、費用負担の議論について「(委員が)必死に資料を出して、自分の所に負担が来ないように論戦を張っている感じがする」と指摘。国民が納得できる医療を提供する必要性を強調し、「せめてOECD(経済協力開発機構)の平均並みぐらいの医療費を掛ければ、かなりいい医療を国民に与えることができると思う。そういう制度設計の下に負担をどうしていくか考えた方がいい」と述べた。
次回会合は5月17日に開かれ、高齢者の医療問題などに見識がある有識者5人からヒアリングを行う。

【CB news】



確かにどんな制度にしようとも公費投入拡大は不可欠です。となると、財言論の問題も当然絡んできます。
果たしてそんな議論が進む中、今後の歯科医療制度全体、方向性の検討が望まれます。
by kura0412 | 2010-04-15 11:43 | 医療政策全般 | Comments(0)
ミラーを片手に歯科医師の本音
回想

本紙閉刊に伴いこのコラムも今回で最後となります。平成10年9月から19年間、筆が進まない時もありましたが、締め切りを遅らせることもなく、また大きなトラブルもなく終えることにある意味安堵しております。ただその中で一度だけで校正まで終えながら書き直したことがありました。それはあの「日歯連事件」と称された事件が勃発した時でした。
あの時は一人の開業医でしかない私が、社会事件になるほどの大事件に対して実名で書くことに躊躇しましたが、事件に対していろいろな観点から憤りを感じ、もし問題となれば歯科医師を辞める覚悟をもって書きました。この事件によって日本の歯科界に大きな変化があったことは多くの先生方が感じられたことです。今思えばその内容は別として、あの時書き綴っておいたことが、その後連載を続けられた源になっていたかもしれません。
然るに風化しつつあるあの事件の本質は何だったのか。その手法に対しては司法判断が下った結果が示されていますが、事件の根本には、現在も続く歯科医療に対する公的評価の低さを何とか打開しようと考え方がありました。この点を誰もが分かっているのに言葉に出ていません。但し結果的には中医協委員が1名減員、事件後の懲罰的な18年度改定となり、歯科界の思いとは反対の流れを作ってしまいました。特に改定では、それまでの改定時で、技術料を引き下げながら作った僅かな財源を「かかりつけ歯科医」初再診料に振り分けながらも、「かかりつけ歯科医」を一気に消し去られたことによって、保険点数全体が縮小したと共に、時代の流れである「かかりつけ歯科医」という名称、概念をも否定されることになってしまいました。そして事件によって植え付けられた歯科界の負のイメージは現在も引きずっています。
日本の歯科界は今、大きな分岐点に差し掛かかり、新しい息吹が入る機運も高まっています。但し、この負のイメージを引きずったままでは大きな壁が存在します。あの事件は終わったのでなく、まだ背負っており、それを回顧することで歯科界の課題を改めて見出すことが必要です。
残念ながら現在、日歯、日歯連盟共に入会者、特に若い先生の入会が減少しています。事件の影響、また、入会することへの利点を見出せず、医療環境向上寄与への期待が薄らいでいるからです。個人で個々の臨床現場での対応出来ても、政策を変えるには一つの塊にでなければパワーが発揮できないだけに、この問題は歯科界発展の最大の課題です。その為には、過去の問題となった出来事を背景も含めて改めて見直し、そして新しい目標を示す。それも抽象的でなく、具体的な分かりやすい政策を提示することで歯科界の展望が分かることで推進力の働きとなります。
最後に、本コラムを続けなければ会うことの出来なかった全国の先生方と交流できたことは、私の歯科医師人生としての財産となりました。そして、好き気ままに綴ることを甘受して頂き、連載を許して頂いた歯科時報新社・吉田泰行社長に感謝を述べ終わります。ありがとうございました。
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